表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前は追放だ!」と近衛を解雇された男爵令嬢、生まれ故郷の辺境都市にて最強衛兵となって活躍する 〜赤虎姫と呼ばれた最強の人形使いはTS転生貴族令嬢!?〜   作者: 自転車和尚
第四章 獣たちの狂乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

182/230

第一五一話 皇帝陛下の代理として

「……つまり、アーシャとギルメール嬢はわが帝国臣民を守るために已むを得ず契約に至った、と?」


「はい、そのおかげで私たちは命を拾い……助けられました」

 ミハエルの言葉に満足そうに何度も頷くグラディス殿下……これ絶対最初から知ってて演出のためにミハエルを引っ張り出してきたな。

 私は報告を面倒くさがって自分では行なっておらず、義兄様が代わりに届け出たって聞いたけどミハエルはギルドを通じて山賊騒動を報告していたはずなので、辺境守備師団(コルホス・リミティス)の記録に残っているのだろうな。

 それをなんらかの形で殿下が知って……このタイミングに合わせるようにミハエルを呼び出した……ということだろう。

 タイミングが出来すぎているので、この辺りはおばちゃんも含めて裏で動いていた人が苦労してそうな気がするが。

「その貴族崩れが嘘をついている可能性だってあります」


「辺境守備師団の報告で、山賊が砦を占拠していたことも把握している、嘘はないな」


「ぐ、しかしっ!」


「それに数々の英雄的な行動、特別個体グラトニア討伐に謎の人形騎士(ナイトドール)を撃破……二人が契約をしていなければ対処不可能であったろう」


「契約は私が行うべきものだ! それを横からっ!」


「実績がそれを示している、俺はそれを見て行動に間違いがないと判断した」

 グラディス殿下は懐から分厚い紙の束を取り出すと、目の前のテーブルへと軽く放る……そこには衛兵隊設立後から私とパトリシアが携わった任務などが書かれているのだろう。

 ここまでくると最早グラディス殿下の言動に異を唱えるだけ無駄な気がするのだが、それでもバーナビーは諦め切れないのか、私を殺しそうな勢いで睨みつけてくる。

 しかしジャンティ男爵が彼を押さえつけているため身動きを取れず、唸るような低い声をあげるだけだ。

「俺は帝室に連なるものとして、ここにいるアナスタシア・リーベルライトとパトリシア・ギルメールの契約を認めるものとする」


「わたくしマルガリータ・カリェーハも殿下の判断を支持いたします」

 恭しく頭を下げたおばちゃんがそう告げると、最早情勢は覆せないと判断したクラーク大佐が悔しそうな表情を浮かべながら黙って頭を下げる。

 そしてバーナビーは……何度か周りを見渡して味方になりそうな人物がいないか探すようなそぶりを見せるが、すでにこの場にはそんな人物がいないことを悟ったのか、ガックリと項垂れた。

 私とパトリシアはお互い顔を見合わせると、ホッと息を吐くが……そんな私たちの様子を見たバーナビーが突然顔をあげて喚き始める。

「契約はわかりました、だが……婚約は継続しているはずだ!」


「あー、そうだったな……お前が契約のことを話していたので、ついそちらを優先してしまった」


「私は婚約を破棄することは考えてい……!」


「それだがな……お前は試合中、我が帝国民を多数殺害したな?」


「……っ!?」

 グラディス殿下の声のトーンが一段階低くなる……その冷たい響きにバーナビーが思わず言葉を詰まらせるが、それほどまでに殺気に満ちたその声は周りにいた全ての人を一瞬で緊張させる。

 闘技場(アレーナ)での戦いにおいて、人形使い(ドールマスター)を誤って殺してしまったとしても大半が事故で処理されるのは周知の事実だ。

 とはいえ限度があるし、あまりに狙い澄ましたように相手を害することは剣闘士(グラディアトル)の掟としても看過できないものとなる。

 それ以上に故意に観客席へと攻撃するという行動は、犯罪となる決まりもある……バーナビーはどういう状況だったかわからないものの、彼の乗ったフルミナリスの攻撃が観客へと攻撃を加えたのは事実として残っていた。

「現在被害状況を確認させているが、これは貴族としてもあり得ない行為だ」


「待ってください、その時は……」


「言い訳があるなら聞こう」


「私は自分自身を喪失していた……そう、あの悪魔(ダイモーン)が!」

 そこまで口を開いてからバーナビーは『しまった』とでも言いたげな顔をして、両手で口を押さえる……あの時、フルミナリス内にいた彼はおそらくだけど悪魔と契約をしたことで、その姿を変化させている。

 あの黒色大樹(アルボル・プロファナ)となるにあたって、魔力の質がまるで違うもっと不気味で、陰湿なものへと変化したのを私たちは感じていた。

 多少でも魔術(アルス・マギカ)を齧ったり、それに近い勉強をしている人であれば、あまりに異質だったと気がつくだろう。

 彼が黙りこくったのを見たパトリシアが一歩前に出ると、グラディス殿下へと話しかける。

「直答をお許しくださいませ、殿下」


「よろしい」


「あの時レミントン侯爵令息と人形騎士フルミナリスに感じた魔力、わたくしに心当たりがございます」


「パトリシア、貴様適当なことをいうな!」


「タナトルム」


「なぜその名……ぐえっ!!」


「私とアーシャさんはその悪魔を一度退けています……その魔力に酷似しているのです」

 パトリシアの言葉にバーナビーがわなわなと唇を震わせながら叫び、立ちあがろうとするがジャンティ男爵がその動きを抑え込むように肩を手で押さえつけると、彼はひどく情けない悲鳴をあげた。

 悪魔タナトルム……ダンジョンの奥に潜んでいた太古の悪魔、彼はおそらく私を監視している中で、バーナビー・レミントンという悪意を見つけてしまったのだろう。

 そして彼が一番困っているタイミングで声をかけ、契約を交わしている……悪魔との契約なんざ碌なものではないとは思うけど、あの時純粋な人形騎士戦では私が圧倒的に押していたからな。

 藁をも掴む勢いでそうなったのだろうが、少なくともそれは人として絶対にやっちゃいけない行動だったろうと思う。

「ほお? 悪魔との契約か」


「あの黒色大樹に変化した黒い腕(マーヌス・ニグラ)……悪魔との契約以外で考えにくい変化です」


「俺はその姿を見ていないが」


「それはわたくしが証明しましょう、カリェーハの名にかけて、あれは邪悪で恐ろしいものでしたわ」

 殿下の言葉を受けて、おばちゃんが一歩前に出て頭を下げつつそう発言すると、バーナビーは憎々しげな表情を浮かべたまま、唸り声を上げた。

 悪魔との契約は基本的に『人としてやっちゃいけないこと』に分類されるので、貴族であればそんなもんが発覚した時点で立場を失う。

 今回の件で行くと当主交代すらあり得るような醜聞だろう……そして一番まずいのは契約そのものよりも、帝国臣民を多数殺害しているという点だ。

 例えば闘技場で武器が弾き飛ばされて観客席に飛んだ、とかならまあ情状酌量の余地があるとは思うんだけど、あの攻撃は明らかに観客席を吹き飛ばす勢いで放たれていたので、それを『事故です』というのは無理がありすぎる。

「俺は……俺じゃない! あれは悪魔が……! いや、これは事故だ!!」


「……お前言っていることが無茶苦茶だぞ」


「これらのことを踏まえましても、ギルメール侯爵令嬢とレミントン侯爵令息の婚約は、帝国の威信に傷をつけますわ」

 ナイスおばちゃん! 思わず親指を立てたくなるが、その言葉を受けてグラディス殿下は私へと視線を向けてから一度黙って頷いた。

 その行動が意味しているのは、パトリシアの婚約は彼の言葉を持って解消されるということだろう……現在皇帝陛下は病床に臥せっているため、代理ということになるだろうが。

 パトリシアが一度私を見て微笑む……彼女もまた、望まない婚約を解消することで、新しい未来を手に入れられると悟ったのだろう。

 そんな私たちの姿を見て苦笑を浮かべたグラディス殿下だったが、彼はよく通る声でその場にいた人間へと宣言した。


「よろしい、もはや疑いの余地はない! 余は帝国皇帝の代理として宣言する! ギルメール侯爵令嬢パトリシアと、レミントン侯爵令息バーナビーの婚約は解消する」

_(:3 」∠)_ ようやく解消だー


「面白かった」

「続きが気になる」

「今後どうなるの?」

と思っていただけたなら

下にある☆☆☆☆☆から作品へのご評価をお願いいたします。

面白かったら星五つ、つまらなかったら星一つで、正直な感想で大丈夫です。

ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。

何卒応援の程よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ