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心からネコを信じなさい〜眠る前の優しい物語〜  作者: 地野千塩


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神は高ぶる者を倒す

「鏡よ、鏡さん。世界で一番美しいのは、誰?」

「あなたです、白雪姫」

「だよねー?」


 白雪姫は、鏡を見ながらウットリしていた。雪のように白い頬、丸く大きな目、控えめな口元。綺麗な黒髪、バランスよく女性たらしい体格。鏡に問うまでもなく、完璧なルックスだと思う。


 鏡の中の白雪姫の目は、さらにとろんと溶けていた。


 継母が自分の事を嫌っているのも知ってる。いつか殺されるだろうという予感もあったが、実際、継母はブスなので仕方ない。


「だよねー。私が美しいよね?」


 満足していた白雪姫だったが、継母に城から追い出された。よりによって、人気のない森で、白雪姫は地団駄を踏む。


「何あの、不細工な継母。私に嫉妬しているとか、超ダサいんですけどー」


 ぶつぶつ文句を吐く白雪姫だった。仕方ないので、出口を探すため、森をさまよう。


「うん? 何この変な看板?」


 森の木に、変な看板が掲げられているのに気づく。黒字に白抜き文字で、変な一文賀書いてある。


「死後さばきにあうって何?」


 そう書いてある。変な看板だ。ホラー映画の撮影でもして、小道具でも忘れていったのだろうか。


 無視して森を歩くあ白雪姫だったが、またあの看板。


「神と和解せよ」とあるが、意味がわからない。命令口調でちょっと怖い。他にも「死は罪の報い」とか「悪の報いは死です」など怖い事ばかり、書いてあり寒気がしてきた。


 最後には「神は高ぶる者を倒す」と書いてある看板と目があう。まるで、自分の事か? 鏡を見ながら「私って世界一美女」と自惚れていたのは、否定できない。


 目の前に鏡を持った七匹の小人も現れる。


「白雪姫様も、あと二十年後はババアです♪」


 大きな鏡だった。白雪姫の姿が映るが、そこには二十年後の自分の姿がある。シワだらけで目は窪み、歯はスカスカで、白髪頭の中年女性がいた。


「いやあああああ!」


 思わず叫び、意識を失う。


 次に目が覚めると、城のベッドの上にいた。どうやら、さっきまで見ていたものは、夢だったらしい。


 しかし、怖い夢だった。二十年後の姿を思い返すだけでもゾッとする。


 思えば継母に反抗ばかりしていた。姫として相応しいマナーや教養、語学などを教えてくれていたのに、「ババア、うるさい」などと口汚く反抗していた。こんな夢を見たのも、自分が何か間違っていたのかもしれない。


「お母様、ごめんなさい」


 この日を境に白雪姫は、心を入れ替え、姫として相応しい人間になれるよう勉強を頑張るようになった。同時に城では白雪姫の味方も増え、縁談もスムーズに決まってしまった。あの鏡も継母にあげた。


 毒林檎で白雪姫を殺そうと考えていた継母だが、この結果には悔しくて仕方なかった。表向きはマナー教育と称してパワハラをやっていたのに、向こうは真面目に勉強し始めて計画が狂ってしまった。


「鏡よ、鏡。この世で一番美しいのは誰?」

「あなたです、お妃様」


 毎日そう言われるが、嬉しく無い。実際、鏡の中の自分は日々劣化していく。


「嘘おっしゃい!!!」


 ついに継母は気が狂い、鏡を滅茶苦茶に叩き割ってしまった。


 一方、白雪姫は隣国の王子と結婚し、キリスト看板設置に生涯を捧げた。あの変な看板は遠い島国にあるキリスト看板というものだったが、白雪姫にとっては命の恩人のようなものに思えて仕方ない。国の至るところに「死後さばきにあう」「神と和解せよ」といったキリスト看板が溢れ、国の犯罪率や自殺率を下げる事に成功しているのだという。


 めでたし、めでたし。


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