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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第2章:無限の減速

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第21話 絶対勝つから

 リスリーは俺の決断に「ありがとうございます」と言ったきり、それ以上何も言わなかった。

 両親の結婚指輪なんて手放したくないに決まってるけど、そのために俺を死地に送り込む。

 その負い目で、苦しんでいるのかもしれない。


 土壇場で自分を守った貴族の風上にも置けない卑怯者、みたいな感じで。

 彼女ならそれくらい思いかねない。


 だから俺は問題の賭け試合に参加するための細かい約束を取り付けた後


 闇業者と別れてから


「心配しなくても勝つから」


「俺にはスキルがあるんだから」


 そう、彼女の負い目が軽くなるように、なるべく楽観的な言葉を口にした。




 とはいえ。

 リスリーにはそう言ったが。


 ……正直、かなり有利にはなるとは思うが、絶対は怪しいと思ってる。


 スキル「鉄人」による鋼鉄化は、身体を停止させる関係上、発動中は呼吸できなくなるんだよ。

 だから永久に鋼鉄化してるわけにはいかない。


 なので……


 締め技には無力だ。


 あと、関節技にも無力。


 極められた時点で、絞め殺されるか関節を破壊されることは避けられない。


 有効なのは打撃技のみ。


 ……嬲り殺しを狙ってくるなら、いきなり締め技が来ることは無いと思うけど。

 絶対は無いし。


 それに相手が俺に打撃を加えて「まるで鉄を蹴ったみたいだ」と感じたら、組技にに切り替えて来ることは十分あり得る。


 だから俺は、対戦相手が俺がスキル持ちであることに気づいて動揺したところを一気に叩くか。


 スキルを使用して普通あり得ない強引なカウンターを狙って一撃必殺するか。

 その2択になるはず。


 ……俺、多分普通の高校生では素手格闘で相当強い部類になるとは思っているが。

 人を殺すとか、殺されるとか。

 相手と違ってそういう世界に居たことが無いわけだ。


 ……そんな奴を相手に戦う。



 ビビりそうになるけど。

 俺は自分の頬を叩いて自分を奮い立たせる。



 自分で口に出したことで泣き言を言うなんて情けなさ過ぎる!

 ソウジの奴に呆れられるような生き様はゴメンだ!


 俺は救うんだ!

 全て救って、ソウジの仇を取るんだよ!




(トオル……実は俺、賭け試合に出ることになった)


(……なんで?)


 その日の晩。

 宿泊先の部屋のベッドに寝ながら。


 自分の中のビビリ要素を叩きだすために、俺はトオルに脳内会話で話し掛けた。

 で、そこで3日後に地下格闘場での賭け試合に出ることを告げたんだ。


 トオルのヤツは俺のその報告に困惑した言葉を返して来る。

 まあ、そうなるよな。


 俺は魔王領を目指してるはずなのに、何で賭け試合?

 そう思うのは当たり前だと思う。


 俺は


(ちょっとあまりにも魔王領に入るための費用が高過ぎて。地下格闘場で稼がないといけなくなったんだ)


(……そういうことか。お金が無いのはどうしようもないもんな)


 トオルのヤツは、大丈夫なのか? 勝てるのか? とは言わなかった。

 察してくれたのかもしれない。


 俺がその戦いが避けられないと思ったということを。

 そしてモノが賭け試合だから、今更キャンセルは出来ないだろうと思ったのかもしれないな。


(勝つと信じて祈っているよ。……お前の強さは俺は知ってるからさ)


 明るい感じの言葉が伝わって来る。

 だけど


 急にスッと低くなった。

 それは……


(ただ……あまり無茶はしないでくれ)


 そのトオルの言葉は、俺の胸に突き刺さる。

 もし俺が死んでしまえば、トオルは多分俺を殺してしまったという認識を持つだろう。


 だから


(大丈夫だよ。絶対勝つから)


 そう、自分の弱い心を追い出すために、わざと強気の答えを返した。


 そして気分を変えるために


(そっちはどうなってる?)


 トオルサイドの近況を訊いた。

 トオルによると……


 クラスメイト達が、続々とスキルに目覚めて来ているらしい。


 一目で強力と分かるスキルだとか、ちょっと使いどころを考えてしまうようなスキル。

 様々なスキルに。


 俺とトオル、そして岩戸さんは目覚めるのが早過ぎたんだな。

 クラスメイトにはまだ目覚めてない人がいるらしいし。

 その中には


(大谷さんもまだなんだ)


 大谷さんもいたらしい。

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