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『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


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EP 7

帰り道のスリ事件! エルフの財布が狙われる

ルナミス・デパートの最上階で繰り広げられた、血みどろの女子会(正妻マウント合戦&駄女神の爆弾発言)から数時間後。

帝都ルナミスの空は茜色に染まり、大通りは家路を急ぐ人々や観光客でごった返していた。

「あー、楽しかったわね! 次は村の温泉開発に向けて、掘削機でも買いたいわ!」

「ふふっ、帝都のスイーツもなかなかだったけれど、やっぱり優太の淹れるコーヒーが一番落ち着くわねぇ」

ウサギ耳のキャルルとハイエルフのルナが、満足げな笑顔で前を歩く。

その後ろでは、リーザが「あ~、マッサージチェアの余韻で体が軽い~」とフワフワしており、ルチアナは完全に酔っ払って千鳥足、キュララは魔導端末で本日のスパチャ総額を見てゲスくニヤついている。

そんな、自由すぎる異世界の美女たちの最後尾を歩く男が一人。

「…………(※無言の行軍)」

黒いサバイバル服の優太である。

彼の両腕、両肩、そして背中のタクティカルバックパックには、合計で20個を超える大量の紙袋がぶら下がっていた。

食い尽くした試食の代金として爆買いした高級食材、リーザたちが各フロアで買い漁った服や化粧品……その総重量は、優太の姿を完全に『歩く巨大な荷物の塊(荷駄獣)』へと変貌させていた。

(…精神的な疲労(女子会のダメージ)が、筋肉の限界を突破してやがる……)

優太は、死んだ魚のような目で、夕暮れの大通りをフラフラと歩いていた。

その時だった。

雑踏の中、周囲の通行人とは明らかに異なる『異質な歩法』で人混みをすり抜けてくる男がいた。

薄汚れたローブを深く被り、視線は鋭く道行く人々のターゲットを品定めしている。帝都の裏通りを縄張りとする、プロの『スリ師』である。

(……おっ。あそこのエルフの女、随分と上等な服を着てやがるな。それに、あの無防備な歩き方……田舎者の金持ちか。カモだぜ)

スリの男は、標的をハイエルフのルナに絞った。

ルナは、先ほど優太が店員を救済するために取り出した『分厚い革の財布(ルナキンの売上がパンパンに詰まったもの)』を、優太から預かって自分のハンドバッグに無造作に入れていたのだ。

男は、すれ違いざまにわざとルナの肩にぶつかった。

「おっと! すまねぇな、お嬢ちゃん」

「あら。お気をつけて」

ルナがふわりと微笑んで会釈する。

そのわずか1秒にも満たない接触の間に、男の指先は魔法のような手際でルナのバッグの留め金を外し、中から分厚い革の財布だけを抜き取っていた。

(……大漁だ! 重さからして、金貨数百枚は下らねぇぞ!!)

男はニヤリと口角を上げ、不自然にならない速度で、しかし確実にルナたちから距離を取り、人混みへと紛れ込んでいく。

プロの犯行。完全に成功したかに見えた。

だが、数秒後。

「…………あら?」

ルナがピタリと足を止めた。

彼女は自分のハンドバッグに視線を落とし、そして、普段の『腹黒い微笑み』からは想像もつかないほど、スゥッと冷たい、絶対零度の声を出した。

「優太。……ルナキンの売上(全財産)が入ったお財布が、消えたわ」

「はぁ!?」

優太が荷物の山の中から顔を出す。

「さっきすれ違ったローブの男ね。……ふふっ、エルフの森の資金(私の金)に手を出して、生きて帰れると思っているのかしら……?」

ルナの周囲の空気が歪み、大通りの石畳が、彼女の漏れ出す凄まじい魔力(殺意)によってピキピキとひび割れ始めた。

「待てルナ! 帝都のど真ん中で極大魔法をぶっ放すな! 国際問題になる!」

優太は即座に状況を分析プロファイリングした。

人混みは激しいが、元特殊部隊の教官の動体視力は、前方を足早に立ち去るローブの男の背中を完全に捉えていた。

(距離約30メートル。人混みを縫って逃走中。……この大量の荷物をその場にパージ(投棄)して、全力疾走でタックルを決めれば、3秒で制圧できる!)

優太が荷物を投げ捨て、スリ犯を物理的に叩き潰そうと前傾姿勢を取った、まさにその瞬間だった。

「――ストップ、ストップ~! 優太さんは走らなくていいよぉ♡」

不意に、優太の前に純白の羽を広げた小悪魔天使・キュララが立ち塞がった。

「キュララ!? どけ、見失うぞ!」

「ふふんっ! 相手は帝都の泥棒さんでしょ? だったら、物理で殴るより『もっと面白くて(映えて)、エグいお仕置き』の仕方があるんだからっ!」

キュララは悪魔のようなゲスい笑みを浮かべると、魔導端末の画面をスワイプした。

ピピッ! という電子音と共に、彼女の周囲を飛んでいた魔法のドローンカメラが、ギュンッ! と凄まじい速度で上空へと舞い上がる。

「優太さんは、そこで荷物持ったまま見ててね? ――さあ、現代ネット社会の『数の暴力』の時間だよっ★」

夕暮れの帝都。

剣も魔法も使わない、現代インフルエンサーによる最凶の「公開処刑(特定)」の幕が、今まさに上がろうとしていた。

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