第136話 逃げた2人について
コバルとゴワケがどこにいるのか?
ひとつ言えるのは、王国領内に留まる気はおそらく無いだろうということだった。
理由は、大谷さんの命を狙った以上、もう王国内にあいつらの居場所は無いからだ。
魔王領に行くしかない。
で、大切なことだけどさ
「マサヤさん。あの人たちが持ち出したダンジョンアイテムって何なんですか?」
「一応それはメモしてる」
出撃準備を終えた後。
基礎情報として貰ったそのことを2人で改めた。
あの2人が持ち出したダンジョンアイテムは……
雷の槌:雷撃を放てる戦闘用大金槌
剛力の腕輪:身体能力を3倍に上げる腕輪
火炎の指輪:念じることで赤い宝石部分から火炎を放射できる指輪
狂戦士の斧:使い手には軽く感じるが、振るわれる側には見た目通りの重さの両手斧。使い手から苦痛を取り去る効果もあり。
……この4つが、元々あいつらが持っていたダンジョンアイテム。
そして新しく持ち出したのが
ダンジョンアイテム名:完治の指輪
効果:嵌めている間は身体のあらゆる部位が回復不能でなくなる指輪。
ダンジョンアイテム名:再生の聖杯
効果:中に入れたものを再生する杯。
ダンジョンアイテム名:無限の革袋
効果:いくらでもモノを入れられる革袋。
ダンジョンアイテム名:身代わりのイヤリング
効果:他者に自分が受けたダメージを肩代わりさせるイヤリング。
ダンジョンアイテム名:騎獣の手綱
効果:装着できれば、あらゆる生き物を従わせることができる手綱。
……そこに「麻痺の指輪」は無い。
正直、それを確認したときにホッとしたんだ。
あれは厄介過ぎるからな。
強力な麻痺ガスを撒き散らす指輪なんて。
あいつらが逃げるときにどうも、大谷さんがやったらしい。
逃げるゴワケの左手を切り落としてそれだけは奪ったらしいんだよ。
大谷さんは「根こそぎダンジョンアイテムを盗んだ」って言ってたけど、言葉の綾だな。
そしてそれが、俺たちがあいつらを追う手掛かりになる。
俺は腰に提げていた包みを取り外し、リスリーの前に突き出した。
革袋に入った小さい包みだ。
「それ、何ですか?」
訳が分からず、俺にそれを訊ねる彼女に。
俺は言った。
「……ゴワケの左手首」
言った瞬間、リスリーも嫌な顔をした。
俺だって気持ち悪い。
俺は別に、女の手首を持ち歩くのが趣味な殺人鬼じゃ無いんだ。
できることならこんなもの持ち歩きたくない。
「何でそんなものを」
理解できない、という顔をするリスリー。
俺は彼女に
「生命の精霊ライブラに、この手首の持ち主がどこにいるか訊こうかなって」
……なんとなくだけど。
出来る気がしたんだよ。
治療の一環でさ。
精霊はこの世界を管理してんだろ?
だったら出来るんじゃないのかなって。
この手首を失った人物はおそらくまだ生きてるはずなんだし。




