第105話 レイトノーフの街
レイトノーフの門番に大谷さんが何か手続きをし。
俺たちは現地入りした。
馬車は街の中央の砦みたいな場所……
領主の城まで進み。
広場みたいなところに来て。
そこで俺たちは馬車を降りることになった。
ここまでで見て来たところによると
レイトノーフの環境は、リスリーの実家がある農村と似てると思う。
ただ、リスリーの実家の農村は米作が基本だった気がするけど。
こっちでは小麦を作ってるように見えた。
穀物系で水田じゃないみたいだったし。
じゃあ小麦なんじゃないのかな?
まあ、まだ収穫期じゃないのか、ただの緑色の長めの草にしか見えなかったけどさ。
……この国、普通にラーメンだとかうどんだとか作ってるもんな。
だったらどこかで小麦を作って無いとおかしいわけで。
それもあって、俺はここでは小麦を作ってると思った。
そんな風に。
俺が長期の馬車乗りの身体をほぐすためのストレッチをしながら、ここの畑を思い返していると
「マサヤさん」
リスリーが駆け寄って来た。
彼女も馬車を降りたんだから当然か。
彼女とはこの3日間、まともに触れ合う時間がなかったし。
それに
(謝らないと)
休憩時間はあったけど、その短時間でサッと簡単に謝るのは誠意がない気がした。
だから言えて無くて。
だから
「……日本人の中に1人だけ放り込まれて居場所無かったんじゃ無いの? 3日も放置して悪かった」
やっとだけど、そう詫びた。
俺の言葉にリスリーは首を振り
「一緒に乗った女性の方が優しくしてくださいました。日本の女性は優しいですね」
そう言って、心配しないで下さい、みたいに言ってくる。
そっか。
……実は今回のこの任務に、トオルと岩戸さんはついて来ていない。
来る意味が無いからだ。
トオルは自宅の屋敷でスキルを使った情報共有の役割を果たす。
そういうことになっているんだ。
そして岩戸さんのスキルも戦闘向きじゃないし。
そういうわけで待機。
だから、リスリーと仲が良い日本人女子である岩戸さんはこの場には居ないわけだけど……
他の女子も、意外にリスリーに優しかったのか。
……ただ単に、俺に玩具にされてそうだから同情して優しくしただけかもしれんけど。
つーか、多分そうなんじゃないか……?
(まあ、そこには触れないでおくか)
そう思い
「良かった。心配してたんだ」
そう返して。
そこに
「皆! あと数分でここの領主がいらっしゃるから整列!」
大谷さんのその声。
うお、そうなのか。
その声に従い。
俺たちは整列する。
大体4列。
大谷さんはその4つの列をまとめるように先頭に立ち。
そして不良グループは。
俺たちのさらに後ろの場所で膝を折って控えて……
いや、実は。
彼らは結構前からそこから動いてなかった。
馬車を降りてから、ずっとそこだ。
多分大谷さんに「お前たちはそこから動くな」と命じられてるんだな。
大谷さんの個人的復讐と、自分の権力維持のためとはいえ。
さすがにこれは酷いんじゃないのか?
……前に大谷さんにも言ったけど。
今の彼女をソウジが見たら、嘆くよな……。
暗い気持ちになる。
やめて欲しいが、俺には俺の目的がある。
俺は悲惨な目に遭ってる彼らを無視して。
リスリーと一緒に列に並び。
ここの領主を迎える態勢を整える。
大谷さんの言葉通り。
そこから数分後、そこに
「やあやあ召喚騎士兵団の皆さま、王都から長旅ご苦労様です」
立派な口髭を生やした身なりのいい中年紳士が、砦の方から出て来て。
そう日本語の挨拶を俺たちにしたんだ。
日本語を話すということはこの男性は貴族で。
状況的に考えて
この中年紳士がレイトノーフの領主なのか……。




