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Avalon Rain ~終焉の雨と彼女の願い~  作者: 音無 一九三
第一章【凶変の召喚魔法】
29/53

28 下される判決

  ロイ・ヴァリアー。彼には特別な能力があった。


 ”時間超越(クロノシフト)”──。冥力と呼ばれる力を用いて、時間の流れにさえ干渉する、魔法の中でも群を抜いた特殊魔法。

 ロイのそれは、「自身の身に降り掛かった何らかの不祥事を無かったこととし、代わりにそれを別の者の現在に擦り付ける」というものだった。


 今回の場合、ロイは『鎖霊の首輪(リーター・チェイン)』が自分に取り付けられたという事象を歪め、「それはたった今ラーノルドに取り付けられた」と書き換えた。『鎖霊の首輪(リーター・チェイン)』は、飽くまでイクリプシアを無力足らしめるためのもの。その効果は、想力と魔力に対してであり、冥力(・・)には及ばない。



 途中あの場の近くに待機していた6人の仲間と合流したロイ達は、半日程走り続け、太陽が東の空で輝いている頃、目的の場所にたどり着いた。それは、アルフとリィルが出会った、深い森の中。

 レーヴェティアから南に徒歩で5日程の距離にある、あまりに生い茂った木々に陽光を遮られ、あまり足場の良いとは言えない森だった。

 僅か半日でそこまでたどり着いたというのだから、それは驚愕に値する速さだろう。アルフ達『勝利の御旗(フューリアス)』のような荒唐無稽な移動手段ではなく、一重に魔力によって強化した身体能力のみで、ここまで走り続けたのだから。


 もし、アルフとリィルがこの森を出るのがあと少し遅ければ、或いは気づいたかもしれない。

 要は、入れ違いだったのだ。コーザル等の指揮官が、この森へと潜伏し始めたのは。



「ハァ……ハァ…!」


 さしものロイも、大きく肩を揺らしていた。その場所は、森の最奥にある、洞窟だった。

 そこまでたどり着いて、ロイはコーザルを下ろし、手足の拘束を解いた。『鎖霊の首輪(リーター・チェイン)』は外すことが出来ないが、この場合やむを得ないだろう。


「助かったぞ…ロイよ」


 そう言ったコーザルだったが、しかしその顔色は優れなかった。計画は失敗に終わった。

 そのことを、これから報告しなければならないのだ。


 騎士達が魔法によって灯した火を便りに洞窟をしばらく進んだ所で、果たしてその人物はいた。


「団長殿…」


「……その反応…。そうか……失敗であったか…」


 焚き火も焚かずに暗闇の洞窟の中に身を潜めていたのは、50代半ば程の1人の男だった。苦悩の証明とでも言うように、髪は後退し、殆どが白髪となっている。

 彼はやって来たコーザル等8人と、そしてコーザルの声色から、今回の作戦が失敗に終わったことを悟った。


「はい…。レーヴェティアは…討てませんでした……。恐らく…ヴェグナは全滅した模様です…」


 悔しげにそう呟くコーザルに、ゆっくりと横に首を振る男。


「いや……お前達はよくやってくれた。全ての責任は…私にある……」


「だ…団長…! もう1度、我々がヴェグナを喚び出します…! 我々6人なら、15メートル級のそれを喚び出せ──」


「無駄だ…。見ていたであろう、あのラーノルド・トゥーレリアの力を…。40メートルを越えるヴェグナを、ただの1人であっさりと倒した。あれを前に、15メートル級1体で、何が出来るというのかね……」


 諦念を孕んだコーザルの言葉に、騎士達は項垂れる。そう、彼等も見ていた。40メートルを越えるヴェグナが、ただの1人の人間に討ち倒されるのを。


 悔しかった──。彼等がこの作戦を企てたのは、今なお苦しみ続ける、自分達の街の者達のためだ。

 それを救うために、多くの仲間が命を失った。そして、自分達だって、その覚悟はあった。


 だが、その結果得られたものは、かつてダルタネス大陸に存在した、カルベリアという大都市を滅ぼした悪魔。それすらも退けた、レーヴェティアという街の強さの証明だけだった。

 どの面を下げて帰ればいいというのか。いや、それ以前に、自ら進んでヴェグナを喚ぶための贄となった仲間達に、どう手向けてやればいいのか。



「…確かに今回の結果では、レーヴェティアは勿論だが、ヴァスタードに取り入ることも…難しいだろう。だが、それでもヴェグナの性能について、ある程度の検証が出来たこともまた事実。……犠牲は大きいが、それでも、無いよりは遥かに良いだろう…」


 男はそう言って、深く息を吐いた。自分で言っていて、馬鹿らしくなる。ヴェグナを喚び出すには、まず適性を持った人間を探し、諸々の手順を踏み、そしてその者の命を生け贄として捧げなくてはならない。今回の作戦で犠牲になった人数は、200人はくだらない。

 確かにヴェグナは強力だった。これを使えば、他の街に対して、ある程度現状を打開する手段として使えるかもしれない。

 それを行うために、夥しい犠牲の山を築く、という点に目を瞑るならば。


 男の言葉を聞きながら、しかしコーザルは男の内心を悟っていた。

 こうしてレーヴェティアに対して多数のヴェグナを差し向けてしまった。それが失敗に終わったということ。それはつまり、ヴェグナの対策法をレーヴェティアが取得した、と言って過言ではない。


 その情報は、いずれ必ず公開される。いつ、どの街がヴェグナに襲われてもいいように、その能力や弱点を。そうなれば、ヴェグナの脅威は、それだけ薄れてしまう。

 多くの犠牲を払って、その見返りは、あまりにも小さい。


 騎士達もまた、そのことを理解していた。だから騎士達は涙を流し、歯を食いしばっていた。そんな時だった。



「──随分と遠くまで逃げてくれたな。逃げ足だけは大したものだ……。危うく逃すところだったぞ」


 騎士達が咄嗟に武器を構え、男とコーザルを護るように立ち塞がる。声は聞こえたが、まだその姿はない。

 コツコツと歩く音が、洞窟の中に反響する。やがて、騎士達が自身の掌に灯した火の魔法に照らされて、その人物の姿が顕になった。


「……ラーノルド・トゥーレリア……」


 男がそう名を口にする。その視線の先には、巨大な突撃槍を携えたラーノルドが、洞窟の出口を塞ぐように立ちはだかった。


「く…貴様には『鎖霊の首輪(リーター・チェイン)』を付けた筈だ…! 何故それがここにいる! 少なくとも街に戻らなければ外すことは出来ないだろう!」


 驚愕を顕にしたロイがそうがなる。


「……疑わしき者には『鎖霊の首輪(リーター・チェイン)』を取り付けるのが若い頃からの私の癖でな…。殺さずに済むしな。だが、時々無実の者にも付けてしまうことが多々あった。お陰で団長になってからは、いつでも外せるように、鍵も持ち歩いている。今回は、その癖に助けられたようだがな…」


「ぐ……」


「今度こそ終わりだ。大人しく投降しろ…」


 洞窟内の空気を支配するかのように、ラーノルドから異常な殺気が放たれた。それは、以前経験した際のそれよりも遥かに強大だった。1人、また1人と、騎士達が腰を抜かしていく。


 勝てない。勝てるわけがない。こんな男に…。


「…殺せ。今回の件は、私が企てたものだ。その責任は全て私にある。覚悟はとうに出来て──」


「──エルサーラ騎士団の団長──ギルバート・フォークラス」


 食い気味にラーノルドはそう言って、槍を握っていない左手が持ち上げられ、男を指差す。


「素直に投降しなければ、レーヴェティアはヴェグナの情報を開示した後、金輪際エルサーラに対して一切の援助を行わない。こう言った方が、お前達は黙って従うか?」


「──ッ!!」


 その発言は、その場にいた者達を凍りつかせるにたるものだった。


「ヴェグナではレーヴェティアは落とせない。街も無傷だ。ヴァスタードに対する力の証明も、これでは大して意味を為さんだろう。お前達の目的は、元々自分達の街の住民を救うことにあるのだろう? お前達が投降せずに死を選ぶというのならば、その街の人間達はより苦しむことになる」


 確かにレーヴェティアを狙ったのは、ヴァスタードに対してヴェグナの力を示すためでもあったし、レーヴェティアという安住の地が欲しかったからだ。そのどちらも失敗に終わった以上、このまま速やかに自殺なり殺されるなりして、自身の街にまでそれが及ばないように徹底する。

 そうすれば、状況は改善こそされないものの、悪化することはない。


 それだけが、残された手段だった。


 だが、ラーノルドは、その退路を絶った。そもそもギルバート・フォークラスが表立って姿を見せず、こんな森の奥の洞窟に身を潜めていたのは、彼が表に出れば、どの街が今回の件を企てたのかがわかってしまうからだ。

 だから、有名な騎士を使うわけにはいかなかった。身分を示す物も持たせていないからこそ、せいぜいギリア大陸以外のどこかの街、という程度の認識に収まるだろうと踏んでいた。


 しかし、ラーノルドはここに現れた。ならば、その責任の全てを負ってこの男に殺され、街には手を出させないようにと嘆願を申し出る筈が、その前に街の住人を人質に取られてしまった。

 レーヴェティアからの魔導科学の提供は、非常に重い。それが無くなれば、一気に他の街とのパワーバランスは崩れる。


 今はギリギリのところで保っている状況も、砂上の城のように崩れ去ってしまう。だからこそ、その脅しは非常に強力だった。



「……卑怯な…!」


 騎士の1人が、忌々しげにラーノルドを罵る。が、それを涼しげに見返し、

「自分達のことは棚に上げて、随分な言い様だな」

 とそう言って、その視線を今度はコーザルに向ける。


「コーザル…確かお前にはこう言った筈だ。『人類は決して一枚岩ではない』、と。その通りだ。私は……オレはレーヴェティアを護るためなら、鬼にでも悪魔にでもなろう。卑怯と言われようがなんだろうが、一向に構わない。それより、だ…。結果的にはレーヴェティアは無事だったが、それでも貴様等がしたことは、断じて許すことはできん。どんな理由があるにしろ、それはそちらの都合。こちらとしては関係ない。正直、今すぐにでも殺してやりたいぐらいのものだが、だがそんなふざけた奴等が、言葉で取り繕って、死んで楽になるだと? ……許すと思うか…?」


「……ぁ…あ……」


 さらに高まるラーノルドの殺気に、騎士の1人が呻き声をあげる。その足元は、濡れていた。


「ギルバート・フォークラス。貴様を見つけたことで、どこの街かは判断出来た。なら、それをこちらも有効に使う。オレの街に手を出したんだ……。その落とし前をしっかりと付けて貰う。死ぬなんて逃げは断じて許さん…。その身をを以て償わせる。投降しろ…」


「……わかった。投降…する……」


 重圧の中、そう口を開くのが精一杯だった。



 こうして、ダルタネス大陸の街──エルサーラが企てた作戦は、その全てが終わりを迎えた。

 エルサーラの住民を人質にされ、事実上の首輪を付けられた状態のギルバート等に、抵抗の術は、無かった。







 *******************


「アルフ、もう身体は大丈夫なの?」


「本調子には程遠いね。流石に無茶をし過ぎたせいか、まだ魔力が使えないんだ。歩いたりするくらいなら平気だけど、当分は戦ったりは出来ないかなぁ…」


 グラスに注がれたぶどう酒を飲みながら、アルフはそう言って正面に座るリィルに苦笑した。


 そこは、レーヴェティアの街の西側。多くの店が立ち並ぶ商店区域から脇道にそれたところにひっそりとある、寂れた酒場だった。店には看板もなく、この酒場を知っている者は、さほど多くない。だから、静かに酒を楽しんだり出来る場所だ。

 アルフ達がいるのは、そんな酒場の一角。6人掛けのテーブル席だった。



 レーヴェティアを襲ったヴェグナの一件から、1週間──この世界の1週間は5日間──が過ぎた。今回の件が、ダルタネス大陸に存在するエルサーラという街が企てたものであることが公表され、レーヴェティアはちょっとした騒ぎになった。

 街に未曾有の危機が訪れたのだ。各騎士団長達をはじめとする騎士達の奮闘により、幸い被害こそ出なかったものの、一歩間違っていれば大惨事だっただろう。


 それ故に、住民の怒りも高かった。ギルバート等の処刑を望む声も多かった。それらについては、今後の方針と共に騎士団長等が話し合っているという。

 まあ、とは言っても5日も経てばだいぶ落ち着くものだ。確かに未だ怒りの声は絶えることはないが、それでも表面上、街はこれまで通りの様相を取り戻した。



「本当に…心配したわ。全然目を覚まさないんだもの…。ロッティちゃんなんか、ずっとつきっきりで看病していたのよ?」


「あはは…ごめん」


 苦笑しながら、アルフは隣の席で突っ伏して寝息を立てているロッティの頭を、そっと撫でる。涎を垂らして眠っているその表情は、とても嬉しそうだった。


 アルフが目を覚ましたのは、つい今朝のことだった。あれ以来気を失ったままだったアルフは、グレイ達からその後のことを訊いて、そして概ねを把握するに至った。

 そしてその晩、『勝利の御旗(フューリアス)』は祝勝を祝う宴を行っていた。


「まあいいじゃねぇの。無事目ぇ覚ましたんだしよ。あ、ウィスキーおかわり」


「はーい!」


 店員の応答を聞きながら、残っていたウィスキーを一気に流し込んだグレイ。この世界では18歳から成人とされている。ロッティはまだ17歳だ。そのため、ロッティはまだお酒が飲めない。眠っているのは、酔ったからではなく、アルフが目を覚ましたことの安堵感と、それまでの疲労故だった。


 なお、記憶喪失のリィルは、自分の年齢がよくわかっていないため、お酒には手を出していない。彼女が飲んでいるのは、レモンなどの果物の果汁を使ったミックスジュースである。



「でも、何にしても、本当にみんな無事で良かった。リィルがいなかったら、きっとヤバかったね。ありがとう、本当に」


「え、そんな…。私だって必死だっただけだから……」


 リィルの顔に赤みが指す。あくせくするリィルの様子は、何とも可愛らしいものだった。


 誤魔化すように、リィルはそれより、と口にする。


「アルフ、あの黒い剣は何だったの? 何だか普通の魔力の感じとは違ったような気がするんだけど…」


 リィルのずば抜けて高い魔力感知能力。それは、あの状況下に於いても変わらなかった。アルフの魔力は、確かに底を尽きていた。それに、実体を持った物体を作り出す魔法など、存在しない。そんなことが出来るとすれば、それはイクリプシアの使う『言霊結(リート)』だけだ。


「あれはこのロザリオの力なんだけど…実のところ、オレにもよくわからないんだ。なんでそんなことが出来るのか、全然わかんない」


 そう言ってアルフはいつも首に掛けている黒いロザリオを右手で持ち上げて見せた。微細な彫りが施された、美しい十字架。何らかの魔導具にしても、聞いたこともない代物だ。


「しかも、夜の──21時を回ってからじゃないと効果が出ない。たまたま21時を過ぎたから良かったけど、そうじゃなかったらヤバかったね」


 たはは、と笑うアルフだが、実に末恐ろしい話だった。



 ちょうどそんな時、カララン、と鈴の音が鳴る。店の扉に取り付けられた、来店を知らせるものだ。


「あら、病み上がりでいきなりお酒ですか。身体に悪いですよ?」


「お前等何でここに……。く…オレの憩いの場所が…」


 やって来たのは、ニコニコと笑うレーレと、アルフ達を見て表情に落胆の色を浮かべるラーノルドだった。

 ここは、ラーノルドが普段のレーヴェティア騎士団本部の団長としての役目を忘れ、お酒を楽しむことが出来る店だった。そこに、いつも頭を悩ませてくれる問題児達がいる。

 その絶望たるや……。



「まぁまぁいいじゃねぇの! ほらほら2人ともこっち座った座った!」


 グレイに手招きされ、結局ラーノルドはアルフの右隣に、レーレはその正面、グレイの隣に座る。ケタケタと笑うグレイだが、その横に座ったレーレの笑みには、どこか怒りの色が見えるような気がしてならないアルフだった。


(レーレさん…叔父さんと2人で飲みたかったんだろうなぁ…きっと)


 何となくそう悟ったアルフだったが……いや、何も言うまい。グレイがさらに余計なことをしそうで怖かった。


「叔父さん……団長がここにいるってことは、会議は終わったんですか?」


「……はぁ。今は叔父さんでいい。ったく…。ああ、終わったよ」


 諦念の色を浮かべながら、ため息を漏らしたラーノルド。きっとこの宴席が終わった後、レーレのお小言に付き合わされるのだろうと、彼もそう思っていた。だからこそ、その目線はグレイにじとーっと向けられているのだが、当の本人は勝手にラーノルドとレーレの分のお酒も注文する。


 選ばせてもやらないのか…と思っていたが、ラーノルドもレーレも文句は言わない。どころか、ちょっと驚いていた。どうやら頼もうとしていたものをグレイが注文したようだった。


(こういうところは気が利くのに、何でそっち(・・・)には気を使わないんだろうなぁ…)


 心の中でレーレに謝罪するアルフだった。



 席に着いてしまったものは仕方がない。グレイの前に新しいウィスキー、ラーノルドにはビール、レーレにはライム酒が置かれ、ひとまずは──


「んじゃ、ま、アルフの復活とレーヴェティアの勝利を祝して…乾杯!」


「「…乾杯」」


 ロッティを除く皆が、何とも言えぬ状況で乾杯が行われた。



「──それで、叔父さん、どういう感じになったの?」


 しばらくお酒を楽しんだ後、アルフがそう切り出した。


「ああ…明日、公式に発表は行うが、ギルバート等9名については、処刑したり『特攻者(バスター)』送りにしたりはしないことになった」


「……うーん…みんな納得するのかなぁ…」



 グイッと残りのビールを流し込み、おかわりを注文するラーノルド。若干のやけ酒気味であった。


「当然、そう公表すれば相応に反対の意見は出るだろうな。というか、フィールなどは『特攻者(バスター)』送りにしろと真っ先に言っていた」


 あー、フィールさんらしいな…とアルフは苦笑する。でも、とグラスを揺らしながら、アルフは言葉を続けた。


「オレさ…こう言っちゃうとなんなんだけど…コーザル達……あの人達、そう悪い人じゃないと思うんだ。オレ達の前でヴェグナを召還した人達……何ていうか…凄く重い覚悟があったんだと思う」


 新しく運ばれてきたビールを2口ほど飲んで、ラーノルドは頷いた。


「……ああ、そうだな。確かに、彼等のしたことは、レーヴェティアにとっては許されることではない。だが、そうまでしなければならない程に追い詰められていたのも、また事実だ。堪ったものではないが、彼等には彼等の正義があった…」


「もし人類が、しっかりと手を取り合っていたのなら、こんなことにはならないのでしょうけれど……難しいですね」


 憂いを帯びた表情でそう言ったレーレが、上品にライム酒に口を付ける。



「けれど、では、結局のところ…どうなるんですか? 彼等を殺さないにしても、そうは言っても、レーヴェティアの人は納得しない…でしょうし……」


「……そうだな。リィル、君はどう考える?」


 そう言ってラーノルドは、テーブルに置かれている皿に盛られたチーズを掴み、ひょいと口に運ぶ。


「ええと……そう…ですね……。うーん……。レーヴェティアとしては、エルサーラを許す訳にもいかないし…。やはりエルサーラへの技術提供の停止…とかになるんでしょうか? 他の街に対しての牽制にもなるでしょうし…」


 レーヴェティアの魔導科学。それが各大陸、多くの街や村に提供されている、ということは、記憶を失ったリィルとて理解している。レーヴェティアに来てそれほど日が経っていなくてもそれくらいは判る。


 エルサーラへの魔導科学技術の提供の停止──。やはり線引きとしては、妥当なところだろうか。要するに、縁を切る、といった形を取る、ということだ。

 エルサーラがレーヴェティアにしたことを考えれば、これでも寛大と言って良いのではないだろうか、とリィルは考える。

 無事街は護られたから良かったが、もしヴェグナが街中で召喚されていたら、仮に倒せたところで甚大な被害が出ていただろう。

 多くの住民が、犠牲になっただろう。


 そして、このようにレーヴェティアに敵意を示せば、その恩恵が受けられなくなると示すことで、他の街が良からぬことを企てるのに対しても十分な牽制になる。


「ふむ……なるほど。アルフ、お前はどうだ?」


「うーん…そうだなぁ…。エルサーラ騎士団の上役を全員クビにして、代わりにレーヴェティアから人を派遣。不穏な動きが今後ないように監視…とかかな。あの人達の言い分から考えて、こっちからの技術提供を停止しちゃったら、ヤバそうだろうし…」


「……グレイ、お前の意見も一応訊いておこうか」


「一応って…。あー、そうだな。ぶっちゃけ、占領しちまえばいんじゃね? レーヴェティアの支配下に置いちゃえば手っ取り早いだろ」


「ぶっちゃけすぎだろ……」


 思わず噎せかえりそうになりながら、アルフがそう言った。


「アルフのそれだって、実質的には対して変わらねぇぜ?」


「いや…そうだけどさ……」


 アンニュイな表情でそう言うアルフ。しかし、横に座るラーノルドはほう、と感心したような声をあげた。


「この中では、グレイのそれが一番近いな」


「えっ…? まさか、本当に占領しようっていうの?」


「飽くまでグレイが一番近い、というだけだ。アルフのそれも、勿論リィルのものも、間違ってはいない…」




 *******************


 数時間前のことである。レーヴェティア本部会議室。そこに設えた円卓を囲うように置かれた10脚の椅子。席に着いているのは、この街の各騎士団の団長、副団長達。そして、各騎士団から補佐が1人ずつ、各々団長の背後に立っている。


 この場にいるのは、その15名と、そしてギルバート、コーザル、ロイの3名。残る騎士6名は、今は牢屋に入れられている。


 諸々の事情聴取を終え、昨日からの話し合いも、今日をもって結論を出すこととなっている。これは、ギルバート等、及びエルサーラに対する対応の最終結論を出すための会議だった。



「あたしは断然、コイツ等は『特攻者(バスター)』送りにするのがいいと思うぜ? そうでなきゃ、示しがつかねぇじゃねぇか。『レーヴェティアはこれだけ手を出されても受け入れちまう街だ』って宣伝するようなもんだ」


 ワインレッドのポニーテールを翻して、吐き捨てるようにそう言ったのは、西騎士団の団長である、フィール・クォンタムだ。


「今回の件に関しては、私もフィールに賛成だね」


 東騎士団の団長、還暦を過ぎた女性、ジーナ・テイルズの意見も同様だった。


「ここで手を講じないようじゃ、第2、第3のそいつ等を作ることになりかねない。それは得策じゃないだろ? 今回の一件の関係者は余さず、『特攻者(バスター)』にするべきだね」


 否定的な意見は、特に出なかった。ジーナの言うことは尤もだった。ここでギルバート達を手放しで許していたら、他の街にそういう認識を抱かれても、仕方のない状況になってしまう。


特攻者(バスター)』とは、対イクリプシア戦線の、その最前線で使い捨てにされる犯罪者達の通称だ。文字通り、ある時は爆弾を持たされて特攻させられたり、ある時はエアリアル・レイドのような魔法で撃ち出されたり。

 よくてその生涯を最前線で消費させられる。一生転がった死体を片付けたり、と、何にしても録なものではない。


 そして、『特攻者(バスター)』になる場合、その家族も対象に含まれる。事実上の、一家共々への死の宣告だ。



 ギルバート達は、口を閉ざして下を向いていた。反論の余地はない。いや、寧ろ自分達が『特攻者(バスター)』にされるとなったところで、それは受け入れるだろう。街が──エルサーラの街が、無事で済むのなら、それ以上は望むまい。



「ふむ…皆の考えも、概ねそんなところか?」


 ラーノルドの言葉に、その場にいた他の9人は静かに頷いた。


「エルサーラについては、どうするんだい? やはり一切の技術提供、援助の停止…が無難かな」


 レーヴェティア騎士団本部副団長──レオンハート・スタットーラが、眉間に皺を寄せながらそう言った。言いながら、それがあまり後味の良いものでないことを、彼が理解しているからだ。

 レーヴェティアからの技術提供などが止まれば、一気にエルサーラを取り巻くパワーバランスは崩壊する。そうなれば、イクリプシア以前に、周囲の街に討ち滅ぼされかねない。


「……仕方あるまい。それだけのことを、この者達はしでかした」


 ジーナの右腕、東騎士団副団長のニコラスが、表情険しくそう言った。


 それは、事実上エルサーラの民を見捨てる、という決断を示す。

 下を向いたギルバートの表情が固くなる。ラーノルドが脅しとして言った言葉が、今、まさに現実になろうとしていた。



「……私は…それはやり過ぎではないかと…思います」


 淡い水色の髪を束ね、右肩から前に垂らしたその髪を触りながら、北騎士団団長のティアナ・アルジェントは俯き気味にそう言った。

 それはそうだ。この場に揃い踏む面々は、このレーヴェティアを取り仕切る者達だ。

 まあ、それを言うならティアナもそれに含まれるのだが、柔和で心優しい彼女は、フィールのようにズケズケともの申すタイプではない。


 それでも発言したのは、彼女の性分故か。


「皆さん判っていらっしゃると思いますが、エルサーラへの技術提供等を止めれば……エルサーラが滅んでしまうでしょう。確かに……許せないことです。けれど…そこに住まう…住民まで、陥れるのは……やり過ぎではないでしょうか」


「……」


 口にしないだけで、誰だってそれは理解している。だが、そうでもしないと、レーヴェティアに対する敵対組織が現れる可能性も否めない。牙を剥かれたら、その口元を吹っ飛ばす。それぐらいに徹底しなければ、この世界では生き残っていけない。

 それでも、どこかそれを後ろめたく思っているのは、皆同じだった。


 そして、その結論は、やはりこの街の最大の代表者が執り行うものだ。自然、全員の視線がラーノルドに向けられる。



「……私に、1つ案がある。聞いてほしい」


 その視線を受けて、ラーノルドは静かにそう言った。


「罪人に対して、それ相応の罰を下すこと。当然のことだ。そして、今回の騒動は、それに見合うものも大きいだろう。皆、腸が煮え繰り返る思いだろう。私とて、その1人だ…」


 ギロリ、とラーノルドの視線が、下を向くギルバート達に注がれる。しかし、暫く睨んだ後、フッとラーノルドの表情が幾らか和らいだ。


「だが、私とて、この者達の立場であったならば、そうしたかもしれない…。それほどに、追い込まれていたのだということも、また認識せねばならない」


「…なら、アンタはどうしようって言うんだい、ラーノルド?」


 ジーナがそう言って、厳しい表情でラーノルドを見つめる。それを真正面から受け止めて、ラーノルドは決断を述べる。


「……この者達は、『特攻者(バスター)』にはしない。そして、エルサーラへの技術提供も、止めない」


 場の空気が凍りつく。それは、これまでの議論で出来上がっていた結論を、盤面からひっくり返すような発言であった。


「お、おいおいおい…。とち狂ってんのか、ラーノルド団長よォ…。そりゃねぇだろ。一切合切、赦すってのか?」


 その気性を表すような荒ぶる炎を宿す瞳が、ラーノルドを睨み付ける。フィールの言葉は、口に出さないだけで、その場の全員のものと言って差し障りない意見だった。


「いや、そうではない。エルサーラのしたことは、赦すことは出来ない。だが、そこに住まう住民を見捨てることも、また看過すべきことではない。ダルタネス大陸は、イクリプシアの脅威も身近な大陸だ。その大陸から戦力を奪うことに繋がるものは、人類にとっても、良いものではない。ならば、答えは単純だ。両方とも、実行すればいい」


「ラ、ラーノルド……言っている意味がよくわからないよ…」


 副団長であるレオすら、疑問符を浮かべてそう訪ねてくる。そんな中でラーノルドの意図を汲み取ったのは、それまで押し黙っていた南騎士団の団長──グレイの実父、ウォーリア・ヴェルタジオだった。


「……占領、ということか?」


「まあ、それが実体だな。無罪放免とする訳にもいかず、かと言って手切りにする訳にもいかない。だったら、レーヴェティアの管理下に置いてしまえばいい。下手な事が出来なくなるよう常に睨みを利かせ、こちらの指示にしっかりと従って貰う。この者達は、その礎となって、骨身を削るように働かせる。どうだ? これなら、他の街に対する示しとしても十分だろう。此方に牙を剥けば、占領される。そう示すことが出来る。そして、レーヴェティアはダルタネス大陸に新たな拠点を持つ事が出来る。レーヴェティアの支配下に入るということは、実質エルサーラに手を出すことはレーヴェティアに対して喧嘩を吹っ掛けたのと同義だ。それなら、エルサーラの民も、今までより遥かに安心して暮らせるだろう」


 それは、最悪の結論を覚悟していたギルバートにとって、信じがたいものであった。だってそうだろう、今回の一件は、イクリプシアもそうだが、それよりも他の街の──同胞である筈の人間の脅威によって引き起こされたと言っても過言ではない。

 それが解消される。イクリプシアの脅威は変わらないが、それでも、現状が遥かに改善されるだろうことは、最早考えるまでもない。


「……ちょうど、レーヴェティアも人が増えてきているからな…。新しく土地が得られるというのも、いいかもしれんな…。ダルタネス大陸に我々の拠点が出来るというのも、イクリプシア共と戦う上では悪くない話だ。ダルタネス大陸の他の街に対しても、直に我々の手が届く。私はそれで構わんと思うが、皆はどうか?」


 ウォーリアは暫く考えた後、頷いてそう言った。確かに悪くない話だ。レーヴェティアとしても、エルサーラとしても。


「……アンタがそう納得してんなら、あたし等が反論したって、テコでも動かねぇだろ。まあ、あたしとしてもそれなら構わねぇけどよ」


「いつの間にか言うようになったね、ラーノルド。問題児共に手を焼かされて、随分柔軟になったんじゃないかい? アンタの街だ、好きにするといいさ」


 フィールに続いて、ジーナがそう言って、厳しい表情を崩して笑みを浮かべた。


「いいと思います。私は異論ありません」


 ティアナが今度はおどおどせずにそう言った。

 全騎士団団長達の意見が、ラーノルドに賛同するものとなった。それに対して頷いて、ラーノルドは結論を述べる。


「では、ギルバート・フォークラス。貴様に我々レーヴェティア騎士団の判決を下す。今回の一件、貴様等個人ではなく、エルサーラの街として責任を取って貰う。エルサーラは明日の公式発表をもって解体とし、新たにレーヴェティアの新領土──エルティアとして再建する。勿論レーヴェティアのものとなった街だ。エルティアもレーヴェティアの一部、その技術は全て我等のものとして扱うが、代わりにここと同じように、多くの技術も注がれる。大事な拠点だからな。貴様等には、これからのレーヴェティアの発展のため、尽力して貰う。どうだ、不服はあるか?」


「……」


 言葉が出なかった。外面を見れば、占領されたとされるが、実質は、レーヴェティアの庇護下に入る、ということだ。

 それは、殆ど彼等の望みが叶ったようなものだった。


「ありがとう…! ありがとう…ございます…!」


 幾つもの雫が溢れてきて、柔らかな赤い絨毯に滲んでいく。口をついたのは、感謝の言葉だけだった。






 *******************


「なるほど…。エルサーラに対して(・・・・・・・・・)は技術提供が止まる訳で、レーヴェティアのものになるんだから、常に監視されるのと同じだし、実質的には占領…。レーヴェティアとしては体面も護れて、エルサーラの街の住民も救う事が出来る。うん、それなら、みんな納得するんじゃないかな、きっと」


「良かった……」


 アルフが納得顔でうんうんと頷き、リィルがホッと胸を撫で下ろす。グレイは……口の中がチーズでいっぱいになって喋れる状況になかった。


「あいつらには、脅し文句として街のことを引き合いに出した手前もあったしな…。まあ、諸々と問題は山積みなんだが…。最大の問題点は、移動手段だな。『転移魔法陣』があるのはエルサーラ…もとい、エルティアではないし、そうなると、ヴァスタードから『転移魔法陣』で別の街に飛んで渡るか、海路を進むしかない。どのみち、エルティアに渡るには、それなりに時間が掛かる」


「レーヴェティア内の『転移魔法陣』を、どうにかしてそっちに繋げることが出来れば、早いんだけどね…」


 各大陸に1つずつしか存在しない『転移魔法陣』。レーヴェティアにあるそれは、街中を移動することしか出来ない。それがエルティアに繋がるならば、移動のコストを大幅に減らすことが出来る。


「まあ、その辺りはおいおい解決していけばいい。最悪、お前達に行って貰うかもな」


「……確かに一番効率はいいだろうね…」


 ラーノルドの視線が、アルフとロッティに向けられる。アルフの規格外の収納と魔力量。そして、ロッティの類い稀なまでの魔力制御能力。言わずと知れた、エアリアル・レイドによる移動法。しっかりと海路に耐えうる船が用意出来れば、相当速く大陸を渡ることが出来るだろう。


「……尤も、そこで問題を起こされてはかなわないですけれど、ね」


 意地悪く笑うレーレに、アルフは苦笑して頭を掻いた。


「そう言えばなんだけどさ、何でヴェグナには消却魔法が効いたんだろう?」


「あら、話を逸らす気ですね。けれど、それは私も気になっていたんです。何でなのでしょうね」


「そうだな…リィル、君が消却魔法でヴェグナを倒したんだったな」


「あ、はい」


「なら、リィルには言うまでもないことだが、まず、消却魔法は無属性から転じられる5つの属性を、無属性の魔力を使って均等に混ぜることで作られる。例えばアルフ、お前が炎属性と水属性の魔力を混ぜようとしたとする。どうなると思う」


 右手と左手に1つずつのチーズを摘まみ、ラーノルドはそれをくっつけるようにしてアルフにそう訊いた。


「うーん…オレがやったら、爆発しちゃうんじゃないかな…。水蒸気爆発…だっけか」


「そう、通常なら、当然混ざらない。風属性の魔力で炎属性の魔力を乗せて、威力や範囲を拡大することは出来ても、まず混ぜるということは出来ないだろう」


 押し付けられた球体のチーズは、互いが押し返すようにして、両方とも潰れていく。


「だが、それでも無理矢理これを行ったとき、魔力にある変化が訪れる」


 その潰れたチーズを捏ねるラーノルド。2つのチーズは、捏ね繰り回された結果、無理矢理1つにくっつけられた。それは、元の球体とは及びもつかない、歪な物体と化した。


「本来ある筈がない。しかし、現実に出来てしまった。それ故に、ある種の歪みが生じた状況になる。その歪みは、極めて冥力に近い性質を持っている…らしい。セリア師匠の受け売りだが、な」


 パクッと、チーズを口に放り込んだラーノルド。すかさずそこでビールを飲む。適度な塩気で渇いた喉を潤すこれがまた格別である。


「冥力は、”時間超越(クロノシフト)”の元となる力だ。その全容はまるでわかっていないが、”時間超越(クロノシフト)”は現実を歪め、時間の流れを操作する。その力に、近い性質を帯びる。どうも、この歪みというやつが、とんでもないもののようでな。言ってしまえば、この世に存在している物や事象を否定する、というような作用に繋がるんだそうだ。もし強引に結論に結びつけるなら、その歪みの性質がヴェグナの生命源たるクリスタルの在り方を歪めてしまった、といったところだろう」


「へぇ……何だかスケールが大きすぎて、いまいちピンと来ないね…。あ、確か叔父さんも使えたよね、消却魔法。ヴェグナはそれで倒したの? 40メートルを越えてたとか聞いたけど」


「いや、オレは消却魔法が有効だと後から知ったからな。普通に倒した」


「え、どうやって?」


「…最初は”大地穿つ魔槍剣(アストラル・ブレイド)”で斬りつけ続けていこうと思っていたんだがな、如何せん運動不足が否めなくてな。面倒になって、脳天から串刺しにし続けてやった」


「……」


 驚き、目を見開くアルフとリィルだった。アルフは勿論ラーノルドのそれを知っているからこそ、ブッ飛んだことするなぁ、と思っていたし、リィルは逆に知らないからこそ、ラーノルドの強さを垣間見た。


 というか、驚いているアルフには悪いが、アルフもアルフでブッ飛んでいるだろうと思うリィルであった。



 そこからは、和気藹々とした宴の席。日々の業務を忘れ、彼等は大いにお酒を楽しみ、美味しい物をたらふく食べ、そして語り明かした。

 なお、最終的にその会計は、必然的にラーノルドの財布から出ることとなった。グレイに飲まされてぶっ潰れたアルフを部屋に連れ帰ると言う体裁でもってその場をトンズラしたグレイ。リィルもまた眠っているロッティを部屋に連れ帰る、という名目でグレイに強制的に連れられ、酒場を後にした。


 やられた…と苦々しげに呟くラーノルドの姿があった。

 余談だが、逆にレーレは上機嫌であった。適度に酔いが回っていたし、邪魔者(・・・)がいなくなったことで、静かにラーノルドと飲めるようになったのだ。


 結局2人は、明け方近くなるまで、お酒を楽しむに至った。




 斯くして、レーヴェティアを危機に陥れたヴェグナの一件は、幕を閉じた。

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