第48話 襲撃者の正体は
「クハハハハッ! 弱ええ! 雑魚どもなんて俺様に敵うはずねえだろっ!」
下が制服で上が緑色のTシャツ姿の男が、凶暴な笑みを浮かべつつ武器を振り回していた。
その手にしているのは巨大な金槌で。
工事現場で杭を打つために使いそうな、ゴツイ金槌だった。
だけどデザイン的に、戦闘用の金槌なのは一目瞭然だ。
工事現場であんなデザインの金槌を使ってたまるか。
武器として見栄えがするようなデザインになってるんだ。
……というより。
その武器を振るっているのは見間違えようがない。
元の世界で大嫌いだった男。
不良生徒のコバル……小原湯治だった。
勝てると確信している相手を躊躇いなく平気で殴り、周囲を威圧してるカス野郎。
そして俺やソウジのような「本気で喧嘩になったら相当痛手を受けそうな相手」には、相手の持ち物を壊すような汚い真似を平気でやる卑怯さも併せ持ったクズ男。
そのコバルのやつは学ランの上を脱ぎ、大金槌を振るってた。
……片手でだ。
んな馬鹿な。
あんな金槌、俺は振るえない。
片手で振るうなんて無理だ。
コバルのヤツは体格は立派な奴だが、俺を大きく上回るほどじゃない。
そんな絶望的な差は無かった。
それなのに、あれは不自然だ。
あの金槌は見た目通りの重さがしっかりある。
その証拠に、魔族の男たちがその一撃をくらうのを全力で避けているし、一撃を盾で受け止めた魔族男性が踏ん張ってる。
だから見た目通りの重さの、破砕武器だ。
だとすると、アイツのスキルがそういうことを実行可能なものなのか。
もしくは、そういうダンジョンアイテムなのか。
「おらよっ! 食らいやがれッ!」
コバルが大金槌を薙ぎ払うように振るう。
すると振るった先に稲妻が迸り、魔族の戦士を直撃した。
「ぐはああああ!」
絶叫し、膝を折る魔族の男性戦士。
電撃を操る大金槌だって……!?
ひょっとして前にセレーネさんが言ってた「雷の槌」ってヤツなのかあれは!?
射程としては5メートルくらいか。
遠距離で雷攻撃を仕掛けられる武器……!
怖過ぎんだろ……!
直撃したら死ななくても行動不能になるだろうし。
そこで間合いを詰められたら終わりじゃないか……!
そして問題はコバルだけでもなかった。
「キャハハハハッ! 死ね死ね不細工共がッ!」
長い金髪を振り乱しながら、片手に巨大な、いかにもな戦斧。
そして左手に嵌めた指輪から、火炎放射して周囲に炎を撒いていた。
顔は猫をイメージできる小悪魔系の顔で、可愛い分類に入ると思う。
この女の性格の醜さを度外視すれば。
胸もデカく、セーラー服を押し上げている。
スカートも校則違反レベルまで短くしているせいで、太腿が見えていた。
五分倫子。
コバルの彼女。
コバル同様不良で、性格の酷さも同レベル。
自分より容貌が劣ると思った女子を見下し、気に入らない男子生徒には彼氏のコバルを嗾けて威圧して力を示す。
そんな悍ましい心を持ったゴキブリのような女だ。
「醜いヤツは消えるべきなのよッ! やめてほしかったら全部のダンジョンの場所を言うのよッ!」
バカ笑いをしながら、軽々と戦斧を振り回している。
指輪から炎を撒き散らすことを交えながら。
俺は
「何してんだクズ共ッ!」
思わず、叫んでいた。
その瞬間、そいつら2人の眼が俺に向けられた。




