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正しい土魔法の使い方 ~理系おじさんの異世界生活~  作者: 麻鬼


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147/159

147話 復活

胸に刺さった光のイバラは、痛みをもたらしはしなかった。しかし、それは強く存在を誇示し、力をもって俺を掴んで離さない。

それと同時に、俺の中から何かが吸い上げられる感覚。

イバラの残り五本はタケル君達に向かって伸びる。


「貴様も異世界人らしいな。いいぞ、得られる力が多ければ多いほど神兵は強くなろう」


「何が神兵だよ、さっきは戦傀儡って言ってたぞ。お前も意味を知らずに呪文を唱えてる口か?」


俺は胸に刺さったイバラを片手で掴み、台座へとさらに踏み込み、手を伸ばす。

そして、タケル君達に届く前の残りのイバラを掴んで引き寄せた。


「力なんかやらねえよ。その代わり、燃料は満タンにしてやるから、それで我慢しな」


正直やりたくなかった、というか、試したくすら無かったけど。

全部のイバラを自分に刺す。

全てのイバラへと体内にあるものが流れ出して行く感覚。

一度に六ヶ所で献血したら、こんな気分になるのだろうか。

卵を六パック貰っても使いきれねえよ。

……いや、お菓子なら速攻で無くなるな、きっと。

バケツプリンとか作れそうだし。


「おお、なんと貴様エルフか。神兵のエネルギーが溢れて行くぞ」


アオイは歓喜を浮かべて天を仰ぐ。


「私は……私は、やりとげた。やりましたよ、我が主よ」


アオイの両の目から流れる涙、のようにヒビが走る。ヒビは顔を覆い、両の手足の先まで伸びる。


「主……様……」


その言葉を最後に、アオイの姿は粉となって地に流れる。

目的を達成して満足したかのような無責任な粉だ。


「……くそ、なんか怠い」


貧血でも起こしそうだ。

とはいえ、休んでもいられない。アオイが消えるのと同時にメダルの光もイバラも消え去っている。

俺は台座からメダルを取り外し、ブラックボルダーへ。

先の予定通り、タケル君達を石で覆い、ブラックボルダーへと固定する。


「シンディ達は……あっちか。大分流されたな」


コンテナはかなり離れた位置へと着地したようだ。

結果としてはラッキーだった。早くこの場を離れないといけないから。

地面の底からせり上がってくるような大きな感覚は、俺を急き立てる。波に持ち上げられて運ばれてしまう木の葉のように。

もちろん、それに抗おうとも思わない。ホバーフォームでの最大加速で場所を移動し、コンテナと合流する。


「旦那、無事だったか。どうなってんだい?」


「無事じゃねえよ。寿命が千年縮んだわ」


不老だけどな。

賭けではあったけれど、千年の寿命を吸われても、俺は死なずに済んだ。

白髪くらいは増えるか? ……まあ、いまさらか。

地面に並べて、タケル君達の拘束を解く。


「ヒース君、治療を頼む」


「わ、解りました。……あなたもですよ。治療を受けてください」


を、回復魔法初体験か。まあ、でも俺は最後だな。

簀巻きになっていた三人の口にタケル君印のわらび餅を突っ込む。

うん。息はあるし、ちゃんと飲み込んだ。これなら簀巻きをほどいても大丈夫そうだ。


「お、おっさん……」


「はいはい、反省会は後でね。まだ終わってないからねー」


タケル君、ユウタ君もヒース君の治療で起き上がったようだ。

その間も背後で膨らむ気配は際限無く大きくなって行くかのよう。


「ファイナルラウンドかなぁ」


地面から大量の土砂が吹き上がる。

墓場から抜け出してくるゾンビのように、人の形をしながらも、その手足が動くことには不条理しか覚えない。


「で、でけぇぞ、おっさん……」


ブラックボルダーからですら、さらに仰ぎ見るほどの巨体は、この平野をかつての闘技大会で使ったリング程度に見せてしまう。

対戦相手は蟻しか居ないんだけどな。


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