第31話 再会
俺たちは魔族男性数人に連れられて、集落にやってきた。
集落には家があった。
ただ、その家は……
草で出来ていた。
でも、草を寄せ集めただけの粗末な家……
という感じじゃなくて。
キチンと家の形に草をまとめている感じで
「なあ、魔族の人」
「なんじゃいな?」
俺は思わず訊ねてしまった。
魔族男性が俺に目を向ける。
俺は
「あの家どうやって建ててるんだ?」
どうしてもそれが訊きたかったからそれを訊く。
俺のその問いに
「……木で骨組みを作って、そこに干した草をまとめて建てるんやが、そんなに珍しいか?」
魔族男性はちゃんと答えてくれた。
「俺はあんな家は見たことが無い。すごいな」
建築なんて分からないけど、それでもこの家の技術がすごいのは理解できる。
草なんて木と違って背が高くないから長さなんて知れてるのに、住居に使っても問題ないように仕上げるなんて。
本気で驚いて、面白いと思ったからそう言った。
俺のその言葉を
「……ふーん。まあ、礼は言うとくわ。嬉しいし」
魔族男性はそっけなくそう返す。
その返しを受けて。
(……法の概念が無い種族だと聞いてたけど……)
俺は少し、違和感を持った。
何で礼を言ってくるんだ? って。
普通の人たちにしか見えないな、と。
だけどすぐ気づいた。
(あっ、そうか……挨拶や礼を言う言わないって、別に法じゃ無いもんな)
あくまで彼らは「掟がこうだから」って言葉を言わないだけの人たちなのか。
だから嬉しく思えば礼を言うし、きっと腹が立てば躊躇いなく襲い掛かって来るんだろう。
その結果どうなるかを把握して、その責任を負う覚悟が出来たのなら。
だから
(どんなにフレンドリーに見えても、この人たちにとって俺たちがデメリットしかないと判断されれば、容赦なく切られたり殺されたりするんだろうな)
そう、内心考える。
……行動や振る舞いに気を付けないと。
そう、心で呟いたとき。
「お帰り、その人たちはお客さん?」
干し草の家から数名の女性魔族が出て来る。
男性同様、毛皮の服を着てて。
体型は頭が大きくて手足が短い。
俺は特段醜くは思わないけど、言っちゃなんだが、所謂綺麗って感じでは無いと思った。
でもさ……
(多分、この人たちが綺麗に感じる基準はこうなんだろうな)
種族が基本そういう体型なんだし。
でないと変だ。
……リスリーは俺の目には綺麗な女の子に映るけど、多分この人たちにとっては
異様に頭が小さい気味悪い女
なんだと思う。
「せや。そこで会うたんや」
「手土産ももろたで」
「おお!」
家から出て来た女性魔族に、男性魔族が俺たちが差し出した土産を見せている。
……多分この人たち、王国の人間を見つけてもまず対話した方が儲けが大きいと学んで、こういう振る舞いをするようになったのかね。
「お客さんが続いて、ソトのモンを貰えてウハウハやわ」
「ヨーカン最高や」
魔族たちが湧いている。
喜んでもらえたのは正直嬉しい。
あれが俺の金で買ったものなら、多分もっと嬉しかったんだけどな。
あれを持たせてくれたのは、実質闇業者……
俺、あの男嫌いだから正直複雑な気持ちだった。
そのときだった。
「リスリー! リスリーですわね!?」
別の声、聞き覚えのない声が響いてきた。
女の声だ。
リスリー……?
視線を向けると。
リスリーがハッとした表情をしていて
次の瞬間
「セレーネ姉さま!」
彼女の顔がパッと明るくなった。




