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心からネコを信じなさい〜眠る前の優しい物語〜  作者: 地野千塩


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地と人は神のもの

 お姉ちゃんと喧嘩した。原因は些細な事だった。お姉ちゃんが私の買ったプリンを食べた事だった。


 駅の近くにある可愛い洋菓子屋さんで買ったプリンだった。器も可愛い羊の絵がデザインされている。食べた後も洗って何度も使える素晴らしいものだ。ちょっとした湯呑みにでも出来そうなサイズだった。中身も塩味が効いた甘じょっぽい味を売りにしている。フランス産のいい塩を使っているという。


 お値段は一個800円。


 私はまだ中学生だ。お小遣いを思うと安い金額ではないが、中間テストでも全科目80点超えしたし、自分のご褒美として買った。ただ、家に帰ってすぐ食べるのももったいなく、お風呂入った後に食べるつもりだったのだが。


「え!? プリンがない!」


 冷蔵庫は箱ごとプリンが消えていた。リビングを見て、私は叫びそうになる。お姉ちゃんがプリンをモグモグ咀嚼していた。ほぼ空で可愛い器だけがある……。


「ごめん、ママが買ってきたと思ったのよ」


 どこか適当でいい加減な性格のお姉ちゃんは、あまり悪く思っていないようだった。


「そんなぁ」


 泣きそう。お姉ちゃんは大学生だが、こんないい加減でいいの? 


「まあ、天も地も神様のものよ。もちろん、このプリンも神様のもの」

「うわーん、主語大きくして誤魔化したでしょ?」


 私は涙目だった。うちの家族は全員クリスチャン。聖書の教えも根付いている。この世の中にあるものは、全部神様のもので、人は借りているのに過ぎないという考え方が聖書にあった。


「だったら返さなきゃダメだよ。カエサルのものは、カエサルに、神様のものは神様に返しなさいって聖書に書いてあるよ?」

「わお! そう言われたら、返す言葉はないわね……」


 こうして聖書の話題が飛び交うのも日常茶飯事だった。こんな下らない喧嘩の時にも出てくるので、神様は呆れている気もするが……。


 翌日、冷蔵庫に全く同じプリンが入っていた。「由里子のものは由里子に返します!ゴメンね」という付箋つきだった。ちょっと言い過ぎたかとも思い、私も謝り、これで仲直りができた。


 プリンの噐は結局二個になった。ちょっとしたお茶でも飲むのにちょいど良いサイズで、私とお姉ちゃんで二人で使っていた。


 お揃いのカップを使いながら、終わりよければ全て良しだと思う。まあ、このカップも神様のもの。お姉ちゃんも神様のもの。全部そうだ。そう思うと、プリン一個ぐらいで怒るのもバカバカしくなってくるのも事実だった。


 来週はお姉ちゃんの誕生日だ。誕生日祝いと仲直りの印として、あの洋菓子屋で美味しいお菓子でも買ってこようと思う。

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