第5話
翌日、朝早くから王立ホールに足を運んだ。自分のブースにはテディがきちんと座っている。
そんなテディの前にはこの時間からたくさんの人が集まっていた。
今や国中と言っていい程人気のおもちゃ屋、ノイスラックの商品を見ようと人々が詰めかけていたのだ。
その様子を遠くの柱の影から見ていたウィルスは夢にまで見た光景に胸を抑えた。
自分のおもちゃが皆に認められている。こんなにうれしい事はない。
この光景をずっと心に刻んでおこう、そして戻ってきたテディに言うんだ……
君は最高のおもちゃだよって。
***
翌日も朝一番にテディを見に王立ホールへとやってきたウィルスだったが、何やらホール内が慌ただしい事に気付いた。
協会の人間や警備員たちが駆け回っている。
その中の一人を捕まえ何事かと聞くと、協会の人間はあたふたと早口調で言ってきた。
「昨晩のうちに、おもちゃが何品か盗まれまして……現在調査中なんです」
「なんだって……!?」
嫌な予感がした。
走って自分のブースに近寄る。
―――テディが、いなくなっていた。
「……ッ?!」
近くの警備員に尋ねると、盗まれた何品かのうちの一つに、自分のテディも含まれているとのことだった。
ウィルスは久しぶりに怒りを覚えた。
これもきっとジョバンニのせいだろう……間違いなく。
もし他の誰かがやったとしてもここまで大きなリスクを背負いながらやるまでのメリットがあることではないし、危険度の方が高い。
ジョバンニ以外犯人として考えられない。
他に盗まれた物は予選を通過した三、四、五位の物だということが分かった。
今日ここに訪れた人々は皆一様にがっかりしていた。
「なーんだ、ノイスラックの商品見れないなんて」
「アーティクトの製品、なかなかいいんじゃない?」
上位の製品がないので、必然的に皆の視線はアーティクトの製品に注がれる。
ウィルスはそんな状況に握り拳を強く作った。




