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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第6章:リスリーの気持ち

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第96話 一体何が悪いんだ?

「申し訳ありませんマサヤ様!」


 そして数瞬後。

 俺が突然黙ったから、リスリーがそう詫びて来た。

 慌てて頭を下げてくる。


 自分が俺に怒りをぶつけていることに気づいたのか。

 俺はそんな彼女に


「……どうしてあんなことをしたんだよ?」


 なるべく穏やかに。

 そう訊ねた。


 内心、別に彼女に対して不満はあったけど。

 許せないとは別に思っていなかった。


 俺があの店にもう二度と行けなくなっただけだ。


 彼女は俺の問いに目を逸らし


 そして


「マサヤ様があの人にお金を搾取されるのが許せなかっただけです」


 そう、ボソボソと呟くように。


 俺が金を搾取される……?

 別にいいじゃないか。


 ありがたがる金じゃない。

 あれを俺に与えたのは実質あのハゲだろ。


 だったらそんなことに拘るのはおかしい。

 豪遊には使わないけど、俺が俺の目的のためになら惜しげもなく使える。


 それこそ。

 俺のノーザリア語修行での必要経費として。

 彼女は俺と結婚して俺の財力を手に入れようとしてたみたいだけど。

 俺の方はそんなつもりないんだし。


 語学修行の見返りとして、彼女に贅沢させてあげるくらい、別に良いはずだ。


 それぐらい、リスリーだって分かるはずだろ……!


 だから俺は


「……それ、嘘だろ?」


 ちょっと迷ったが、彼女の嘘を指摘した。

 言った瞬間、彼女は震えた。


 そして俯く。


 ……ダンマリかよ。


「あのさ」


 俺はだんだんイラついてきた。

 女性相手に不機嫌を見せるのは良くないって意識はあったけど。


 あまりにも……


 俺に対する誠意が無い気がした。


 俺に対する誠意。

 ちょっと聞くと「思い上がっているのか?」って言われるかもだけど。


 俺はさ……

 懐かしい日本料理を食べられる店に二度と行けなくなり。

 優秀なノーザリア語修行のための講師を1人、失ったんだよ。


 だったら最低限の礼儀として、理由をキチンと話すくらいするべきじゃないのか?


 俺、そんなに間違ったこと言ってるか!?


 そのまま


 何で黙るんだよ!?

 いくらなんでも卑怯じゃ無いか!?


 そう言おうとした。


 だけどその前に


「マサヤ様を泥棒牝に取られたくなかったんです!」


 リスリーがそう、叫ぶように言ったんだ。




 ……泥棒牝。


 確かノーザリア語では日本語で言う「泥棒猫」のニュアンスでそう言うんだ。

 ようは、他人の恋人に手を出す女のことだ。


 彼女は今、キャサリーンさんのことをそう言ったんだ。


 でもさ


「ちょっと待てよ。いきなり何を……?」


 こっちも困惑する。

 イライラした気持ちがどっかに飛んで行った。


 言ったリスリーは


 俺に怒りの目を向けていた。

 そしてそのまま


「……両親の宝物を守ってくれた男性を好きになって何が悪いんですか!?」


 完璧に俺に対して非難する口調でそう続けた。


 両親の宝物……?


 さらに困惑する。

 心当たりがない。


 まとめる。


 リスリーは自分が俺の恋人のつもりだった。

 いや、それは言い過ぎか……


 彼女は俺のことが好きだった。

 そしてそれは、俺が彼女の両親の宝を守ったからだという。


 リスリーに男性として好きと言われて俺は


 もはや正直、困惑というより。

 混乱……いや動揺していた。


 今まで俺、そんなことを言われたことなかったし。


 でも、宝物って……


 何かあったか?


「それって」


「私の両親の結婚指輪ですよ! 何で覚えて無いんですか!?」


(あっ)


 そこでフラッシュバックする。

 あのときの記憶が。


 リスリーが魔王領に裏ルートで行くための費用で、両親の結婚指輪を闇業者に渡そうとしたことがあった。

 俺はそれが嫌だったから、それをやめさせて


 代わりに地下闘技場の賭け試合に出場したんだ。


 もうだいぶ前の出来事だけど。

 あれは結構しんどい記憶だったけど、最終的に勝てたわけだし。

 あまり気にしていなかった。


 でも、リスリーはそのことをずっと覚えていたのか。

 そのことに俺は


 正直、感激していた。

 胸が熱くなる。

 俺がやりたくてやったことだけど、彼女はそれをずっと覚えていてくれたのか……!


 俺の心臓の鼓動が速くなる。

 そこに


「そのために」


 リスリーは俺を怒りの目で見つめたまま


「マサヤ様は必ず勝てる手もないのに、危険な賭け試合に出てくれて! それで本当に勝ったんですよ!?」


 胸に秘めていた俺への想いを、さらに口にしてくれた。

 そして


「そんな男性が好きになり、お世話することでその男性の奥さんになった気持ちを味わって何が悪いんですか……?」


 ねぇ、マサヤ様……?


 最後の方はまるで哀願みたいな響きがあって。

 そこまで言ったとき。


 リスリーは震えて。

 そのまま、ボロボロと泣きはじめた……!

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