第100話 初任務
また、例によってノーザリア語の文字で無理矢理書かれた日本語の召集令状が届けられ。
呼び出された以上行かねばならないということで。
俺はリスリーと一緒に王城に向かった。
トオルも前線には出ないわけだけど。
兵団の情報共有のハブだからな。
当然一緒に来る。
で。
トオルと岩戸さんが
何か見るからに軍服っぽい服を着ていてさ。
俺が「そりゃ何だ?」と訊ねると
「俺たちの正装」
そんな言葉が返って来た。
どうも、トオルたち正規のルートで召喚騎士になった人間は、軍服を与えられてるそうだ。
で、こういうときに着用を義務付けられているとのこと。
そこで俺の脳裏に
大谷さんや。
コバルとゴワケの姿が蘇った。
(確かあの3人は、魔族の集落襲撃のときそんなもん着てなかったぞ?)
そう思ったので訊ねると
「あの3人は別なんだ。軍服が気に入らないんだと」
そんな返答が。
……ふーん。
確かソウジは
軍服ってのは戦闘員であることを周囲に示すためのものだから、軽いものじゃない。
そんなことを確か言ってたけど。
そんな「気に入らない」なんて理由で脱いでいいのか?
……それだけこの国の力が大きいってことなのか?
我儘を通しても文句言われないだけの力がこの国にあるとか……?
そんなことを考えながらトオルたちと一緒の馬車に乗り。
王城に向かい。
あの玉座の間に集められた。
俺たちのクラス由来の召喚騎士兵団全員がそこにいた。
……なので、久しく会わなかったクラスの連中もいる。
別に親しい奴らではないけれど
そいつらから
「あっ、村田」
「村田君」
そんな声が聞こえてくる。
で
「……正井君のことはもういいのかしら?」
「お金が無くなって戻って来たのかも」
ひそひそと。
そんな言葉も
……まあ、そう言われるよな。
覚悟はしていたさ。
親友を焼かれた怒りでイキり倒しておきながら。
苦しくなったからと戻って来て、土下座して結局ちゃんと召喚騎士になる。
……何も知らずに見れば「ダッサ」の一言だ。
俺は反論しなかった。
そっちの方がありがたいわけであるし。
それにさ
(マサヤさん)
そっと。
俺の耳元でリスリーが
(気にしちゃダメですよ)
そう、囁いてくれたから。
うん。
分かってる。
ありがとうリスリー。
リスリーが俺のことを理解してくれているから。
俺は別に何を言われたって良い。
そんなことを思いつつ、気を紛らすように周囲を見回すと。
クラス連中の中に、大谷さんと
コバルとゴワケの奴の姿も見つけた。
……3人とも、今度は軍服を着ていた。
大谷さんは軍服の上に、あのド派手なローブを羽織るように身に纏っていたけれど。
こんなところでも着てるなんて……
……あれ、ひょっとしたらダンジョンアイテムなのかもな……。
そんなことを考えていたら
「皆! レフィカル様がお見えだ!」
大谷さんの号令が掛かった。
大谷さんは兵団長。
兵団長の言葉には従わないといけない。
大谷さんが膝を折って控える姿勢を取ったので、俺たちは一斉にそれに倣う。
そこに
「さて、よく来てくださいました」
悠々と。
あのハゲが現れた。
部屋の奥の方から、従者を伴いつつ歩いて来たんだ。
まるっきり、この国の王気取りで。
ハゲは、レフィカルのヤツは。
俺たちが控える中。
言った。
「あなたたちに兵団として最初の任務を与えます」
ハゲから俺たちへの初任務。
それは……
こういうものだった。
「魔族の盗賊団の殲滅をお願いしますね」




