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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第8章:下剋上

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第129話 書類チェックにて

 俺は大谷さんの前で、書類のチェックをしていた。

 前領主の仕事引き継ぎ書の内容のチェックだ。


 ……俺がやるしか無いんだよ。

 大谷さんが信頼できる人間で、俺以外ノーザリア語の読み書きができる人間が居ないから。


 領主の執務室で大谷さんとふたりきりで延々書類をチェックする。

 それが何の書類なのかを俺が口で言って、日本語で大谷さんが書き上げる。


 手分けしてやってるんだけど、俺の方が負担がすごい。

 まあ読まなきゃいけないからね。


 目が疲れてくる。


 なので2時間くらいぶっ通しで書類を読み続け、キリが良いところが来たので


「あ~」


 顔を上げながら。


 思わず声を出す。

 目を揉みながら。


「悪いわね。読めなくて」


 そんな俺に、ローテーブルを挟んで向こうに座ってる大谷さんが労ってくれた。


 俺は彼女に


「まあ、俺以外出来る人間がいないんだからやるしかないでしょ」


 そう言いながらも。


 残った書類の分厚さに気が重くなる。

 まあ、今日中にやらなきゃいけないってわけではないけど。


 新しい領主が来るまでには、チェック終わって無いとさすがに不味いよな。


「大谷さん、新しい領主が来るのは何日後だっけ?」


 だからそこを訊ねる。

 期限を知っておかないとマズいよね。

 予定が立てられない。


 俺の言葉に


「今月中って話だけど、明日明後日では無いわ」


 そう教えてくれた。


「ですか……」


 俺、2時間で何枚書類を処理できた?

 20枚以上は確実にイケたと思うけど、100枚は多分いってないよな。


 センチで換算したら、多分1センチ無いと思うんだが……


 この書類、一体何センチあるんだ……?


 あんまりガッツリ読むのは止めた方がいいのか?

 でも、いい加減なことを言うわけにもいかないし……


 そう思い、積んである書類の山を片手でパラパラして考えていた。

 そのとき。


「ねぇ、ハチミツ舐める?」


 向かいの大谷さんが席を立ち。

 領主のデスクの上に置いてあった陶器の瓶を手に取り、さらに皿を1枚戸棚から出してきた。


 蜂蜜……?


 そして俺の前に皿を置き。

 金属のスプーンで瓶の中身をひと掬いし、その皿の上にスプーンごと置いた。


 琥珀色の粘液……

 どう見ても蜂蜜だった。


 ごくりと喉が鳴る。

 正直、疲労があったので舐めたい。


 だけど


「この蜂蜜って大丈夫なの?」


 ……大谷さんってこの開拓村の役人やってる貴族たちにきっとよく思われて無いから、毒を入れられてる可能性があるんじゃないのかと思ったからそう言ったんだ。

 そこはクリアしてるんだろうか……?


 だけど大谷さんは


「毒が入ってるかもって?」


 真顔でそう言った後。

 頷く俺に


「さすがに私たちに毒を盛ったらとんでもないことになるでしょ。処刑台まっしぐらになると思うし」


 その言葉で俺の疑念を斬って捨て。


 続けて


「……それに。私が身に着けてるローブが結構有名らしいから、そういうことはしないんじゃないかな?」


 そんなことを言った。


 ……ローブ?


 ずっと言ってるけど。

 大谷さんは常に同じローブを身に纏っている。


 セーラー服のときも。

 軍服のときも。


 だから俺は、ダンジョンアイテムかもしれないとは思っていた。

 やっぱり、そうだったのか。


「そのローブ、何なの?」


 俺の問いに。

 大谷さんはしれっと答えてくれた。


「薬師のローブ」


 ……薬師のローブ。

 そういえば、セレーネさんが言ってた気がする。


 着ている限り毒が一切効かなくなるローブの話を。

 そのローブの名前が確か……


 薬師のローブ。


 これがそうなのか……!


 少し、感激してしまった。

 知っていたから。


「知ってるの?」


 俺のリアクションを不思議に思ったのか。

 そう訊ねられる。


 俺は頷き


「魔王領で名前と効果だけ聞いたんだ」


 それを肯定した。

 俺のそんな様子に大谷さんは


「ふぅん……まあ、そういうわけだから。毒を盛ろうとする奴はまずいないと思うのよ」


 そう、自分の見解を述べる。


 なるほどね……


 まず効果の無いことをわざわざやるとは考えにくいってか。

 説得力はあるよな。


 そう思ったので俺は躊躇わず、蜂蜜を掬ったスプーンを口に含んだ。


 甘さが広がる……


「……美味しい」


 思わず呟くと


「良かった」


 そのとき大谷さんはクスリと微笑んだ。

 その微笑みは何だか彼女の昔の面影を思い出させた気がした。


 空気が和んだ。


 と、思ったとき。


 コンコン、と。


 この領主の部屋のドアがノックされる音が響いたんだ。

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