130話 地の底へ
「どうぞ。狭いですが、ボクの部屋ですから、一先ずここなら大丈夫です」
と、連れられて行ったのは、確かに狭い部屋。
ベッドと小さな机があるだけの、ビジネスホテルどころかカプセルホテルのような質素倹約さ。
そこに5人の人間が居ることになる。
ただ、同じ様な部屋がたくさん並んでいるというわけではなく、離れにある様子。一応、お偉いさんの血縁者だからかな?
「とりあえず、まずはありがとう。助かったよ。でも、大丈夫なのかい? 匿ったりして」
「いえ、アイリスさんとカエデさんに頼まれただけですから」
おや、お知り合いだったのね。
例のお偉いさんネットワークなのかな。
「おい、おっさん……」
タケル君がつついてくる。
この子、たまに人見知りを発症するよな。
解ってるよ。
「ちょっと人探しをしてるんだけど、協力してくれないかな、ヒース君。えーと……」
あれ?
「そういえば、どんな外見してるか聞いてなかったな。タケル君、説明」
「お、おう。背の小さい女が一人いて、髪は白くて腰くらいまで長い。あんたみたいな白い服を着てて、アオイって名乗ってた」
髪以外はヒース君と似てる感じか。おっと、性別も違ったか。
「で、あと4人が一緒にいるはずだ。4人とも俺と同じ黒髪黒目で、男二人に女二人」
落ち着け、タケル君。君の髪は茶髪だぞ。
最近染めたのかな?
こちらの質問に対するヒース君の答えは……。
「はい、心当たりは……あります」
を、やった。一発で当たり。
六人も経由しなくて良かったじゃんね。
「ただ、枢機卿のお一人と常に行動しているので、直接会うのは難しいでしょうか」
うーん、部屋とか教えてくれれば。こっそり会いに行けないかな?
「四人の方だけと会って話をしたいんだけど……」
「それに関して、ボクの方からも提案があります。いつまでもこの部屋で隠れ続ける、というわけにも行きませんし」
まあ、狭いしね。食事はタケル君に頼ればなんとかなりそうだけど、人間はそれだけでは済まないし。
詳しい話は場所を移してから、とのことで待つこと深夜。
まあ、出来るだけ要望を聞くつもりではあるんだけど、勿体ぶられると不安になるなぁ。
やって来たのは、石造りの建物のさらに地下。
蝋燭の乏しい光に照らされたのは、並ぶ石棺に小さなたくさんの石像。
足元に置いてあるせいで蹴飛ばしそう。
「ここは、代々の教皇様がお隠れになる霊廟なのです」
つまり、お墓か。蹴飛ばさなくて良かった。
「ひっ」
アイリスとカエデはお互い抱き合っている。
苦手なのかな? お化け。
タケル君は平気そう。
俺?
まあ、何あるか判らないからね。備えはするよ。
胸元にある固い感触を確認して、安心してるってのはあるかな。




