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『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


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EP 2

世紀末なOPと、自由すぎる職業ジョブ決定

『――システム、オールグリーン。これより、完全没入型魔導遊戯(VR・RPG)を起動します。』

ルナキンの地下倉庫。ルナの無機質なアナウンスと共に、魔導カプセルに入った優太の意識は、眩い光の渦へと飲み込まれた。

「(……クソッ。剣と魔法の世界か。どうせなら、後方支援か村人Aのモブキャラあたりで大人しくしていよう……)」

優太が現実逃避気味に目を開けると。

そこには、緑豊かなファンタジーの草原――ではなく、見渡す限りのヒビ割れた大地と、枯れ果てた荒野が広がっていた。空は赤茶色に濁り、どこからか乾いた風が吹き荒れている。

『デデーン。ジャジャジャジャン……』

突如、空から重々しくも、どこかで聞いたことのあるようなBGMが流れ始めた。

そして、渋い低音のシステムボイス(ナレーター)が、世界全体に響き渡った。

『――199X年……いや、200X年! ポポロ村は核の炎に包まれた!! 海は枯れ、地は裂け、全ての生命が死に絶えたかのように見えた……! だが、人類は死滅していなかった!!』

「……は?」

荒野のど真ん中に突っ立っていた優太は、完全に真顔になった。

「な、なんだ!? 急に世界観おかしくないか!? 剣と魔法の王道RPGをやるって言ってただろ! なんで一瞬でポストアポカリプス(世紀末)になってんだよ!!」

優太が荒野に向かって絶叫すると、隣に立っていたキャルルが、なぜか肩にトゲトゲのついた革鎧(モヒカン風)を着て、不思議そうな顔で首を傾げた。

「どうしたの? 優太。なんだか急に、Youはshockな事でもあった?」

「……ブッ!?」

見事すぎるパロディ(名曲)のぶっ込みに、優太がむせる。

さらにその後ろから、芋ジャージではなく『赤いタンクトップにデニム』という、これまたどこかで見たような世紀末救世主ファッションの駄女神ルチアナが歩み出てきた。手にはなぜか、一升瓶を持っている。

「そうよ優太。そんなに焦って、空から愛が落ちてくるの?」

「何を言ってんだ貴様らあああぁぁぁぁぁっ!!」

優太の怒りのツッコミが、荒野に虚しくこだました。

「ふふっ。ごめんなさい優太。あんたの脳内の『地球の娯楽知識』を検索して、一番有名で面白そうなポストアポカリプス作品を参考にして世界観(OP)を作ってみたんだけど……『あーるぴーじー』とは違ったかしら?」

エルフのルナが、優雅に笑いながら種明かしをした。彼女だけは普段通りの美しいドレス姿である。

「違う! 全然違う! それは世紀末の救世主が暗殺拳でモヒカンを爆散させるやつだ! 頼むから普通のファンタジーに戻してくれ! 胃が痛い!」

『――システム修正。世界観を【王道ファンタジー】へ再構築します』

ルナが杖を振ると、赤い荒野がポリゴンのように砕け散り、今度こそ緑豊かな草原と、遠くにそびえ立つ王様のお城が現れた。

優太たちの服装も、中世ファンタジー風の初期装備(布の服など)へと切り替わっている。

「ちぇっ、あのトゲトゲの肩当て、強そうで気に入ってたのに。……まぁいいわ! それじゃあ、まずはこの世界の『職業ジョブ』を決めるわよ!」

ルチアナが目の前に浮かんだ半透明のステータス画面をタップする。

「私はこの世界を創った創造主プロデューサーだから、当然メイン主人公の『勇者』ね! あ、でも喉渇いたから、スキルに『無限の酒豪』を追加して……よし! ジョブ【飲んだくれ兼・勇者】の完成よ!」

「おい、最初から勇者の威厳がゼロだぞ」

「私は世紀末のノリを引きずって『武道家』にするわ! アタタタタッ! って拳で敵を粉砕してやるんだから!」

キャルルが素振りをしながら『武道家』を選択。

「ふふん! 私は絶対にお金持ちになる『商人』よ! レアアイテムを転売して、王様より大金持ちになってやるわァ!」

リーザが鼻息荒く『商人』を選択した。

しかし、その直後。

『――ピロリン。システムより通知。リーザの過去のトラウマ(極貧サバイバル)がシステムに干渉し、裏ジョブ【貧乏神】が強制付与されました』というアナウンスが小さく流れた。

「え? 今なんか不吉な声が……まぁいいわ! ゴールド! ゴールドよ!」(※リーザは気づいていない)

「私は『全属性魔法使い』。MPは無限に設定しておいたわ♡」

ルナが笑顔でチート設定を完了する。

「キュララはねぇ、『実況ゲーム配信者』! このVR空間の映像を、魔法のドローンで現実世界のリスナーに直接生配信しちゃうよぉ★ スパチャよろしくねっ!」

キュララはVR世界でもブレずに、自分の承認欲求と小銭稼ぎを最優先にした。

「……たく、どいつもこいつも好き勝手しやがって。俺のジョブは……って、なんだこれ!?」

優太が自分のステータス画面を見ると、そこにはすでに【ジョブ:医者ヒーラー】と固定されており、変更不可のロックがかかっていた。

しかも、初期装備の武器は剣でも杖でもなく、小さな『医療用メス』一本だけである。

「……なんで俺だけジョブが固定されてんだ。しかも武器がメスって、戦闘力皆無じゃないか」

「だって優太、現実世界でもお医者さんの卵(医学生)でしょ? パーティーには回復役ヒーラーが必須だもの。後ろから大人しくポーションでも投げてなさい」

ルチアナが酒瓶をラッパ飲みしながら笑う。

「ふざけんな! 俺は元SEALsだぞ! 近接格闘(CQC)のスキルを……!」

「はいはーい、文句は受け付けませーん! それじゃあ、最強の勇者パーティーの結成よ! さっそく目の前の村に行って、冒険の準備(略奪)を始めるわよ!」

飲んだくれの勇者、脳筋の武道家、貧乏神の商人、チート魔法使い、ゲスい配信者、そしてメス一本の医学生。

ファンタジーRPGの歴史上、最もバランスが悪く、最も倫理観の欠如した最凶のパーティーが、最初の村へと足を踏み入れようとしていた。

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