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『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


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EP 6

奢りのルナキン! 因縁のタッチパネル無双

ヤラセと赤スパチャが乱舞したカオスなダンジョン探索(配信)を終え、優太たち調査隊一行は、ポポロ村の広場にそびえ立つ異世界ファミレス『ルナミスキング(通称ルナキン)』へと帰還していた。

時刻はちょうどお昼時。

店内には鉄板で焼かれるハンバーグの匂いと、村人たちの賑やかな声が充満している。

「いらっしゃいませー! あ、優太様、村長! いつもの奥のBOX席へどうぞー!」

店員の案内で、優太、キャルル、リーザ、ルナ、そしてちゃっかりついてきた天使のキュララが、ゆったりとしたソファ席へと腰を下ろした。

「ふぅ……。第一層はただの初級ダンジョンだったが、色んな意味で精神を削られたぜ……」

優太はドッと疲れた様子で、おしぼりで顔をゴシゴシと拭いた。元SEALs教官の彼にとって、魔物よりも「配信の撮れ高」を気にするサイバーテロリスト(天使)のお守りの方が、よほど難易度の高いミッションであった。

そんな優太の向かいの席で、キュララは魔導端末をいじりながら、純白の羽をパタパタと揺らしてフフンと胸を張った。

「みんな、今日はお疲れ様! キュララの配信に付き合ってくれたお礼に……今日は私の奢りだから、好きに食べていいよぉ♡」

キュララがウインクを飛ばす。

「お前……さっきの配信のスパチャで稼いだ金で払うのか?」

優太がジト目で尋ねると、キュララは「チッチッチッ」と人差し指を振った。

「甘いねお兄さん! 私の財布からお金を出すわけないじゃん! 注文が終わったら、この端末で『お会計のQRコード』を写真に撮って、裏アカウント(ファンクラブ)にアップするの! そうしたら、熱狂的なリスナーの誰かが、光の速さで遠隔決済(奢り)してくれるって寸法だよっ☆」

「……お前、マジで他人の金で生きてんな」

医学生の倫理観が完全に崩壊するような、清々しいほどのヒモ(搾取)宣言。

しかし、その「奢り」という言葉に、誰よりも早く、そして激しく反応した女がいた。

「…………ッ!!」

キュララの隣に座っていた魚人族のアイドル、リーザである。

彼女の脳裏に、ルナミス帝国時代の薄暗い路地裏の記憶がフラッシュバックしていた。

自分が三日ぶりの食事として、硬い『パンの耳』を涙ながらにかじっていたあの時。すぐ隣の部屋から聞こえてきた、「リスナーさんからの差し入れの特上寿司、大トロとろけるぅ〜♡」という、この腹黒天使のあざとい声。

「……アンタの(リスナーの)金で、タダ飯が食えるって言ったわね?」

リーザが、ゴゴゴゴゴ……と地鳴りのような怨念のオーラを放ちながら立ち上がった。

「えっ? う、うん。リスナーの財布は無限だから、何頼んでもいいけど……」

キュララが少しだけ引き気味に頷いた、その瞬間。

「きいいいいいいっ!! いっぱい食べてやるわよ!! あん時のパンの耳の恨み、ここで晴らしてやるんだからァァァァァッ!!」

バンッ!!

リーザはテーブルの端に置かれていた、注文用の『黒い魔導板タッチパネル』を強奪した。

そして、親の仇でも見るかのような血走った目で、画面上のメニューを狂ったように叩き始めたのである。

ピピッ! ピピッ! ピピピピピピピピッ!!!

「まずは特大唐揚げプレート! 山盛りポテト! ハンバーグ! あ、このチーズインハンバーグも! Push! Push! Pushォォォッ!!」

「お、おいバカ! 落ち着けリーザ! そんなに食えないだろ!」

優太が慌てて身を乗り出すが、かつて極貧生活を経験したサバイバルアイドルの執念トラウマは、元特殊部隊の制止すら振り切るほどの爆発力を持っていた。

「まだまだァ! デザートのパフェも全種類! パンケーキも! もちろんドリンクバーだっておかわりしちゃうんだから!! ……Push! Push! 全部持っていきなさい! リスナーのファントム・マネーをォォォォッ!!」

ピピピピピピピピピピピピピピピッ!!!

ルナキンの店内に、かつてないほどの異常な注文連打音が鳴り響く。

厨房の方からは、注文伝票の出力機が「ジリリリリリリッ!!」と悲鳴のような音を上げ始め、店長が「ヒィッ!?」とパニックを起こす声が聞こえてきた。

「あは、あははは……。す、すごい食欲だね……。でも大丈夫! リスナーの【帝都の貴族】さんが全部払ってくれるから……!」

キュララは顔を引きつらせながらも、余裕を装って冷や汗を拭った。(※先ほどのゴーレム戦で痺れた右手をテーブルの下でプルプルと震わせながら)

「……ふふっ。私も、世界樹の紅茶と、コンソメスープをいただこうかしら。エルフの胃袋の底なし沼、見せてあげるわ」

ルナまでもが、優雅に微笑みながら便乗する。

「おい、マジでやめろ! 店の在庫が死ぬ! そしてお前らの胃腸も死ぬぞ!! 医学生として警告する!!」

優太が必死に叫ぶが、狂乱のランチタイムはもう誰にも止められない。

数分後。

優太たちのBOX席のテーブルは、山積みの唐揚げ、ポテトの要塞、そしてジョッキサイズのメロンソーダや謎の色のジュースによって、完全に制圧カオス状態となっていた。

「さあ! 食べるわよォォォッ!!」

リーザが両手に唐揚げを持ち、野生の獣のようにかぶりつく。

奢り(他人の金)という最強のスパイスを手に入れたヒロインたちによる、恐るべきフードファイト。

しかし、ここで一人、真顔でドリンクバーのグラスを見つめているウサギ耳の村長キャルルの、冷静かつ的確すぎるツッコミが炸裂しようとしていた。

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