ここはどこ?
緑いっぱいの雑木林の中、
健太は1人大の字になって寝ていた。
風がサラサラと優しく頬をなでる。
ポカポカと気温も暖かい。
(気持ちいいなぁ。)
「はっ!?」
健太はガバっと飛び上がるように
上体を起こし。周りを見渡した。
「ここ何処だ!?」
病院の中庭か?などと考える。
健太は混乱していた。
身体を見下ろすと
病室で着ていた部屋着のままだ。
改めて現在地を確認しようと
建物を探すが見渡す限り林だった。
小鳥らしき鳴き声も聞こえる。
小さな見たこともない可愛らしい花も
所々に咲いている。
そしていつもの感覚と
まったく違うことに気づく。
(体が怠くない!?)
健太はゆっくり立ち上がる。
両腕を上げて背伸びをする。
空気を思いっきり鼻から吸い込む。
すると、これぞ自然って感じの匂いがした。
自然の匂いとか初めてで語彙力が
最低値を下回っていた。
「ヤッバ、最高!」
とりあえず歩こうと思って進み出す。
散歩とかもしたことないので
このままだと、間違いなく遭難するだろうが、
健太の気分は最高だった。
これまで何年も続いていた
身体の怠さも、高熱による目眩も
何も感じなかった。
だがここで
違和感というか明らかにおかしなものが
目に入った。
空中に、ぽわっとした
野球ボールくらいの光が
何個も浮いているのだ。
両目をこすって目を凝らす。
まだ浮いている。
というか光の玉以外にも
何かおかしい。
目の前がまるで
コップの中の水に
砂糖を溶かした時のように
モヤモヤっとした何かが流れていた。
「げ、幻覚??」
新しい薬でも投与されたのかと疑う。
そう思って見てみると
木も草花も普通の色じゃないような
気がしてきた。
だが健太はしっかりと自然を
味わったことがないので
何がおかしいのかわからない。
すると今度は
背後に何かの気配を感じ、
勢いよく振り返った。
するとどうださっきまで周りに
生物などいなかったのに
健太の目の前には
身長2mほどの男が立っていた。
驚いた健太は思わず尻餅をついた。
男も驚いた様子で
目を見開いている。
そして口を開いた。
「Жᛟความลึกลับ?」
「はぁ!?」
「 ₪จักรวาล?」
「ごめん。何言ってるか全然わからない」
男は健太をじっと見つめた。
そして、声は聞こえないのに
脳に直接、理解できる言葉が響いた。
『貴様、何者だ?』
『何処から侵入した?』
「ぼ、僕は森城健太で、す。
侵入と言うか気がついたらここにいま、した。」
男はじっとこちらを見つめ
困ったように頬を指でかいた。
『貴様、念話はできんのか?』
「ね、ねんわ??」
『声に出さず、思ったことを俺にぶつけろ』
「はぁ?」
『気合いでぶつけろ!』
(ねんわ??…もしかして念話??)
(異世界通話の念話か??)
それから男の目をじっと見つめること
10秒ほど
『き、聞こえますか?どうぞ?』
『ほう、もう出来るようになったか。
先程の気配察知といい、やるではないか!』
男はうんうんと頷きながら答える。
『す、すみません。僕は森城健太と申します。
ここはどこであなたは誰ですか?』
『ここは精霊神シルヴェリア様の領域だ。
そして俺の名はルドルグ。近衛だ。』
男が冷静に返答してくれるので
健太も少しずつ落ち着いてきた。
『それで?貴様は何処から侵入してきた?』
最初の質問の続きのようだ。
『えっと侵入というか、気づいたら、そこで寝ててさっき起きたばかりです。』
さっき目覚めた場所を指差す。
『貴様、神族か?生まれたてか?』
『え?親族?どういう意味ですか?』
『あぁ、もう俺もわからん!
貴様を拘束する!痛い目に合いたくなければ
抵抗するな!他の家族の所に連れて行く!』
そう言いつつルドルグは
足の裏で地面を軽く叩いた。
それとほぼ同時に健太の足元から
土管のようなものが飛び出して来て、
健太の肩まで来たかと思った瞬間、
グッと締まり、まるでカッパ巻のように
拘束されてしまった。
それも驚いている間もなく
ルドルグは健太巻の土管を
ひょいと肩に担いで歩き出すのだった。




