162話 Aランクパーティのその後
Aランクに昇格した『紅蓮の暁』は六人の冒険者による探索パーティである。
リーダーのアインは高い攻撃力をもつ剣士。
重装甲で大きな盾をもつグスタフ。
変幻自在の槍使いテムジン。
強力な魔法を使うスラン。
貴重な回復術士であるマリアナ。
そこに、優秀なスカウトであるマーカスがパーティの雑用なども行っていたわけだが、今はもう一人の魔法使いに入れ替わっている。
「新しいメンバーのハノンだ。スランとは別系統の魔術師で、攻撃の幅が広がる。これまでよりも楽に成果を出せるだろう。これで俺達はトップランカーの地位を不動のものにできる」
アインがパーティの前でそんな演説をする。
その横に立っているのが女性の魔術師。結構な美人さん。
「歓迎するぜ、ハノン」
「是非、私と魔術談義を」
「あんたの安全は俺が守ってやるから、安心しな」
残りの男性メンバーも、鼻の下を伸ばしている。
神官服を来た女性だけ、ちょっと不満そう。
「しかし、今日はろくな依頼が無かったよな。せっかくの新メンバーなんだし、強い魔物で力試ししたかったぜ」
「だなあ。今まで程度の敵じゃ、楽勝過ぎるだろ」
「ああ、だから、今回は未踏破の地を進んで行こうかと思っている。新しい魔物を倒せるかもしれないぞ」
「ちょっと、大丈夫なの? それ」
「なんだよ、ビビってんのか? マリアナ。せっかく口うるさい臆病者が居なくなったんだ。もっと冒険しようぜ」
ああ、やっぱりそんな話になってるのか。
見に来て正解だったな。
「よし、目指すは北だ。行けるところまで行くぞ」
リーダーの掛け声で一行は北へ進む。
探索エリアはジェル島北部に連なる島を越えて、既に外周大陸まで到達している。ここから先は広い大地だ。
当然、車どころか馬や馬車なんてものも無く、歩きで進む。
そして、危険があればそれを排除。変わった植物や鉱物があれば採取してゆくことになる。
そんな一行を俺は地面の下から観察している。
土遁アースハイドにより、地下に作ったアースシェルの中に潜み、そのままアースシェルごと地面を操作することで移動する。さほどスピードは出せないが、歩く速さならなんとか付いて行ける。
アースシェルの中でリクライニングチェアに寝そべり、お茶とお菓子を食べながらの観察である。
ポテトチップスはみんなにも好評だったので、今ではバードマウントの店で普通に買える。
最近は、塩味以外にも、コンソメ、バター、焼き海苔、激辛などバリエーションも多い。
激辛が誰の発案かは想像にお任せするが、今こっそりとバードマウントの住人の中で激辛ブームが起きているらしい。
甘味、塩味、辛味のループを始めると、止まらないな、おやつは。
おっと、アースサーチに反応あり。
……でかいな、これ。
一行の行く先、右手に崖のような高台があり、それを回り込むように北へと進んでいるが、その崖の向こうに何かがいる。
「もう、リーダー、もう少し隊列を意識して」
神官女性からはそんな苦言も出ているようだ。
にも関わらず、新人美人魔術師を囲むように横一列に並んで進む一行。
街中でそんな歩き方をすれば迷惑この上ない。
もちろん、こんな人里離れた場所で他人の迷惑なんて存在しないが、今度は彼ら自身の安全が脅かされることになるな。
ぐがぁぁごぉぁぁぁっ。
崖を抜けると同時にお互いの姿を確認し、警戒体制に。相手は……ティラノサウルスだねぇ。
まず最初に怒鳴り声での威嚇をしてくる。
この辺にもいるのか、あれ。




