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異世界にクラス転移で召喚された男子高校生、目の前で親友を殺されたため召喚者国家に反逆す  作者: XX
第7章:連鎖呪法

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第114話 話し合いは無理だ!

「やかましいわい! 俺らの縄張りで勝手にモノを作ったんや! それを取りに来て何が悪い!」


 豆一族の男は俺の降伏勧告に怒鳴り声を上げる。

 そこに後ろめたさのようなものは無かった。


 前に会った人たちは出会いこそ暴力的だったけど、こういうことは言わない人たちだった。


 皆で協力し合って、慎ましく狩りをしてその日食べる分を確保できればそれでいい。

 そんな、素朴な人たちだったのに。


「略奪しなくても、魔物を狩って食べていればいいだろ!? 魔王領には無限に魔物が湧くはずだぞ!?」


 それを訊かずにはいられなかった。

 魔王領は食べるに不自由する環境じゃないはずなのに。


 だけどそれに対して


「コメが喰いたい! パンが喰いたい! 酒が飲みたい! チーズが欲しい!」


 豆一族の男は叫ぶ。

 怒り狂った表情で


「喰いたいもの、飲みたいものを取りに来て何が悪い!? また作ればいいやろが! ケチケチすんなカス!」


 ……これで俺は説得を諦めた。

 内心少しだけ「話し合えば分かって貰えるかもしれない。相手はただ、掟を持たないだけの人々なんだから」という夢を見ていた。


 でもそれはおめでたい考え方だった。

 それをどうしようもなく思い知らされた。


 なので


「……そのコメやパン、チーズを作るのにどれだけの頑張りが要るか考えないのかよ? 他人が一生懸命作ったものを奪い取って恥ずかしくないのか」


「何眠たいことを喚いてるんやぁ!? 許せへんでぇ!」


 ……俺の言葉は全て空しい。

 全く通用しない。


 だけど、言っておきたいから言った。

 投げっ放しだけど、言っておきたかった。


 お前らの主張はどこにも正当性なんて無いってな。


 それにさ


「お前ら子供まで攫いやがって! 子供を奴隷にしてるのか! 最悪だな!」


 こいつらは人攫いまでする。

 略奪より圧倒的に許せない。


 自分より遥かに弱い子供を攫って奴隷にするなんて。

 子供たちの親の気持ちを考えたら許すわけにはいかなかった。


 だけど豆一族の男は悪びれもせずに


「ぬかせ! 何言っとるんや!? 白々しいんじゃ!」


 さらに大きな声で言葉を叩きつけてくる。

 こんな言葉を。

 せせら笑いながら


「お前らは自分らでもしてるやろうが!」


 自分らでもしている……?


 そこで俺の脳裏に、ずいぶん前に目撃した人攫いたちの姿が浮かぶ。

 確かにこの国には、人攫いという犯罪者が存在し。

 リスリー曰く、そいつらは人を攫って奴隷に売るらしい。


 つまりこいつはこう言いたいのか……?


 お前ら人間の社会にも人攫いが居て、同じ人間を攫って奴隷に売り飛ばしている。

 それなのに、自分たちの人攫いを非難するのは説得力がないとでも?


 許せないものがあった。


 ……そんなもん関係あるか!


 人間の間に人攫いが居て奴隷狩りを行っていることと、魔族が人攫いを行うことは全然別の話だ。

 正当化のために持ち出すな! お門違いだ!


「だから何だ!? もういい!」


 彼らとの話し合いは無理だ!

 ブッ倒して心を折るしかない!


 そのまま俺は精神を集中し


「大地の精霊アーシズよ! 我に砕けぬ鋼鉄の拳を与えよ!」


 大地の精霊の魔法を行使するために、詠唱を開始する。


 思った以上に魔法の詠唱の言葉がスラスラと出た。

 俺の怒りの感情が、魔法への気持ちを高めてくれたんだろうか。


鋼鉄の拳(スチール・ナックル)!」


 その言葉を発すると同時に、俺の拳に魔力が宿る。

 拳に薄く、鋼鉄の硬度のバリアのようなものを張った状態。


 これであれば、鉄人拳を使っても拳は砕けない!


「オオオオ!」


 そして雄叫びと共に豆一族の男に向かって突き進み


 突き出される槍を身体捌きで回避。

 そのままさらに踏み込む。


 その踏み込みで、拳の間合いに入った。


 槍を躱されたことで焦っている豆一族の男の表情が目に飛び込む。

 この一瞬が勝負だ。


 俺は拳を繰り出した。

 狙いは当然、大きな枝豆の鞘で作った防具の上だ。


 ――防具ごと、叩き潰す!


 そして俺の拳が叩き込まれた瞬間。


 俺は鉄人拳を発動させ。

 同時に枝豆の鞘が砕けた。


 ……枝豆の鞘なのに、その強度は枝豆の強度では無かったのか。

 まあ、そうでなければ防具には使わないよな。


「があああああああ!」


 そして豆一族の男は、肩を押さえて倒れ伏し、悲鳴を上げた。

 俺の拳は肩パットだった枝豆の鞘を砕き、その下の男の肩を砕いたんだ。


 俺は倒れ、のたうち回る男を見下ろし


「もう起き上がって来るな。……抵抗しなければ命は保証する」


 そう言い残して


 俺はその場を離れた。



 ……戦いはまだ終わっていない。

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