第33話 五大精霊
「で、魔法についてはどこまで勉強なさっておいでかしら?」
色々自己紹介を済ませた後。
セレーネさんは客用に建てられた草の家に俺たちを招き、俺たちを毛皮の敷物の上に座らせて、そう切り出す。
俺は
「まだきちんとはしてません。まずはここに来ることが大事だと思ったもんで」
知ったかぶりしてもしょうがないから。
そう「何にも知らない」という自分のスタンスを明らかにする。
厳密に言えば五大精霊の言葉を聞くことが重要だとか。
精霊に命令をする場合、声に出して精霊を気持ちよくさせる言葉を詠唱として唱えることが大事だとか。
そういう細々としたことは知ってるわけだけど。
それをここで主張しても教える側としては苛つくだけだしな。
そんなの知ってるうちに入らねえよ、ってな。
だからまずは全て受け止めるのが大事だろ。
俺の隣に座っているリスリーも何も言わない。
多分、俺の意図を察してくれてるんだと思う。
正直、少し嬉しい。
俺の言葉を聞いて
「分かったわ。まずイチから説明しますわね」
セレーネさんは了解した顔で頷き、話してくれた。
魔法とはどういうものか……?
それは五大精霊に自分の意志を届け、精神力と引き換えに超常現象を実現してもらうワザのことだ。
五大精霊とは?
それはこの世界を形作る5つのものを司る精霊たちのことで。
熱の精霊フレイア
天空の精霊エアリー
水の精霊アクアン
大地の精霊アーシズ
生命の精霊ライブラ
……この5つ。
それぞれ
フレイアは熱現象。
エアリーは風や雷などの地上の自然現象。
アクアンは水に関わること。
アーシズは土や石、金属、宝石などの大地に関わること。
そしてライブラは生命現象を司っているそうだ。
で、ここからが重要なんだけど……
「魔物の脳を食べて精霊との会話が出来るようになった場合、相性の悪い精霊が出て来るのですわ」
そこでセレーネさんが外に俺たちを連れ出して。
その辺に転がっていた棒を使って地面に図を描き。
それで説明してくれる。
〇を5つ書いて、それぞれに2つずつ線を引っ張って結んだような図で。
精霊は、線で結ばれた先の2つの精霊と相性が悪いんだそうだ。
俯瞰して見ると、それはなんだか五芒星に似ていた。
それによると……
フレイアはアクアン、アーシズと相性が悪く。
エアリーはアーシズ、ライブラ。
アクアンはライブラ、フレイア。
アーシズはフレイア、エアリー。
ライブラはエアリー、アクアン。
……と、それぞれ相性が悪い。
どれかの精霊に対応した魔法を使う魔物を仕留めて、その脳を食べた場合。
後から食べる魔物の脳との相性が悪ければ、後から食べた方の魔物の脳は全く何の効果も齎さないんだそうだ。
だから、この方式だと最大で2系統の魔法しか使えないことになる。
なので、慎重に選ばないといけないだそうだ。
取り返しがつかないから。
一応、魔物の脳を食べずに修行を重ねて精霊との会話が可能になった場合は、その限りじゃないらしいけど。
そんなことをやってる暇は無いしな。
これは前も言ったかもしれないけどさ。
「それで、マサヤさんはどのような魔法を習得される予定なのかしら?」
一通り、魔物の脳による魔法習得を目指す場合の注意事項を俺に説明し終えて。
セレーネさんはニコニコした顔で俺にそう訊ねてきた。
俺の習得したい魔法……
それは一体何になるんだろうな……?




