第115話 逆転の一手
1人倒した後、別の豆一族に降伏を呼びかけながら戦いを挑む。
これで多分、俺に求められている仕事は出来ているはず。
(ぶっちゃけ、楽だな)
戦いながら俺は思う。
思ったより楽だなと。
多分このまま無事に俺は仕事を完遂できるんじゃないだろうか?
楽な理由は相手が弱いんじゃない。
俺だけ、1対多の環境にならないんだよ。
理由は簡単だ。
「ドゥラァ!」
コバルの振り下ろした大金槌から迸った雷撃が、豆一族の男たちを打ち据えて感電させ。
そこにすかさず踏み込んだコバルが大金槌……「雷の槌」でブン殴り、一気に戦闘不能にまで追い込んでいる。
雷の槌で殴られぶっ飛ばされた豆一族たちは、手足がおかしな方向に曲がっていて。
苦しそうに呻き声をあげていた。
「雑魚が! この俺に逆らうな! 這いつくばって許しを請えクズッ!」
ゲラゲラ笑いながらコバルは暴力にどっぷり浸っていた。
そしてゴワケ。
「全然いたくなーい! ムダムダー!」
ゴワケは楽しそうに炎を撒き、その炎を突っ切って襲ってくる豆一族に、狂戦士の斧で斬りつけて撃退する。
ゴワケの斧で、豆一族の腕や指が宙を舞う。
「ぎゃああああああ!」
手や指を失い絶叫する豆一族を見て
「フッ、アハハハハッ!」
ゴワケは本当に愉しそうに笑う。
そんな彼女の首筋に突如矢が生えた。
死角から矢で射貫かれたのだ。
だけど。
ゴワケはその矢を無造作に左手で掴み、強引に引き抜く。
血が一瞬ドバッと出るが、すぐにそれは収まりみるみる治っていく。
「何やと……?」
「この女、不死身か……?」
豆一族たちの絶望的な表情。
それに気を良くしたのかゴワケは
「私は不死身。何をやっても無駄無駄無駄ァ!」
そう勝ち誇った声で大声で叫んだ。
……こんな感じで。
2人に敵が集中し、俺の方にはあまり来ないんだ。
そのせいで俺は余裕をもって戦えていた。
(……あいつら、相当やりやがるな)
コバルとゴワケの2人が強いのは疑いが無い。
認めるしかない。
こいつらがこの世界では大きな活躍の場がある人間だってことを。
何だか俺の目にはあの2人がイキイキと輝いているように見えた。
前見たときは敵だったからそうは思えなかったけれど。
俺としては複雑な思いだったけど、正直助かる思いがあって。
色々引っ掛かる思いはあるが、感謝すべきなんだろうなと思ったとき。
「いい加減にせえや!」
豆一族の男の1人が激昂した叫び声をあげ
「うおおおおお!」
コバルに向かって突撃していく。
その男は何も持っていなくて
そのせいか、コバルはそいつに対してどう対策を打つか決め切れなかったのか
その突撃男が自分に接近することを許してしまった。
それがいけなかった。
「喰らえ!」
素手に見えた男。
その男の手には指輪が嵌ってて。
男はその手を突き出して
「痺れろぉ!」
そう叫んだ瞬間。
コバルの周囲に紫色の空気が発生して。
そこから数秒遅れてコバルは
「げ……!」
動揺した声を発し。
ガクリ、と膝をついたんだ。




