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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
エピローグ

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211/223

第211話 あくまで私個人は、だよ?

「えっ、いきなり何? 帰還魔法が今どこまで来てるか知りたいの?」


 部屋でリスリーの妊娠報告を貰ったあと。

 俺とリスリーがリビングに出ると。


 偶然大谷さんが1人でリビングにいて。

 ノーザリア語の本を読んでいた。


 何の本か分からないけど、前に


「日本で売れた物語を丸パクリして本を書いてる奴がいるの」


「しっぽが生えた野生の少年が、綺麗なお姉さんと一緒に願いを叶える珠を集める冒険の旅をする話とか」


「一子相伝の暗殺拳を身に着けた1人の男が、奪われた婚約者を取り戻すために悪漢の巣食う無法の国に乗り込む話とか」


 そんなことを言ってて、そういう話を読むと色々な意味で笑えて楽しいので、息抜きに読んでるらしい。


 だからなんとなくそういう本じゃないかと思ったけど。

 そこは訊ねず


 俺たち2人は魔法研究の進捗を聞いたんだ。


 俺たちの質問に大谷さんは


「まあ、そんなにすぐにはできないわよ。レフィカルが残した研究資料を読み込んで、異世界召喚の魔法のメカニズムがようやく丸裸になったかな、ってところよ」


「そこから帰還魔法組むのにどれくらいかかる? 1年か? 2年か?」


 俺はがっつくように訊ねる。

 だけど大谷さんは


「急かされても困るわよ。こっちだって初めてで手探りでやってるんだし……まあ絶対、10年内には開発してみせるわ」


 大谷さんは髪の毛を触りながらそう言う。

 かなり困り顔だった。


 冷静に考えたら当たり前なんだけど。

 難しい問題なんだし。

 でも、そのときの俺は心境的に追い込まれたものがあったから


「10年……」


 あからさまに落胆した声を出してしまった。

 口に出してから気づいて


「ゴメン。わざとじゃないんだ」


 そう俺は大谷さんに謝って。

 そんな俺に


「村田くん……何かあったの?」


 大谷さんは俺の様子に何かを察してくれたらしい。


 そんな言葉を俺たちに掛けてくれた。




「……なるほど。あなたのオヨメのお腹に赤ちゃん出来たと」


 大谷さんは何だか言い辛そうにぼそぼそとそう言う。


 普段、オスの本能だの何だの言うくせに。

 マジで妊娠の問題を目の前に持って来られたら、キョドるのか。


 ……まあ、大谷さんはそういう子だよな。

 なんとなくそうなんじゃないかと思ってたけどさ。


 俺はそこはスルーすることにして


「だから、できればリスリーのお腹の子が2才になるまでに日本に渡りたいんだ。……無理かな?」


 自分の要望を伝える。


 大谷さんはウーンと唸り。


 腕を組んで


「……絶対無理とは言い切れないけど……その場合、安全性を保障できないんだけど」


 ボソボソ言いつつ落ち着かなげに身体を揺らしてから。

 じっと俺を見つめて


「聞く?」


 そう、自信無さげな目を向けて来た。


(安全性が保障できないだって……?)


 不穏だ。

 普通なら


 やめとく。


 そう言うところだけど。


 俺は追い込まれていた。

 だから


「一応聞くだけ聞かせて」


 少し迷ったが。

 俺はそう返した。



 大谷さん曰く。


 異世界召喚の魔法を少しだけ変えて、帰還魔法にする方法で。


 やることは8割一緒。


 まず日本にいる「この世界から逃げ出したい」と考えている誰かの思念を拾い、その人物を起点としてこの神聖ノーザリア王国がある世界と俺たちの世界の日本との次元通路を開く。


 そして本来ならその「異世界転移したい」と考えている人間をこっちに呼び込む代わりに、こっちの世界にいる「日本に行きたい」と考えている人間を送り込む。


 一見聞くと確実そうな方法に聞こえるけど


 この魔法で繋がるのが本当に俺たちの世界の日本なのか?

 とか。


 事故が本当に起きないのか?

 とか。


 他にも魔法的な問題で「絶対大丈夫」と言い切れないかもしれない問題点が結構あるらしい。


 でも


「私個人は多分転移できると思うんだ」


 大谷さんは困り顔でそう言った。

 俺の目を見ながら


「あくまで、私個人は、だよ」


 さらにそう念を押した。

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