第112話 任務開始
「いい? 私たちの目的は、豆一族を降伏させて、二度と王国に歯向かわないと誓わせること」
大谷さんが馬車を降りた実行部隊に作戦の目的を喋ってる。
大谷さんの前に整列した実行部隊。
合計10名。
この10名と大谷さんの11名で豆一族の本拠地を落とすわけだ。
……俺らの扱いって、かなり高いんだな。
それがこの人数で実感できた。
「豆一族の巣に乗り込むのは、猿2匹と、村田君!」
実行部隊は俺とコバルとゴワケ。
3人か。
猿2匹という言い方に引っ掛かりは覚えたが、あまり反発して大谷さんに自分を売り込む切っ掛けを無くすわけにもいかないし。
少しだけ後ろめたさを感じつつ、俺はそれを黙って聞き流す。
で、手を上げて
「兵団長殿は何すんの?」
そこを訊ねる。
俺のその問いに大谷さんは
「私はあなたたちが豆一族を良い感じでブチのめした後にダメ押しで出るわ」
……だとさ。
なるほどね……
俺たち3人が攻めて来ただけでも面倒なのに、その3人より遥かに強い大谷さんがやって来たら、もう心が折れるだろと。
そういう考えなのかね?
分からなくもない。
いきなり大谷さんが乗り込んでも、実力差を理解するまで時間かかりそうだし。
あと、力が大きいから余計にぶちのめすことにもなりかねない。
だったらほどほどの力でぼてくった後、ダメ押しする方式の方が良いのかな……?
「逃亡対策として、浦尾君に万賀君。しっかりお願いね」
「はい」
「分かりましたぁ」
浦尾はリバーシ部の男子。
万賀は漫画研究会の男子。
浦尾のスキルは「四方結界」
結界の石を4つ生み出して、その4つの石で囲んだ空間を浦尾を倒さない限り脱出不能の空間にする。
その結界を発動させるためには結界の中に自分自身が入らないといけない制限があるので、監禁には使えないけど……
こういうときに非常に役立つ。
そして万賀のスキルは「束縛の絵」
彼が絵に描いた者を描いた状態で固定する。
このスキルのすごさは、絵に描かれたものはほぼ動けなくなることと引き換えに、ほぼ無敵状態になるということだ。
絵に描かれた者をまともに攻撃するには、万賀の描いた絵を先に破棄する必要がある。
なので、これをどう使うかと言うと……
まず浦尾が結界を張り、その結界の内側で結界を維持する浦尾を、結界の外から万賀が絵に描いてほぼ無敵にする。
こうすることで、内側から結界を解除する方法がまず存在しない状態にするんだ。
このアイディアを考案した奴は正直相当頭が切れると思ったよ。
それに同時に、この国がスキルを持つ召喚騎士を求める理由も理解できてしまった。
魔法にこういうものが無いのなら、そりゃいくらでも欲しいって気にもなるはずだよな。
「そして野田君と飯田さん、お願い」
「OK」
「ハイナ」
続けて男子と女子が大谷さんの言葉に返す。
素直な感じで・
野球部の野田。
チア部の飯田。
野田のスキルは「3アウト」
飯田のスキルは「ベストコンディション」
3アウトは1時間に3人に2回までの致命傷をキャンセルする能力を与えるスキル。
そしてベストコンディションは応援した相手のコンディションをベストにするスキル。
……飯田のスキルはそのまんまだな。
つまり2人ともバフ要員ってわけだ。
大谷さんの言葉を受け。
俺たち以外の実行部隊の面々がそれぞれ準備する。
バフを配ったり、バフを与えるためにチアリーディングの応援を開始したり。
結界を張ることの最終段階の作業に入ったり。
周囲を警戒したり。
そしてそこから30分くらいで
俺とコバルとゴワケ。
俺たち3人は豆一族の居住区域に踏み込んでいくことになった。
別に俺はこいつらと友達でも何でもないので、無言で進んだ。
そして敵陣に辿り着く。
そこは洞窟の前で。
頭の大きな人影が相当数いた。
何故か彼らはもう武装してて。
俺たちの襲撃に気づいていたのかもしれない。
彼らは俺たちを視認すると
すぐさま
「何やねんお前らァ!?」
怒声を飛ばして来た。
……そして初めて彼らを目にした俺たちは。
ここで豆一族の意味を知る。
豆一族たちは
身体を枝豆の鞘のようなもので作られた防具で覆ってる奴らだったんだ。




