第47話 望まぬ再会
魔族の集落が燃えている!?
確かに、行く手が明るい気がした。
だとしたら、他の魔族の襲撃なのだろうか!?
どうする!?
助けに行くべきか!?
一瞬迷った。
魔族の人々はおそらく強いハズ。
そして襲撃者が他の魔族であるならば、条件は同じ。
そんなところに自分が駆けつけて、何か役に立てるというんだろうか……?
だけど
「行きましょう。姉さま」
リスリーが緊張した固い声で、即座にそう言った。
彼女は決断したんだ。
助けるために参戦するって。
「一時的とはいえ、居場所を借りている身です。そんな人々が災厄に遭っているのに、隠れて様子見なんてあり得ません」
……そうだよな。
俺は想像した。
このまま様子を見て、安全そうになるまで隠れている。
そんな真似をしておいて、どの面下げてあの集落に戻れと言うんだ?
確かにあり得ない。
行ってみないと俺たちが役に立てるかどうかなんてわからないし。
それに戦うだけが手助けでも無いはずだ。
あの人たちが守りたいと思うものを守る手助けだけでも、十分な貢献ってやつだろ。
子供たちを守るとか。
だから
「ありがとう。リスリー」
俺の覚悟が決まった。
怖くはあるさ。
相手が何であるか何にも分からないから。
でも
「お陰で覚悟が決まったよ。行こう」
俺はこの言葉を言うことが出来た。
やってやるさ!
息が上がらないように気を付けつつ急ぎ。
数分走った。
近づくに従って何が起きているのかが徐々に分かって来る。
集落は確かに焼き討ちに遭っていて。
炎が見え。
怒号も聞こえて来た。
「なんやねん! 言った通りダンジョンを1つ差し出したやろが!?」
「王国のモン! 許さへんで!」
「ウオオオ! 皆、絶対に退いたらあけへんで! ここはワシらの正念場や!」
王国のモン……?
俺の脳裏に、あのハゲ野郎のにやけた顔が浮かんだ。
そして一緒に、大谷さんの姿も。
まさか大谷さんが、魔王領に襲撃を掛けて来たのか……?
反射的に訊ねていた。
(おいトオル! 訊きたいんだが!?)
数秒後、返事が返って来る。
トオルは
(マサヤ、何かあったのか!?)
俺の思念の声の剣幕に驚いたのか、慌てた調子だった。
俺はそれに申し訳ないと思いつつ
後で謝ろうと思いながら
(今、王国は魔王領に襲撃を掛けているのか!?)
今一番訊かなればならないことを訊ねた。
(それは……)
頭の中のトオルが少し声の調子を落とす。
まるで俺にその情報を伝えなかったことが自分のミスだったとでも思っていそうな感じで。
トオルは言った。
こんなことを
(今、大谷さんが魔王領に行ってる)
大谷さんが……?
一体何のために……?
俺の心が揺れる。
ソウジが守った女の子……大谷さんがこっちに来ているだって?
トオルは続ける。
言いにくそうに。
(ダンジョンアイテムを1つ持ち帰って来て、自分の有能さをあのハゲに示すって言って)
あのハゲ……レフィカルの野郎にすり寄るために。
ダンジョンアイテムを取りに来たって言うのか……?
大谷さんが……!
俺は悲しい気持ちと、同時に恐怖も感じた。
だとすれば、あの集落を焼いているのは大谷さんなのかもしれないのか……!
トオルの話はそこで終わらなかった。
さらにトオルが続けて言ったことは
(……お供に)
(コバルとゴワケの2人を引き連れて)
そんなことだった……!
コバル……ゴワケ……!
不良のクズカップルの2人……!
コバルの凶暴そうなにやけ面と、ゴワケの性格の歪んでそうな見た目だけはいい顔が脳裏に浮かんだ。
アイツらもいるのかよ……!
そして俺は集落に飛び込んで。
燃え盛る魔族の集落の中で。
魔族たちの集落に今起きていることをその目で見た。




