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第6話:最深部のドラゴンと、適当すぎる宝物庫荒らし

ズゴゴゴゴゴゴ……ッ!!


「ヒャッホォォォ! 地下迷宮スライダー、最高ーっ!」


私は壁伝いに猛スピードで爆走(爆滑?)し、あっという間にダンジョンの最深部らしき巨大な空間へと到達した。

そこはドーム状の広大な岩穴で、中央にはマグマの池が煮えたぎっている。いかにも「ラスボスがいます」と言わんばかりの雰囲気だ。


「さーて、終点に着いたけど……」


『グルルルルル……!!』


地鳴りのような咆哮と共に、マグマの奥から巨大な赤いドラゴンが姿を現した。

全身を覆う頑強な鱗、鋭い牙。まさにファンタジーの王道にして頂点。


『我は炎の——』

「あー、ごめんちょっと待って。熱い! マグマの熱が壁伝いに来てめっちゃ暑いんだけど! サウナかここは!」

『……は? 貴様、なぜ壁から生えて……いや、我が灼熱の息吹で灰に——』

「ええいうるさい! クーラーつけろクーラー!」


私はうだるような暑さにイライラして、適当に壁魔法を発動した。

ズガンッ! と天井の岩盤がひしゃげ、超巨大な「石のハエタタキ」が形成される。


バアァァァァァンッ!!!


『ギャベッ!?』


巨大な石のハエタタキが上から勢いよく振り下ろされ、哀れなドラゴンはカエルのようにペチャンコに潰れて白目を剥いた。


「よし、静かになった。さて、お宝お宝〜っと」


あっけなく(適当に)ボス戦を終わらせた私は、スルスルと壁を移動して部屋の奥へ向かった。

そこには、いかにもな重厚感のある「宝物庫の扉」がそびえ立っていた。


「おっ、いかにも怪しい扉! 絶対この中にレアアイテムとか金貨があるやつだ!」


しかし、扉には巨大な南京錠のような鍵穴がついており、ビクともしない。どうやらボスのドラゴンが鍵を持っていたか、どこかに隠されているらしい。


「うーん、鍵がないなあ。アレンがいればピッキングとかしてくれそうなのに」


私は数秒だけ悩んだ。

そして、すぐに天才的な解決策を思いついた。


「あ、そっか。扉を通る必要ないじゃん」


私は扉の横の「ただの壁」に意識を集中させた。

そして、自分が埋まっている壁を、ふすまを開けるように横へ「スーッ」とスライドさせる。


ゴゴゴ……。


扉はそのままだが、横の壁がパッカーンと開き、宝物庫の中へと続く真新しい入り口(というか隙間)が完成した。

防犯システムも物理的な頑丈さも、壁そのものを自在に動かせる私にとっては完全に無意味であった。


「お邪魔しまーす」


壁伝いに宝物庫へ侵入すると、そこには金銀財宝の山……ではなく、部屋の中央の台座に、ソフトボール大の怪しい水晶が一つだけポツンと置かれていた。


「なんだ、お金じゃないのか。でもこれ、いかにもキーアイテムっぽいよね」


私は台座のすぐ横まで壁をスライドさせ、手を伸ばした。

上半身しか出ていないためちょっと距離が遠かったが、「えいっ」と壁を少し前に出っ張らせることで見事に手が届いた。


「とりあえず、触ってみるか。ツンツン」


人差し指で、その透明な水晶に触れた。

瞬間。


ピカーーーーーーーーッ!!!!


「うわっ、眩しっ!?」


適当に触った水晶が、私の魔力(あるいは壁の成分?)に反応したのか、突如として目が眩むような強烈な光を放ち始めたのだった。

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