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ジャンク屋メグの紡ぎ歌  作者: 六人部彰彦
第20章 帝国年末大歌謡祭――その日、帝国は

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(epilogos) 祭りのあと――掻き消えた混乱の痕

翌日掲載された、新聞記事。


本日は二話投稿です。

この後、AM1:00にもう一話投稿します。

ご注意ください。

 年末最終日、帝国中にFTL通信されていた、第七十七回・帝国年末歌謡祭。

 最終演目、シークレットステージの最中、突如会場を三隻の宇宙船が突撃した。


 軍や防空部隊は、この事態に対し、理由は不明だがほとんど動きを見せなかった。

 事態を把握しようとしたのは商都警察だけだった。


 だが、駆け付けた警察へ向けてホール内部から銃撃があったため、警察も人命重視の観点から突入ができず。

 機動隊がホール周囲を取り囲んで周囲への被害を防ぐのが精一杯だった。

 何ら手を打つことができず、警察は事態の推移を見守っていた。



 ところが、事態は突然収拾した。

 

 ホール内部を占拠していた、赤黒い装備で統一された謎の集団は、また突如現れた青い装備の別の集団によって、鎮圧された。

 青い装備の集団は、赤黒い集団を拘束し、そして――どこかへ消えてしまった。

 ホールの建物に直接ぶつかって来た三隻の宇宙船も、この騒動が収束するとホールを飛び立ち、惑星エオニアを飛び出して、どこかへ行ってしまった。

 これらの宇宙船について、エオニアを守備していた帝国宇宙軍第一艦隊も、エオニア大気圏内を守備する防空部隊も、一様に沈黙を貫いている。


 帝国第一放送側の被害については。

 宇宙船によるホールの損壊が最も被害が大きいが、それだけではなく、中央放送制御室や各所の設備の破壊など、様々な被害が報告されている。

 特にホールの損壊については、来年の歌謡祭の開催が危ぶまれており、放送局側はホールの修繕あるいは建て替えが終わるまで、別会場での開催を検討しているという。


 これだけの事態に、スタッフ・観客ともに人的被害がほとんどなかったことは奇跡的である。


 今回、スタッフは非常事態対応の訓練を何度も繰り返したらしい。

 宇宙船がホールに突撃した後、スタッフは大ホールの観客を、被害のほとんどなかった小ホールの一つへ避難させた。

 出演者達もスタッフの誘導で別の小ホールへ誘導されている。

 この対応により、転んで怪我をした軽傷の数人を除いて、人的被害は出なかったという。



 今回シークレットステージに、ナタリー・エルナンと共に出演した“星姫”。

 彼女が出演した経緯や、ステージの内容、そして歌謡祭を終えた後の感想など、聞きたい事は山ほどあった。

 第一放送を通じてインタビューを申し込んだのだが、局側からは『本人の意向』として断られた。


 その際、番組統括責任者であるガブリエラ・サニエル女史は、こう話した。


「インタビューのお断りは、本人の意向に加え、彼女が非常に繊細な立場にあることも考慮した結果です。

 彼女の氏素性についても、現時点では明らかにすることはできません。

 シークレットステージの内容と、その意図としては……視聴者の皆様が、あれを見てどう感じたか。それが全てです。

 あの構成も、大半が本人の意向によるところもありますので。

 私からは、何も申し上げる事はありません」



 一方、小ホールに避難した観客から、様々な情報が拡散されている。

 真偽は未確認ながら、『星姫ちゃんと、追手の男の会話がホールに流れていた』との情報があり、またその音声とされる情報も流れている。

 筆者もその内容を聞いたが、余りに荒唐無稽な内容であり、俄かには信じがたいものではある。

 詳細は記載しないが、もし事実なら帝国を揺るがす程のものだ、とだけ記す。




 また同日、帝都側でも宇宙船三隻が侵入していた。


 商都への入港待ち行列から離れて入星していったという。

 こちらについても第一艦隊や防空部隊に確認したところ、宇宙船三隻が突入して来ていたことは認めた。

 だが、こちらについて最終的にどうなったか、そして商都側の騒動との関連性については、やはり両者とも沈黙した。


『……捜査中だ。現時点で話せることはない』


 防空部隊司令官は取材に対しそう答え、それ以上何も語らなかった。



 こうして、帝国の年末最終日は――謎を多く残したまま、静かに幕を閉じたのだ。



(商都デイリー・リポート紙 専属記者 カミーユ・カマロ 記)



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