歓迎会
『お、メラが帰ってきた』
遠くに見える山の山頂付近で
魔力の塊が赤く揺らめいている。
なんて思っているとグングン近づいてくる。
は、速い!
健太の目の前に筋骨隆々の
赤黒い鬼の様な精霊が着地した。
衝撃で地面が抉れている。
踏みつけられただけで健太は
死亡していただろう。
『おいテメエ!』
鬼の精霊が健太の目を睨みつける。
『なんだ?その目は?えぇ?』
『すみません、なんでしょうか?』
『いっちょ前に赤い目なんかしやがって!
カッケーじゃねぇか!よし!気に入った!』
『は、はぁ?ありがとうございます。』
『俺様はメラ!もちろん火属性だ!夜露死苦!』
『森城健太です。夜露死苦お願いします。』
『なんだぁその挨拶は?おぉん?
先輩に対する礼儀っちゅうもんが
しっかり伝わって来るじゃねぇか!おぉん?
イカしてやがんなぁおい!』
陰キャの健太は陽キャなメラのテンションに
ついていけない。そもそも看護士以外との
人との関わりが皆無だった健太の脳には
こういうのが陽キャっていうんだろうな。
などと間違った情報が書き込まれていく。
『おぃ!健太ぁ!てめぇなんだその
モヤシみたいな肉体は!舐めてんのか?
俺様が肉狩ってきたから喰え!!
そんなんじゃシルヴェリアの姐御は
守れねぇーぞ!おぃ!』
『そうだぞ健太。シルヴェリア様を守るには
強靭な肉の壁を作り上げないかん!
しっかり肉を喰らうのだ!』
ルドルグの便乗してくる。
『俺様とルドルグで左右を固める!
健太オメェは一番前だ!光栄に思え!
ギャハハハハ!』
『それって一番最初に僕が死ぬじゃないですか』
健太は相手のテンションに合わせるのが
苦手ではあるのだが
こういう男の友情?
みたいな会話に少し憧れていたため。
内心では喜んでいたりする。
そんな時シルヴェリアが宴会場に現れた。
『みんな聞いてください。
本日、森城健太さんが
我々の新しい家族に加わりました。
私と同じ霊子持ちです。
食べたかったらしっかり精霊魔法を
教えてあげてくたさいね!
私からは以上です。
次に健太さんから一言どうぞ』
急に振られて焦る健太。
『あ、えーっと。
僕は魔法も精霊も存在しない世界に
ずっと住んでいて、その時から
精霊魔法とかカッコいいから
使ってみたいとずっと思ってました。
こうして皆さんに出会えたこと
とても嬉しく思ってます。
これからご指導、ご鞭撻のほど
夜露死苦お願いします。』
初めての挨拶に一杯一杯の健太。
そんな彼を温かい目で見守る精霊たち。
精霊達は知っている。
今の人間たちは
意思の薄弱な子供の精霊達を
契約と称して奴隷の様に使役して
精霊魔法を行使するのだ。
そんな人間ばかりを見てきた
彼らからすれば健太の態度は
とても好ましく見えるのだ。
力になってやりたい。
そんな関係を作れる
精霊術師は強くなる。
健太は精霊術師への
第一歩から最高のスタートを切ることが
できたのだ。
シルヴェリアに仕える大精霊達だけでなく
今夜集まったすべての精霊達から
祝福される健太であった。
当然のことながら
健太はこのあと
初めての飲酒に挑戦し、
ベロベロになって倒れてしまった。




