14話 第3王子捕獲作戦
これまでのあらすじ
ウォーターシティで貧しい暮らしをしてきた虫人族の少年と獣人族の少女ヒデリは、この国の第3王子が虫獣街に現れるという情報を手に入れた。
第3王子を捕らえれば、虫獣街より褒美が出る。
2人は王子を捕らえる為に着実に準備を進めていった。
そしていよいよ、第3王子が現れる日の朝を迎えた。
14話 第3王子捕獲作戦
「少年、うちらはやれる事を全部やった!」
「うん!」
ヒデリは僕を見て
「さぁ、行くよ!」
と言う。
作戦が始まった。
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日が登り始めた頃、虫獣街付近に兵士の姿が見え始めた。兵士の数は少しずつ増えていき、間隔を空けて30人以上いるように思えた。
まもなくして、第3王子を乗せたであろう神輿が見えてくる。煌びやかで美しい装飾を施された神輿。
虫獣街の住民など恐れるに足らず、そう思わせるような堂々の登場だった。
「ヒデリ、行くよ!」
「…うん!」
ヒデリが頷いたのを確認して
「やああああ!」
僕は勢いよく虫獣街から飛び出した。
しかし、直ぐに兵士に気付かれる。
「敵襲〜!敵襲〜!」
兵士がそう叫んだ。
他の兵士もそれに応じて臨戦体制を取る。
僕はそれを確認してから持ってきたポーチから発煙玉を投げた。
「うぉ!?なんだこれは!!」
兵士が狼狽える最中も、少年は神輿を目掛けて走り発煙玉を投げ続ける。
発煙玉で兵士の視界は奪われて、身長が低い僕の姿を見失っていた。
「あと少し…!」
神輿が見えてきた。
僕は神輿に向かって発煙玉を投げ込んだ!
「ごほっ!ごほっ!!」
神輿から咽せる音が聞こえた。
「今なら!」
少年は神輿の前に飛び出した。
しかし神輿の周りには煙幕は無くて、代わりに先ほどの兵士とは明らかに違う4人の兵士が佇んでいた。
「なんだこいつは」
低く恐ろしい声が辺りに響いた。
「恐らくこの煙を出している者かと」
冷たいほど冷静な声が聞こえた。
「そうか。ならば」
低い声の兵士がこちらを見て
「死ね」
男は僕の前に一瞬で移動した。
手には大剣が握られ、振り上げられている。
「あ…」
僕はここで死ぬんだと悟った。
衝撃に備えて目を瞑る。
ザンッ!
大剣が地面に当たる音がした。
しかし、不思議と痛みは無い。
僕が目を開けると…。
「少年!!」
ヒデリの獣化した姿が僕を守るように立っていた。
虎の姿に変わったヒデリの肩からは血が流れている。
「ヒデリ!肩から血が!」
ヒデリは自分の肩を見た。
「避けたつもりだったんだけどな〜、食らっちゃった」
ヒデリはそう笑った。
「どうやらここまでかな〜…。少年、巻き込んじゃってごめん」
「そう…だね」
兵士達は僕らを逃がさないだろう。
作戦は失敗、GAMEOVERだ。
「戦う気は無いのか」
低い声の兵士が問う。
「えぇ」
ヒデリは短く返した。
「そうか」
兵士はゆっくりと僕たちに近づいた。
「ではさよならだ」
剣を振りかぶり、僕たちの命運はここで尽きた。
はずだった。
「…待て!!」
何処からか声が聞こえた。
「そいつらと話がしてみたい」
僕とヒデリは神輿から声が出ているのだと気付いた。
「余はウォーターシティ魚人王の息子にして第3王子」
神輿が開かれて、その顔が露わになる。
「リヴァイア・アクア・スイドラゴンだ」
運命の歯車が、噛み合う音がした。




