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『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』  作者: 月神世一


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EP 8

医学生の解剖学と、ワスプ薙刀の一閃

ズドォォォォォォォンッ!!!

ルナキンの店舗前、ポポロ村の広場に開いた巨大なクレーター。

もうもうと舞い上がる土煙の中で、顎を砕かれた紅竜クリムゾン・ドラゴンが、怒り狂って身をよじっていた。

「グルルゥゥゥゥゥゥ……ガァァァァァァッ!!」

紅竜は血走った黄金の瞳で周囲を睨みつけ、巨大なコウモリのような両翼を大きく広げた。

強靭な脚部が深く沈み込む。跳躍の予備動作だ。

再び上空へ逃れ、今度こそ安全圏から一方的な火炎ブレス(絨毯爆撃)で村を焼き尽くすつもりなのだ。

「飛ばせるかよ、トカゲ野郎!」

土煙を切り裂き、黒いサバイバル服の優太が神速で突進した。

リーザの『戦神の歌』による極限バフ(身体強化)は、いまだに優太の筋繊維と神経回路を異常なレベルでブーストし続けている。

「チィィィィッ!」

紅竜が優太の接近に気づき、鋼鉄をも容易く切り裂く巨大な鉤爪を横薙ぎに振るってきた。

まともに喰らえば、人体など一瞬でミンチになる速度と質量。

だが、極限まで加速した優太の動体視力には、その大振りの一撃が『スローモーション』のように見えていた。

「大振りすぎる。制圧マニュアル通りだ」

優太は速度を緩めることなく、姿勢を極限まで低くして(スライディングの体勢で)鉤爪の下を滑り抜けた。

そのまま反動を利用して跳び上がり、紅竜の死角――巨大な右翼の『付け根』の真下へと肉薄する。

(どんなに分厚い鱗を持ったファンタジーのバケモノだろうと、骨と筋肉で動く『脊椎動物』である以上、解剖学的な基本構造からは逃れられない!)

優太の脳内に、巨大爬虫類(および鳥類)の骨格図が精密な3Dモデルとして展開される。

(翼を羽ばたかせるための巨大な胸筋。それと翼の骨(上腕骨に相当)を繋ぐ、最も負荷がかかる太い『腱』。関節の可動域を確保するため、そこだけは絶対に硬い鱗で覆うことができない『急所ソフトターゲット』が必ず存在する!)

「見えた……! 人間で言うところの、肩関節の腱板ローテーターカフ!!」

優太は空中で体を激しく捻り、遠心力と体重のすべてを、両手に握った『ワスプ薙刀』に乗せた。

狙うは、紅竜の右翼の付け根、鱗と鱗のわずかな隙間に覗く、強靭な白いスジ

「俺のメス(薙刀)は、ちょっと切れ味が鋭いぞ!!」

ザシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!

ワスプ薙刀の漆黒の刃が、紅竜の巨大な腱を、まるでピンと張ったロープを断ち切るように、正確無比に一刀両断した。

「ギャァァァァァァァァァァッ!!!?」

ポポロ村に、紅竜の鼓膜を裂くような悲鳴が響き渡る。

ブツンッ、という鈍い音と共に、紅竜の右翼を支えていた張力が完全に失われた。

巨大な翼が、まるで骨を抜かれた傘のように、だらりと力なく地面に崩れ落ちる。

「……ミッション・コンプリート(部位破壊完了)だ」

優太は紅竜の背中を蹴って軽やかに着地し、ワスプ薙刀の血糊をシュッと振り払った。

首を落としたわけではない。致命傷でもない。

しかし、自重を支えるための要(アキレス腱)を絶たれた飛竜にとって、それは『絶対的な死』を意味していた。

「ガァ……ッ!? グルルルルッ!!」

右翼が使い物にならなくなった紅竜は、バランスを崩して地面を這いずり回り、激痛とパニックで完全に統制の取れない動きになっている。

もはや、ただのマトの大きい巨大なトカゲだ。

「よし! キャルル! 飛べなくなったトカゲの頭蓋骨は、お前のモンだ! チャージは済んでるな!?」

優太が振り返り、広場の後方に向かって叫ぶ。

「もちろんよ!!」

そこには、真紅のワンピースを纏い、全身から『銀色の闘気』を立ち昇らせたウサギ耳の村長、キャルルが屈み込んでいた。

「スーッ……ハァッ……!!」

彼女が深く息を吐き出すたび、周囲の空気がビリビリと静電気を帯びて震える。

月影流の奥義へと至るための極限集中状態――『満月フルムーン』への移行完了。

さらに彼女の足元では、以前優太が地球ショッピングで買い与えた『特注のタクティカル・ブーツ』の靴底に仕込まれた【電竜石】が、バチバチと激しい青白い火花スパークを散らして臨界点に達しようとしていた。

「私のふぁみれすを燃やそうとした罪……その身で味わいなさい!!」

紅竜の絶望の悲鳴と、サバイバルアイドルの歌声が交差する中。

ポポロ村が誇る最強の物理アタッカーの必殺の一撃が、今まさに天空へと解き放たれようとしていた。

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