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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第8章:下剋上

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第137話 コバルとゴワケ

 コバルとゴワケは開拓村で馬を1頭盗んでいた。


 普通なら盗んでもまず乗れないけどさ。

 あいつらにはダンジョンアイテムの「騎獣の手綱」があるからな。


 どんな生き物も自由自在に従わせることが可能だから、それで逃走なんて真似が可能なんだ。


 そして俺たちは


「こちらの方向で良いんでしょうか?」


「ああ。ライブラはこっちだって言ってる」


 リスリーが手綱を握った馬に、2人で乗って追いかけていた。

 まあ、いけそうだという予感はあったけど。


 いけたんだよね。

 ゴワケの切り取られた手首に向かって


 生命の精霊ライブラに「この手首と本来繋がっていた肉体の場所を教えてくれ」という魔法の使用。


 使用直後はかなり疲労した。

 単純に負傷を治療するより、だいぶ。


 まぁ、冷静に考えると傷を治すよりは面倒そうだし。


 でもまあ、リスリーに掴まって一緒に馬に乗って追跡している間に回復したけどな。

 この状況なら回復して当然だろ。

 彼女と一緒なんだし。


 で、予想通りだけど……


 俺たちは着実に魔王領に向かっていた。




「あの2人の被害が予想より大きく無くて良かったですね」


 そして野営。

 ゴワケの気配がだいぶ近くになってきた。


 多分明日には追いつくだろうというのが俺の見立て。

 あたりは山が近くなり、人の居住がほぼ分からなくなってきた。


 多分猟師あたりが近場に住んでると思うんだけど、家なんかは全く見掛けなかった。


 俺たちはそんな場所で夕食の兎肉を焼いたのを2人で食べながら、コバルとゴワケの2人の犯罪被害について話し合っていた。


「途中で1度、食料品を盗まれた農家の訴えを耳にしたくらいか」


 リスリーの言葉に、兎肉の固い肉を咀嚼しながらそう返す。


 俺は道中、あいつらが略奪の限りを尽くしてて、最悪死人が出てる可能性も考えた。

 でもそうじゃなかったんだよな。


 ……あいつらも罪をさらに重ねて、追っ手のレベルアップを引き起こすようなことを恐れたのかもしれない。


 それについて俺としてはホッとしていた。

 もしそんなことになっていたら……


 あいつらを殺すしかないだろ。

 さすがに。


 大谷さんからは生死を問わないという言葉は貰ってるわけだしな……


 ……と。

 そんなことを考えていたら。


「あの人たち、どういう育ち方をしたんですか?」


 焚火を挟んで向かいに座っているリスリーが。

 自分の分の兎肉にかぶりつきながらそんなことを。


 俺はその言葉に


「……知らない」


 そう返し。続いて


「知らないが……」


 思えば。

 ソウジが法律であいつらを叩きのめしたとき。

 あいつらは


 法律を持ち出すなんてやり方が汚ねえぞ!

 何で私たちばかり!

 弱い者いじめすんじゃねえ!


 ……そんな寝言を言ってきた。


 俺はそれを横で見てて「意味不明だ。お前らに文明社会は2億年早かったな」と鼻で笑っていたけれど。


 今思えば……


 私たちばかり。


 この言葉を言ったとき。

 あいつらはすごく悔しそうだったような気がする。


 その悔しさについて俺はまともに考えて来なかったけれど


 リスリーの今の言葉で思った。


(俺、あいつらのことを何も知らないじゃん……! 同じクラスだったのに)


 あいつらが何を想い。

 どうしてああいう生き方をしてるのか。

 俺は何も知らないんだ。


 それって……どうなんだ?


 そう思ったとき。


「……知らないが、何ですか?」


 リスリーの言葉で現実に引き戻された。

 俺が続きを話さないから気になったのかな。


 俺は


「悪い。何でも無い」


 そう答えた。

 こんなこと言っても彼女は返答に困るだろうし。




 そして次の日。


 俺たちは魔王領近くの山の麓でとうとう奴らに追いついた。


 目の前には丸太造りの山小屋があり、小屋の前に1頭の馬がいる。

 茶色という大して見栄えもしない姿なのに、やたらと仰々しいデザインの轡を嚙まされている馬が。


 ……これが騎獣の手綱か……。


 俺はそれでコバルとゴワケの存在を確信し。

 俺たちは馬を降り


 そして俺は声を張り上げた。


「コバルとゴワケ! 大人しく出てこい! もう逃げられないぞ!」

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