16話 ヒデリの葛藤
これまでのあらすじ
名が無い虫人族の少年と獣人族のヒデリは、ウォーターシティの第3王子を捕らえようと作戦を決行。
2人作戦は失敗したかのように思えた。
しかし、第3王子リヴァイア・アクア・スイドラゴンは2人に「この国を抜け出さないか」と提案をするのだった。
16話 ヒデリの葛藤
「この国を…抜け出す?」
僕は第3王子の言葉に驚きを隠さずに言葉を発した。
「あぁ、説明は省くが余はこの国を抜け出したい。そのための協力者を探していたのだ」
「そんなの…嘘よ…。そう言ってうちらを捕まえるつもりでしょう!」
ヒデリが怒りを露わにした。
「それに、あんたら王族の言うことが信じられる訳ないでしょう!」
「うちやこの子だけじゃない…。あんたらが何不自由なくご飯を食べて、ふかふかのベッドで寝てる間に、どれだけの人が飢え、死んでいってるか知らないくせに!」
ヒデリは第3王子を睨みつけ、そう言い放つ。
「…あぁ。俺は何も知らない。だから」
第3王子は胸に手を当てて目を瞑った。
「知りたいのだ。この世界を。皆の思いを。そしてこの国を変える方法を」
第3王子は決意ある、真っ直ぐな眼差しでそう言いきった。
「ヒデリ、どうせこのまま捕まるくらいならさ。この人の言うことを聞いてみない?」
ヒデリは僕の言葉に、少し驚いた様子だった。
「まぁ、あんたがそう言うなら…」
ヒデリはまだ思うことはある様子だが、頷いた。
「ありがとう…ありがとう…」
第3王子は深く頭を下げた。
「あの…第3王子さん」
「アクアで良い、少年よ」
「…アクアさん、この国を抜け出すって言ってたけど何か考えはあるの?」
僕の問いにアクアは頷いた。
「計画を説明しよう」
説明を始めるアクア、渋々計画を聞くヒデリ、そして名が無い少年。
この3人が世界に名を轟かせるのは、もっと先のお話。




