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休養④

次の日。


おばあちゃん家のリビングにて。


霊酒とルシェナのケーキーーー今回はカスタードのタルトを持ってきたお母さんが、


「そろそろ部屋に閉じこもってばかりで退屈でしょう、午後から外に出ない?」


と言って来ました。


「・・・どこに行くの?」


わたしが聞くと、お母さんは、


「水族館、〈夢殻(ゆめがら)〉届けに行くの」


と、言いました。








午後の3時頃、わたしとお母さんは準備をして、車に乗り込みました。


マナ化した体は、ほぼ肉体に戻り、発光も治まりました。


多分、明日には、完全に元に戻るんじゃないかな。


服も、今日からイメージを実体化した物じゃなく、普通の布の服を着てきました。


紫色のセーターに黒のジーパンです。


「今度の休みの日に行くって言ってなかったっけ?」


シートベルトを締めながら、わたしはお母さんに聞きます。


「そうしようと思ったんだけどね、昨日、雅都(まさと)から、日曜日の日中、友達と1日遅れのクリスマスパーティーするから、桜雫(さくな)と奏都(かなと)の事見ててくれって言われちゃったのよー・・・」


「・・・・・・」


「慈(めぐ)ちゃんも、その日友達と会う日らしくて、あたし達しか桜雫達を見てる事出来ないみたいなのよ・・・明日はクリスマス当日で当然余裕無いし、だったら今日行こうかなって・・・」


「・・・・・・」


「お母さんのお迎えもあるし、丁度いいしね」


お母さんの話を聞き終え、わたしは無意識に宙を仰ぎます。


(・・・日曜日は桜雫と奏都の子守か・・・別にお母さんと一緒だからいいけど・・・)


今週の日曜日は大変そうです・・・。


「そんじゃ、出発しますか!」


そう言って、お母さんは車を発進させました。


わたしはぼーっと、外の方を見ていました。








水族館は、渡霜(わたしも)の南にあります。


深海色の丸い建物で、入り口では、山羊さんの密生(みお)さんが、黒柴のしっぽが生えた黒猫の姿で出迎えしてくれます。


山羊さんとは、仕事で山羊座の〈祝福(しゅくふく)〉を行使する人、全般を指す言葉です。


外で瘴気溜まりを〈散らし〉てる天秤さん達も同じで、日によって、人数が増えたり減ったりしています。


山羊座の神話に出て来る、牧神パンは、神々の宴会に現れた怪物から逃げる時に、他の神々同様、動物に変身して逃げようとしました。


しかし慌てて変身してしまった為、上半身はヤギ、下半身は魚のおかしな姿になってしまったそうです。


なので山羊座の〈祝福〉を使うと、2つの異なる動物をかけ合わせたような姿に変身出来るようになります。


なので密生さんも、体は猫、しっぽは犬の奇妙な姿をしているのです。


なぜ、普段から変身した姿でいるのかって?


・・・さあ?何ででしょうねぇ・・・。


「密生ちゃん、こんにちわ」


水族館の入り口に着くと、お母さんは元気な声で密生さんに挨拶しました。


「こんにちわ樹雫(ゆな)ちゃん」


密生さんは、おっとりとお母さんに挨拶します。


自動ドアの横の白い椅子の上に、密生さんはいました。


「今日はどんなご用?」


密生さんが、くるんと立った黒柴のしっぽを回しながら言いました。


「この前、〈ダナ〉を駆除してねー。その時出た〈夢殻〉を持って来たの」


「この前・・・そう言えば今日の午前中、咲月(さつき)ちゃんが稚魚を持って来たけど、もしかしてあれの?」


「そう」


「樹雫(じゅな)、忙しいのに大変だったでしょう・・・」


「いや、駆除したのはあたしじゃないのよ・・・」


「?じゃあ誰が?」


「癒雫がやったの」


「癒雫ちゃんが!?」


密生さんが、まんまるな目でわたしの方を見たので、わたしは、


「どうも」


と、お母さんのうしろで、適切なのかそうじゃ無いのかわからない言葉で挨拶しました。


「大丈夫だった?1人でやったの?」


密生さんの、ちょっと心配したような言葉に、


「いいえ、結界担当の金森先生と一緒に・・・」


わたしは、正直に答えます。


「1人でやったんじゃないっ!」


わたしは人差し指で頬を掻きます。


多分、苦笑いもしてたと思います。


〈ダナ〉の駆除は、基本的に、2人かそれ以上の人数で行います。


必ず1人は、〈ダナ〉のいる巣の入り口に、結界を張る人が必要だからです。


〈ダナ〉や、〈ダナ〉を倒した時に出て来る稚魚を外に逃さない為に。


稚魚は、〈ダナ〉の瘴気と結びついた人達の思いが、〈ダナ〉の中で育って生まれた物だから。


それらは孵ると、思いの素になった人間の元へ帰ろうとするのです。


戻った稚魚は、素になった人間の魂と溶け合い、魂を〈ダナ〉へと変質させます。


そうならない為に、稚魚は生まれたら捕まえて、水族館で浄化しないといけないのです。


さて、話を戻します。


わたしと、お母さんと、密生さんは、水族館の中に入りました。


中に入って、最初に目に入るのは、一面に広がる虹色の魚達。


ドーム状になっている水族館内部は、天井も含め壁一面が、水槽になっていて、魚達が縦横無尽に泳いでいるのです。


魚の他には、密生さんのような山羊さんの職員さん達が、猫の人魚の姿で、大きくなった魚を捕まえているのが見えました。


きっと、別の水槽に移す為です。


まるで、キラキラした、明るい色の海の中にいるような、不思議な気分になる場所です。


更によく見ると、水槽の壁には扉がいくつかあって、そこが、トイレや事務室等の施設になっています。


入り口から左右に見える所には階段があり、そこから2階へ行けるようにもなっています。


「それじゃ、行って来るから待っててね」


お母さんはそう言うと、入り口から見て中央にある大きな扉に向かって歩いて行きました。


「休憩所で待ってましょうか」


密生さんの提案に、わたしは、


「うん」


と、返事をします。










休憩所は、1階を一望出来る2階の右側にあります。


少し大きめの茶色い扉を開けると、中は、床以外の壁と天井が透けていて、水槽の内側が見える造りになった四角い空間になっています。


木のテーブルや、柔らかな光の星のようなガラスの照明や、赤いソファ、本棚やテレビ等が置いてあって、一部のスペースは、子供の遊び場にもなっています。


入り口から左側は、バーのようなおしゃれな売店になっていて、ソフトクリームや軽食やお茶等が頼めるようにもなっています。


(懐かしい・・・)


わたしは誰もいないのを確認すると、まっすぐ赤いソファまで行き、ぽふん、と座りました。


「癒雫ちゃんがここに来るの久しぶりねー」


密生さんが、わたしの座っているソファの隣に立って言いました。


「最後に来たのは6年くらい前かしら?」


「うん、専門学校に通ってた時に1回だけ来たよ」


わたしは、当時を思い出します。


あの頃は、課題の卒業制作が思うようはかどらず、色々いっぱいいっぱいでした。


「子供の時は、よく雅都くんと一緒に樹雫ちゃんに連れられて来てたわよねー・・・」


「よくソフトクリーム買って貰ってたね、ここに来てくつろぐの好きだったなぁ」


「よく雅人くんがここで寝ちゃって、最後は樹雫ちゃんがおぶって帰ってたっけねー」


「雅人はこのソファで寝るの好きだったよね」


「そうだったわねー」


「へへへ・・・」


「ふふふ・・・」


しばらく昔話をして、それからは、話したり話さなかったり・・・。


ほとんど、密生さんが話を振ってくれて、わたしがそれに受け答えしていました。


「そう言えば癒雫ちゃん、この前〈ダナ〉を駆除したって言ってたけど、その後、調子どう?」


密生さんが何気なく聞いて来ました。


「うん、ちょっとマナを消耗して、呪いの波動を受けたけど大丈夫・・・おかげで朝昼晩毎日ケーキ三昧だよ」


「ケーキ三昧?・・・ふふっ、あっははははっ!」


わたしの言葉に、突然、密生さんが笑い出しました。


「どうしたの?」


わたしが、心から不思議に思い聞くと、密生さんは、前足で顔をくしくししながら言いました。


「それねー、樹雫ちゃんが昔よくやってたヤツなのよー・・・わざと呪いを溜めて、毎日ケーキ食べれるようにして」


「そうなの!?」


「そうなのー、ふふっ」


「・・・そうだったんだ」


わたしは、笑っていいのか困っていいのかわからず、顔をひきつらせます。


〈ダナ〉を渡霜に抑え込む一族と、金森先生のように、後天的に〈祝福〉を授かったこちらの世界の人は、定期的にルシェナの蜜で出来た食べ物を摂取しなければいけません。


理由は、自分自身の負の感情が呪いに変わり、マナに溜まってしまうからです。


溜まった呪いは、やがて精神を乗っ取り、暴走します。


なので大抵、ごはんのデザートとか、飲み物等の形で、1日1回は食されています。


「だ〜れ〜、わたしの話をしてるのは〜」


噂をすればお母さんがやって来ました。


「お帰り、遅かったわねー」


密生さんが、黒柴のしっぽをくるんと回しながら言いました。


「所長と管理番ちゃんの世間話につき合わされてね・・・」


お母さんは、少しくつろぐようにして、すぐ側の椅子に腰かけます。


「お腹空いたわー・・・癒雫、何か食べない?」


「え・・・」


「もう普通の食べ物を食べても大丈夫よ。何がいい?」


お母さんが、テーブルの上のメニューを差し出します。


〈常世返り〉してる間は、霊酒とルシェナの蜜で出来た食べ物以外は食べられないのです。


「・・・・・・んと、じゃあ・・・」


そう言って、わたしが指を指したのは、


「これ、アメリカンドッグ食べたい」


わたしは、アメリカンドッグの文字を指さして言いました。


「ん・・・密生ちゃん、アメリカンドッグ2つお願い」


「はい、ちょっと待っててね・・・」


お母さんの注文を聞き届けると、密生さんは、売店裏のキッチンへと消えて行きました。


「・・・お母さん、密生さんって、料理する時、どんな状態で料理してるんだろう・・・」


わたしが聞くと、お母さんは、


「キッチンの中がここからじゃ見えなくて良かったわね・・・」


ぽつりと呟くように言いました。


「・・・うん」


しばらく、2人でスマホを眺めながら待っていました。


「おまたせ」


気がつくと、密生さんは2足歩行で、アメリカンドッグの2つ乗った皿と、ケチャップとマスタードがそれぞれ入った容器を乗せたトレーを持って、足元に立っていました。


お母さんは、慌ててトレーを密生さんから受け取ります。


「熱いから気をつけてね」


密生さんは、お母さんにトレーを渡すと、4足歩行に戻って、わたしの座っているソファの右側に飛び乗りました。


そして、ちょこんと座りました。


わたしはお母さんの持つトレーからアメリカンドッグを取って、ケチャップとマスタードをかけます。


そして、やけどしないように、かぶりつきました。


「・・・!」


カリッとした表面に、ふわふわの甘い衣と、ほんのりしょっぱいソーセージ。


熱さではふはふしながら咀嚼すると、それらの味に加え、ケチャップとマスタードの酸味が追いかけて来て、


「うんまいっ!」


わたしは思わず叫んでいました。


「でしょー、ケーキ三昧の終わりに食べるアメリカンドッグ、おいしいでしょー」


お母さんが、笑いながら得意げに言います。


「あたしもよくやったわー」


そして、自身もアメリカンドッグにかぶりつくと、


「んー、んまい」


と、呟きながら、満面の笑みで味わい尽くしていました。


すぐ横で、密生さんが、それを目を細めて笑いながら眺めているのが見えました。


壁の時計が、ポロンッと、ピアノのように鳴り、午後の4時半を知らせます。









「じゃあね、密生ちゃん」


入り口までお見送りしてくれた密生さんに別れの挨拶をすると、お母さんとわたしは、急いで車を走らせました。


「少し遅くなっちゃったわね」


「うん、急いで、おばあちゃん迎えに行こう」


わたしとお母さんは、おばあちゃんのいる討伐場へ向かいます。









討伐場に着くと、おばあちゃんは、一族の人達のマナを修復し終えた後でした。


「さあ、最後にもうひとふんばりしなきゃねー」


口調はのんびりですが、声の調子は力強いです。


おばあちゃんを乗せ、わたし達は、渡霜じゅうの各施設や、天秤さん達のマナを修復しに回りました。


南から西へ、西から北へ。


おばあちゃんとわたし達は、色んな人のマナを修復したりしなかったりして回ります。


最後に、わたし達の住む東へ向かい、そこでの修復が終わると、最初に車で向かった水族館へ戻って来ました。


「さて、ここで最後ね」


おばあちゃんはそう言って、水族館内部へ入って行きます。


わたしとお母さんも、それに続きました。


外は、もうとっぷりと日が暮れて、真っ暗でした。


にも関わらず、水族館の中の水槽は、昼の海の中のようにキラキラ明るいです。


照明をつけてるからとかそういうわけではありません。


昼夜問わず、ここの水槽の中の水も、魚も、常に光を含んでいるのです。


「今からマナの修復を行いますので、必要な方は前へ来てください」


おばあちゃんが呼びかけると、何人かの職員の方達が前へやって来て1列に並びました。


ほとんどの方は、山羊さん達です。


今は、皆さん人間の姿になっています。


「お手を・・・」


おばあちゃんがそう言うと、一人目の方が両手を差し出しました。


おばあちゃんは、差し出された両手を、自身の両手で包むように握ります。


目を閉じると、おばあちゃんの体が金色に光はじめました。


柔らかで優しい、月の光のような金色が、昼の海のような水族館内を照らします。


光は、おばあちゃんの体から、手を伝い、職員さんの体へ移りました。


光が完全に職員さんに移ったのを見届けると、おばあちゃんは手を離し、金色に光る職員さんをしばらく見守ります。


そして修復が終わると、光は、ゆっくりと、職員さんの体の中に溶けて行くように消えて行くのでした。


修復を終えた職員さんは、少しふらつきます。


咄嗟に、お母さんが側に寄り支え、近くの椅子に座らせました。


「癒雫も手伝って」


お母さんに言われ、わたしも一緒に、修復が終わった人達を座らせる手伝いをします。


2人目、3人目と、おばあちゃんは、山羊さん達を修復していきました。


最後の方が終わり、お母さんが椅子に運ぶと、修復作業は終了です。


幸い、椅子には、修復した人達全員、座る事が出来ました。


「・・・これで終わり、でいいのかしら?」


おばあちゃんが誰にもでも無く尋ねると、


「ああっ!待って下さい待って下さいぃ!!」


突然、入り口から見て中央にある大きな扉が開き、中から、お団子ヘアで背の低い、メガネをかけた、左目の下に泣きぼくろのある若い女の子が、こちらに向かって走って来ました。


「この人も修復して下さい!さっきやっと乾かしおわったんですっ!」


女の子は、何かを両腕で抱っこしていました。


おばあちゃんとお母さんとわたしが、女の子の側に駆け寄り、その抱っこしている物を見ると、よく見覚えのある黒柴のしっぽが、だらんと垂れています。


「密生ちゃん?」


おばあちゃんが、ぽつりと言います。


抱っこされていたのは、密生さんでした。


「久しぶりねぇ、元気だった?」


おばあちゃんが優しく声をかけましたが、密生さんは返事がありません。


女の子に抱っこされたまま、丸まってしょんぼりしています。


・・・何があったのかなぁ・・・。


「一体何があったの?花猫(ほわま)ちゃん」


お母さんが、女の子に尋ねました。


・・・ってー・・・今、何て?


「・・・ほわまちゃん?」


変わった名前だったので、つい口に出して言ってしまいました。


「・・・ああ、癒雫は会うの初めてだったっけ・・・。この子、新しくここの管理番になった、花猫ちゃん」


「はじめまして!鈴山花猫(すずやまほわま)です。花の猫って書いて、花猫です!」


お母さんが紹介すると、管理番さんーーー花猫ちゃんは元気よく、自己紹介しました。


「中国の方、ですか?」


わたしが思った事をそのまま言うと、


「いえ、純粋な日本人です!変わった名前だから、たまに間違われるんですけど・・・名前が中国語読みなのは、親の趣味なんです!」


花猫ちゃんは、嫌な顔ひとつせず、そう応えてくれました。


「・・・春瀬癒雫です。名前は、癒しの雫と書きます」


わたしも、つられて自己紹介します。


「あなたが癒雫様ですかー!お会い出来て嬉しいです!」


花猫ちゃんは、笑顔でそう言ってくれました。


・・・何だか照れます。


「・・・で、何があったの?」


お母さんが、本題に戻すように、花猫ちゃんに再度尋ねます。


「はい!樹雫様達が到着するちょっと前の事だったんですけど、わたしが日誌を書いてる時、密生さんが誤って、水槽から分けられた魚を入れておく、別の水槽に足を滑らせ落ちてしまったんです」


「・・・何でそーなったの?」


花猫ちゃんの説明を聞いて、お母さんは、少し笑いながらまた尋ねます。


「水槽のすぐ脇に炊飯器が置いてありまして、そこから水槽の中を見てたらしいんですよ。・・・で、そこから足を滑らせちゃって・・・」


花猫ちゃんは、そう言って、密生さんの背中を撫でます。


「それは災難だったわね〜、すぐに修復すわ・・・密生ちゃん、おいで」


おばあちゃんがそう言って両腕を伸ばすと、密生さんは緩慢な動きで、おばあちゃんの腕の中に収まりに来ました。


程なくして、おばあちゃんの体が光ります。


・・・どうやら、ここでの仕事も、無事終わりそうです。












密生さんと花猫ちゃんにお見送りされて、わたし達は、車に乗り込みました。


「・・・はぁーっ、疲れた」


今日最後の仕事を終え、車の後部座席に座ったおばあちゃんは、そう言って伸びをすると、同じく後部座席に乗ったわたしの肩に頭を預け、目を閉じます。


「お母さんも、早く癒雫に修復して貰いなさいよ、帰ったら起こしてあげるから・・・」


運転席で、お母さんが車にエンジンをかけながら言いました。


「・・・そうね、ーーー癒雫、お願い」


「うん」


おばあちゃんに言われ、わたしは、おばあちゃんの手を握りました。


目を閉じると、互いの体が光はじめます。


おばあちゃんは、月のような金色の光。


わたしは、昼の太陽のような白銀の光に。


互いの光は手を伝い、入れ替わるように移動して・・・わたしは、おばあちゃんの金色の光に包まれます、おばあちゃんも、わたしの白銀の光に包まれます。


互いの光は、互いのマナを完全に修復すると、まるで互いの体に溶けていくように消えて行きました。


「「・・・お休みー」」


わたしとおばあちゃんは、そう言って眠りに落ちました。


目が覚めたのは、おばあちゃんの家に戻った時でした。










「・・・今日も無事終わった・・・」


自宅に帰り、最後のルシェナのお菓子ーーーホイップクリームの乗ったタルトタタンを食べ終わったわたしは、1人リビングのテーブルの前にいました。


現在時刻は夜の9時。


お母さんは、桜雫を寝かしつける為に、早めに2階へ行きました。


思いのほか、今日は楽しい1日でした。


久しぶりに水族館に行って、密生さんとお話して、おばあちゃんの仕事にも付き合って・・・。


新しい管理番さんにも会いました。


(今日のアメリカンドッグ、本当に美味しかったな・・・)


甘い物の後には、しょっぱい物が欲しくなります。


ひとつひとつ、思い出しながら、わたしは霊酒を煽りました。


・・・誰もいないし、もう一杯飲んじゃおうかな。


そんな事をぼんやり思いながら。


「何かアニメでもつけよう・・・」


わたしはチャンネルを手に取り、テレビをつけました。


・・・明日はクリスマスです。


一体どんな1日になるのかな。


スマホから転送された動画を見ながら、夜は静かに更けて行きました。

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