第50話 コバルのスキル
「おいおい、あまり景気よくガキの命を使うなよ? 俺だって限界あるんだぜ?」
コバルがゴワケに苦笑するような感じで、そんなことを言う。
コイツの倫理観も壊れてる。
多分、ゴワケとセックスしたのはこいつだ。
そしてそれで出来た子供が、たった今回復アイテムのように消費されたのに。
コイツから出る言葉はそれなんだ。
無限に湧き出るもんじゃないから無駄使いするな、って。
「大丈夫よ。負傷を治すだけなら命を丸々消費はしないし。それに何回やったと思ってるのよ? これからはナマでやっても全然問題ないからヤリ放題だってやる気出したのトウジじゃん」
そしてコバルの言葉にそんなことをノロケ話のように語るゴワケ。
悍まし過ぎる。
……ある意味、お似合いのカップルだよ。
お前ら……!
「マサヤ様!」
そこにリスリーが駆けつけて来た。
俺は彼女を背後に庇う。
コバルがそれを馬鹿にしたように見る
そして言った。
鼻で嗤うようにして。
「リンコの方が胸もデカいし可愛いな。まぁお前はその程度で満足しとけ。村田」
あまりにも下劣過ぎる言葉を。
ゲス過ぎる。
取り合う価値もないのかもしれない。
でも、リスリーが侮辱されたのは腹が立った。
リスリーは真面目で、優しい女性だ。
どこもこんな、自分の子供をアイテム扱いするような化け物に劣る女性じゃない!
リスリーはずっと俺たちを異世界召喚した国の貴族として責任を感じてくれて。
俺の手助けをしてくれた。
俺たちのために、大きな決断をしてくれたんだ!
自分の家を潰してしまうような、大きな決断を!
だから衝動的に叫んでいた。
「リスリーのどこがそこの化け物に劣るというんだ!? クズ野郎どもが!」
俺のそんな叫びに。
コバルの目付きが険しくなる。
コバルは剣や槍で斬り掛かって来る魔族の戦士を雷の槌で薙ぎ払い。
飛んでくる矢を避けもしない。
……コイツのスキルの効果か。
薙ぎ払いそこなった剣や斧の一撃はコバルにダメージを一切与えられず。
そして飛んで来た矢は、コバルの身体に当たっても弾かれた。
ダメージの無効化……?
コバルのスキルの正体について思考し、俺は言葉を発せなかった。
そんな俺に、コバルは凶暴な笑みを浮かべる。
「……教えてやんよ。俺のスキルはなぁ……」
槍で突いて来た魔族の戦士の槍を雷の槌で弾き飛ばしつつ。
「俺のスキルは『雑魚無双』だ!」
雑魚無双。
その内容は
「俺にとって雑魚だと感じた奴らが、何人束になろうと絶対に負けない、俺のために与えられたような神スキルだよ!」
だからか。
だから処理しそこなった攻撃を何発も貰っているのに、一切ダメージを受けなくて。
矢を喰らってもまるで効果が無かったのか。
クズ野郎なのに。
手に入れたスキルがチートクラス……!
この世界に来たことを喜べる人間ほど強力なスキルを得やすい。
その法則の正しさを突きつけられた。
「だから村田ァ! 今の俺にお前は万に一つの勝ち目もねぇよ! 分かったらそのブサイクを連れて引っ込んでろアホが!」
コバルのその声にはとてつもない優越感と、加虐心が満ち満ちていた。




