第208話 舞台裏の話とこれからのこと
そしてまたいくらか日が過ぎて。
命曜日。
休みの日だ。
自室のベッドで俺が横になってて。
リスリーがベッドの傍にクッションを置いて読書していたら。
俺たちの部屋のドアがノックされた。
「ちょっといい?」
岩戸さんの声だ。
「はい」
リスリーがそう返し。
同時にドアノブが回り、岩戸さんが顔を覘かせる。
で。
「ふたりにお客が来てるよ」
客……?
「誰ですか?」
心当たりが無かったので、そう訊ねると。
岩戸さんは俺たちの反応を窺うように見て
「セレーネとかいう人。リスリーさんの従姉って言ってるけど」
そう言った。
俺たちは顔を見合わせた。
意外なお客だ……
「久しぶりですわね」
「姉さま。お久しぶりです」
訊ねて来たのはリスリーの従姉。
貴族だけど狩人みたいな恰好をした女性。
茶色の髪を後ろで括ったヘアスタイルのリスリーの従姉。
セレーネさんだった。
2人はまた、あのときみたいに抱き合って再会を喜び合う。
そして俺の方も
「お久しぶりです。ええと……俺」
少し照れ臭かったが。
「実はリスリーと結婚しました。だから義姉さんって呼んだ方が良いんでしょうか?」
伝えないといけないことを言った。
俺はあまり調子に乗るなとか、今更違和感あるとか言われるかと思ったんだが
「あら、目標達成できたんですね」
そんなことを言われた。
……目標達成?
俺が怪訝な表情を浮かべると
「えっと姉さま」
その言葉にリスリーが少し慌てる。
そんなリスリーにセレーネさんは
「別に良いでしょ。達成したんだし」
やけに優しく微笑みながら。
彼女は
「この子ね、魔王領で再会したときにこっそりと私に相談したんですのよ」
話し出した。
……あのときのことを。
そういやセレーネさんやリスリーの態度が変に思えるときがあったけど。
どうもそれは……
「運命の勇者様に出会った。今お仕えしている男性と結ばれたいって言うので……だったらしっかり会話をして関係を深めなさいって言ったんですのよ」
あのときの舞台裏を暴露されて、リスリーは赤面している。
運命の勇者様……
この国、建国王が勇者だしな。
日本語で言う「王子様」が勇者様になってしまうのかな。
「なるほど……納得しました」
俺がそう呟くように言うと。
セレーネさんは目を丸くして
「あら、気づいてらしたんですか?」
そう言って来た。
俺は頷き
「ええ。なんだかリスリーが話し掛けてくる頻度が多いなって」
あのときのことを思い出す。
俺がセレーネさんに訊こうと思ったことをリスリーが答えたり。
俺にどうでもいいことを言ってくることが多かった気がする。
今思うと。
俺のそんな返答に
「フフ……鋭いですわね。そういう方だから、あの大逆者を止めることも出来たのかしら」
楽しそうにそう言った後。
スッと真顔になり。
「私の従妹をよろしくお願いしますわね。マサヤさん」
そう、真面目に頭を下げて来たので。
俺としては
「ええ。絶対に幸せにします」
当然こう言ったし。
「姉さま、大丈夫です。マサヤさんとなら大丈夫です」
リスリーもそう言ってくれた。
で
そんな結婚云々で珍しくも無い言葉を交わし合った後。
そっと囁くように、声を落して
「言える範囲でいいんですが……マサヤさん、リスリー」
セレーネさんは俺たちに
「……子供、どうするんですの?」
そんなことを訊ねて来た。
ちょっと……!
それセンシティブ……!




