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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第7章:連鎖呪法

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第124話 領主アーサーの秘密

「アーサー様は生まれが名門貴族では無く、その政治的手腕で成り上がり、この辺境伯の地位を手に入れた方だ」


「アーサー様がこの辺境の領主になったからこそ、ここは大穀倉地帯になる未来が見えて来た」


 家臣の男は太腿にレイピアが突き刺さったままの状態で。

 領主がどれだけ優秀かを口にする。


 どれだけ税収を上げたかとか。

 どれだけ犯罪発生率を下げたかとか。


 そして


「そんなアーサー様に……」


 家臣の男は目を剥いて叫んだ。


「ご褒美があってもいいだろうが!」


 ご褒美……?

 ご褒美だって……?


「どんなご褒美だよ……?」


 ご褒美と人攫い。

 繋がらなかった。


 人身売買……?

 それは効率が悪過ぎる。


 だから


「それと人攫いがどんな関係がある!?」


 そう、俺は声を荒げて訊いた。

 コイツ、煙に巻こうとしているのではないか?


 そんな思いがあったんだ。


 そんな俺に


「……アイリスという少女を、アーサー様は見初めたのだ」


 その一言。


 その一言で。



 俺は全部分かってしまった。




 この開拓地レイトノーフの領主は


 10才に満たない少女アイリスに恋をした。


 一目見て見初めたそうだ。


 そしてこう思った。


 是非手に入れたい。

 手元に置きたい。

 そしてゆっくりと愛でて、大切に育てたいと。



 ……ようは、あの領主ロリコンだったんだ。


 いや、ひょっとしたらそのアイリスという少女を見て目覚めたのかもしれないけど。


 俺はその話を聞き


(キモイ)


 ……悪いが、そう思った。


 世の中にはまるっきり子供にしか見えない女の子に興奮する男がいるのは知ってる。

 そういうのって持って生まれた性癖だったりするから。


 それ自体はどうでもいい。

 しょうがないのかもしれないから。


 だけどさ……


(だからといって、誘拐するのは違うだろ!)


 しかも、領主の権限をフルに使って、ここまで手の込んだ隠蔽工作を計画してまで!


「ふざけんなよ!」


 俺は思わず怒鳴りつけていた。

 そんな俺に


「貧しい開拓民として暮らすより、アーサー様の愛に満ちた環境で生きた方が幸せだろうが!」


 家臣の男は追い詰められた表情で怒鳴り返して来る。


 コイツ自体も追い詰められているんだな。

 道ならない恋に狂った主人の狂った夢を叶えるために奔走するのが家臣の道だとでも思ったか。


 ……クズがッ!


「主君が道を誤ったときは、家臣が諫めるッ! 場合によっては幽閉するッ!」


 俺は家臣の男から目逸らさず、その言葉を叩きつけた。

 ソウジに昔教えて貰った、日本古来の……確か葉隠に載ってるっていう家臣の在り方を。


「日本人を受け入れ続けて、その程度の日本の教えもモノにできないのかクズ野郎がッ!」


「だっ、黙れ小僧がッ!」


 俺の言葉にぐうの音も出なかったのか。

 家臣の男は発狂していた。


 ……そういう俺も興奮していたけどな。

 あまりにも許せなかったから。


 女の子を誘拐するだけでもとんでもないのに。

 そのために、魔族の盗賊団と裏取引をするなんて。


 それで何人傷ついた?

 何人死んだ?


 許せないし、許す理由も無い!


「お前の言い分に何一つとして正当性はない!」


「お前に何が分かる! アーサー様は素晴らしい方だと言っておるだろうが!」


「絶対に償わせてやるからなッ! 覚悟しろッ!」


「話を聞け小僧っ!」


 言い合う。

 双方、激情をぶつけ合うように。


 そのとき


「……そこまでにしておきなさい。村田君」


 その場に、大谷さんの声が響いた。


 気が付くと……


 馬車から、クラスメイト達がこっちを覗いていた。

 この家臣以外の家臣も、真っ青な顔でこっちを見つめている。


 ……気づかなかったけど。

 かなりの大ごとになっていた。


 当たり前かもしれないが。


 そこに。


「……ちなみに私も村田君と同意見。タダで済むと思わない事ね」


 大谷さんの言葉がまた響き渡る。


 それで領主の家臣たちは真っ青な顔色になり、俯く。


 もはやこれまで。

 それを理解したのかもしれない。


 ……彼らにとっては「詰み」ってやつか。

 そう思ったとき。


「お手柄よ。村田君」


 大谷さんが俺を労った。

 そのときの言葉には……


 社交辞令じゃない。


 何だか、俺を心から称賛している気持ちが入ってる気がした。

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