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第5話 対話

サブタイトルを付けることにしました。



俺達はアパートに着いた時、互いに交わす言葉もなく別れた。

一人、自分の部屋で、今までの出来事をまとめてみた。


まず、先日俺がトイフェルとかいうのを倒した所を橘先輩か、その仲間が見た。

だが、俺にはそういった記憶はない。

そして先程、凛花は鉄パイプを槍に変えていた。

おそらく、橘先輩の言う、力ってやつだと思われる。

最後に、あの群れから逃げる時、俺は刀を出現させた。


「……」


あの時は必死だったが、今冷静に考えるとありえないことだ。


「なんだったんだ、あの刀は……?」


結局、何一つ分からないまま、思考は止まってしまった。

その時だった。


『おいおい、やっと認識してくれたかと思ったら、この様かよ』


頭の中に声が響いた。


「だ、誰だ!?」

『オレか?オレはお前だ』

「は?」

『だから、クガシンヤだ』

「ど、どういうことだ……?」


わけが分からない。


『分かりやすく言うとだな、オレはお前のもう一つの人格、みたいなもんだ。厳密に言うと、違うけど』

「……二重人格?俺が?」

『まぁ、イメージ的にはそんなもんだ』

「ふ、ふざけんな!!に、二重人格って、どういうことだよ!!」

『あー、うるせぇ、うるせぇ!!だから、イメージって言ってんだろ?』

「もっとわかりやすく説明しろ」

『ヘイヘイ、わかりましたよーっと』


そして、説明が始まった。


『そうだな。「両儀」って知ってるか?……知らないのね。

陰と陽、まぁ、光と影の事だ。つまりオレ達に置き換えると、オレは陰。お前が陽だ。

オレは今までずっとお前の中にいた。お前と共に育ってきたんだ。

……あぁ、もちろん生まれた時からな。ただ、お前と違う点が何個かある。

そのうちの一つが、前世の記憶だ。お前には無くても、オレにはある。

……どんな記憶かは、また後で話そう。まぁ、オレには生まれた時の記憶があるんだがな。

で、オレは表に出ることは一切しなかった。というか、できなかった。

前世の記憶がある異常者のオレと、普通のお前。どちらが、世間に適してるか、分かるだろ?

オレが表に出て大騒ぎにならないように、自粛した結果、オレはいつの間にか陰になった。

そして、お前は必然的に陽になったってわけ。……ここまでは、オレ達の成り立ちについて。


で、こっからは、今までお前がオレに気が付かなかった理由なんだが……。

まぁ、こっちは簡単な話だ。オレはお前とはコミュニケーションをとらなかった。

ただ、オレはお前が危険な時だけは、表に出た。お前が気を失ってる間、とかにな。

だから、お前はオレの存在を認識する機会が全くなかったに等しい。

……まぁ、今日は気ぃ失ってなかったけど、さすがにまずいと思って、手を貸したんだが』


ここまで言うと、もう一人の俺は『質問ある?』と言って、話を区切った。


「いや、特には……というか、いきなりすぎて、質問も糞もねぇよ」

『そりゃそうだ』

「なんで、俺にお前の意識が宿ったんだ?」

『まぁ、それはオレにもわからん。気が付いたら、お前の中にいたわけだし』

「……まぁいい。それで、昼間見たあの映像はお前の仕業だったのか?」

『昼間っつーと、あれか。ありゃ、オレの仕業に決まってんだろ』

「あの時、なんて言ってたんだ?……古とかなんとかって」

『あぁ、古の力よ、我が右手に出現せよ、って言ってた』


その途端、ガチャッという音がして、足元に刀身の紅い刀が落ちた。


「な、なんだこれ?」

『それは、オレの前世で使ってたもんだ』

「は?」

『んー、オレの前世の話、軽くした方がいいか?』


なんとなく聞きたくなかったが、好奇心に負けてしまった。


「た、頼む」

『おっけ。まぁ、オレは一応、魔術師だったんだ』

「は?ま、魔術師?」

『そ、魔術師。つっても、肉弾戦が得意な魔術師』

「それ、魔術師じゃねぇだろ!!」

『よく言われた。んで、戦争に呼ばれた時に、オレは魔方陣を腕に刻んだ』

「何のために」

『武器を瞬時に取り出すためだよ。その名残か知らんが、今もできるぞ』


もう一人の俺がそう言うと、空中に数多くの刀が浮遊していた。


「し、しまえ!!早く!!」

『おぉ、わりぃな。ま、こんな感じだ』


ここまでの話を聞くと、これは噂に聞くあれではなかろうか。


「それさ、異世界から転生して、俺に宿ったんじゃねぇの!?」

『そうなのか?』

「だって、魔術師なんて今までの歴史上いるわけねぇし」

『そうか。どうりで風景も違うわけだ』


それは、異世界からの転生じゃなくても、当たり前かと……。


『とりあえず、今お前が置かれている状況は、非常に危険だ』

「ど、どうして」

『一般人のお前が、あんな化け物と戦うなんてのは、危険じゃないのか?』

「いや、俺は自らあんな化け物と戦ってるわけじゃない」

『自らじゃなくても、向こうから寄ってくるんだよ』

「は?」

『ここの街の名前ってなんだっけ?』

「B県の大上市だ」

『地図を見せてみろ』


俺はもう一人の真剣な声に、急いで地図を探し出した。


『どれどれ……やはりな』

「どうしたんだ」

『ここ大上市はな、風水で見ると非常に悪い場所だ。特にここ周辺はな』

「それが?」

『だから、ああいった怪物が多く集まりやすい。

さらに、お前はオレのせいでイレギュラーと言ってもいい存在だ。

こういうイレギュラーな物に引き寄せられるのは、昔も今も、世界が違っても一緒だ』

「だから、俺は危険な状況だと?」

『そうだな』


そんな……!!俺はただ普通の日常を望んでいたのに、なんで……!!


『そう悲観的になるな。お前はオレが守ってやる』

「アラヤダカッコイィ……!!」


なんだ、このカッコよさは……!!まぁ、厨二っぽいけど。

もう一人の俺のおかげで、少し心に余裕ができた。


『あと、味方は多い方がいい。というわけで、あいつらの誘いに乗れ』

「橘先輩の?」

『あぁ。その方が、お前にかかる負担が少しでも少なくなるはずだ』

「……たしかに、そうかもしれないな」

『じゃ、明日は橘先輩の所に行こう』

「あぁ。そういや、お前の名前は?」

『名前?』

「前世の名前だ」

『ゼン・ヴィアンだ。ゼンと呼んでくれればいい』

「ゼンだな。俺の事は神也と呼んでくれ」

『わかった。……もう少し混乱するかと思ったが、すんなり受け入れたな』

「まぁ、な。今日、あれだけ変な体験すりゃな。信じた方が辻褄が合うってもんだ」

『意外と図太いというか、なんというか』


こうして、俺はゼンを認識することができたのだった。

























――これが、全ての始まりだった。























翌日、俺は昼休み、いつも橘先輩のいると聞いた、化学準備室に向かった。


「しかし、橘先輩の誘いに乗るとはな……」

《まぁ、仕方ねぇだろ。状況が状況だ》

「まぁなー……」


そうしていると、化学準備室に着いた。

ノックを軽くした途端、中から橘先輩が出て来た。


「やぁ、陸君。どうしたんだい?」

「いや、その」

『昨日の誘いに乗ろうかと』

「ちょ……!?」

《お前に任せてっと、時間かかりそうだったからな》

「そうかい!!それは嬉しいね!!」

「は、はぁ」


すごい剣幕だ。


「じゃ、早速だけど、今夜から頼めるかい?」

「は、はや!!」

「仕方ないんだよ。人員不足だからね」


そして、連絡はまたするよ、と言われ、その場は帰されたのだった。



今回は説明回でしたね


ちょっとこじつけな部分があるかも……

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