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13話 2人だけの決戦前夜

これまでのあらすじ

ウォーターシティで酷い扱いを受けながら生きてきた虫人族の少年は、獣人族の少女ヒデリと出会う。

ヒデリはこの国の第3王子が『虫獣街』に現れ、それを捕らえたものには、虫獣街から褒美が出る。と言う情報を手に入れていた。

ヒデリと少年は『第3王子狩り』を達成する為に、協力関係を結んだ。


これは、この物語のもう1人の主人公。

虫人族の少年の冒険記である。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


13話 2人だけの決戦前夜


僕とヒデリは虫獣街の地図を自ら歩いて調べ上げた。

少ない稼ぎで得たお金を使って捕獲用の道具を買った。

強面の情報屋に恐れながらも王子の顔も確認することができた。

やれる事は全てやった。

後は…王子を捕らえるのみ!!


ある日の夕方、強面の情報屋から明日の夜明けごろに、第3王子が現れると言う事を告げられた。

「頑張れよ、これはお前らにしか教えてない」

情報屋はそう言って日が暮れる虫獣街へと消えた。


その日の夜。

僕とヒデリが住まいにしているぼろ屋からは、普段はすることの無い美味しそうな匂いが漂っていた。


「ヒデリ、今日はどうしたの?」


「えへへ、今日は〜」


ヒデリは大きな鍋を取り出した。

鍋には少量の油と小ぶりな魚が一匹だけ入っていた。


「スモールピンクフィッシュの唐揚げ!さぁ!冷めないうちに食べて食べて!」


僕は久しぶりの魚によだれが止まらなかった。

鍋に手を伸ばし、ちょうどよく揚がった魚を手に取った。

僕はある事に気付いた。


「ヒデリの魚は?」


鍋には一匹しか入ってなかった。


「うちはさっき食べたから大丈夫〜、さぁ食べて!」


少年はこれが嘘だと直ぐに分かった。

獣人族であるヒデリが魚を買うには大金がいるからだ。

少年は魚を2つに割った。


「はい」


僕は魚の半分をヒデリに渡した。


「2人で頑張ってきたんだから、ヒデリも食べるべき」


「あ、ありがとう…」


ヒデリは小さな魚の半分を受け取り、2人は同時に魚を口に放り込んだ。


あんまりにも小さくて、味はあまり分からなかったけれど幸せな気持ちが2人を包み込んだ。


「絶対に…成功させようね!」


ヒデリは涙を押しこらえてそう言った。


「うん」


僕は頷いた。


海中の都、ウォーターシティのさらに底。

2人の一発勝負の作戦が、始まろうとしていた。








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