表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/36

嘘つき





やけに静かだ…。





外で降っている雨の音が、部屋の中にも静かに響く。





リビングの扉は開いたまま。





そーっと中に入るが、誰もいない。





雨に濡れた衣服が体に引っ付いて気持ち悪い。


髪の毛の先からも、雫が滴り落ちる。





とりあえず、お風呂に入ろうと脱衣所に入る。









…あれ?



電気ついてる…?








浴室の扉をガシャンと開け放つ。







「─────っ!!??」











ガバッ!!と、起き上がる。


酷い汗…。




カーテンの間からは、光が差し込んでいた。





昨日、あのまま寝たのか…。


隣には、寺岡さんが丸くなって眠っている。


布団をそっとかけ直すと、頭を撫でる。






「────波奈…。」







[アイナside]


「───愛奈…?アンタどーしちゃったの?」



文香は、不思議そうに私の顔を覗き込む。




「…別にー。」


嘘のつけない私は、あからさまな態度を取ってしまう。



「…へぇ?愛奈さん。アタシにそんな態度とるなんて、良い度胸してるじゃない。」




ゾクリ…!!




私の背筋が冷える。





「ご、ご、ごめんなさい!!!ちゃんと話します!!」





「───女の名前?」


私は今朝の出来事を、文香に話した。



「…そう。"はな"って、私の頭を撫でながらね。」


私は遠くを見ながら、ボーッと話をする。



「愛奈を撫でながら…?"はな"…ね。」



"はな"という名前が頭の中をグルグル回る。


必死で寝たふりしてたけど…本当は聞きたかった。




"はな"って誰!?





あんなにいとおしそうに撫でてた…。


絶対に特別な人なんだ。





本当は人を好きになれないなんて嘘なんじゃないの…?


断るための口実だったんじゃないの…?





嫌だ。こんな考えしか出来ない自分が嫌だよ。







[ココロside]


酷い眠気と戦いながら、授業を受け終わると、寺岡さんと目が合った。

寺岡さんは、気まずそうに目をそらす。


少し不思議に思っていると、後ろから琥珀に声をかけられる。


「心結!愛奈ちゃんたち誘って飯食わねぇ?」


琥珀は、嬉しそうに俺に話しかける。




よっぽど気に入ったんだな。



「俺は構わないけど…。」


「おっしゃ!愛奈ちゃーん!!ご飯食べよー!?」



琥珀は嬉しそうに駆けていく。





俺を指差しながら、ご飯に誘う琥珀。


まだ眼鏡を外してなかったからハッキリ見えたけど…




寺岡さん嫌そうな顔したよね…?




すると、琥珀が肩を落として帰ってきた。


「…どーした?」


「今から課題するんだってさー。だから今日はごめんって、文香ちゃんに言われた。」



絶対に嘘だな。

直感だがそう思った。



「…琥珀。ちょっとだけ待ってろ。」


「え?心結…!?」


琥珀の声に耳を傾けず、教室を出ていった寺岡さんたちを追いかける。



二人は、並んで歩いているところだった。



俺は、そのまま寺岡さんの腕を掴む。


寺岡さんは、大きく目を見開いている。

怖がっている様子がうかがえる。


ズキンと心が痛む。





「…柳田…くっ…?」




「…ちょっと良いかな?」




「え?」



近藤さんを見ると、好きにすれば良いという顔をしていたので、俺は寺岡さんの手を引き歩き始めた。














「ちょっ、待って…!!柳田くんっ!!」





寺岡さんに大きな声で叫ばれたので、その場に立ち止まる。



「…きゅ、急にどうしたの…!?ビックリしたよ…。」



その声に、俺は振り返って答える。





「…何か、俺のこと嫌がってる感じだったから。」





俺の言葉に、目を見開き、そして気まずそうに俯く。




図星…か。分かりやすいな。




「…もしかして、俺寝てる間に寺岡さんに何かした?」



「えっ!?何かって!?な、何かしたの!?」


あ、これは違うのか。少し安心する。




「いや、違うんならそれで良いよ。」



いや、待てよ。



「いや、良くない。」



寺岡さんは、俺を真っ直ぐ見つめる。










「────って、誰ですか…?」














「…え?」















「…"はな"って誰ですか…?」













突然口を開いたと思えば、波奈の名前が出てきて驚く。




明らかに動揺している俺に、泣きそうな顔をする。







「…それは…。…ごめん。言えない。」



俺も、目をそらし俯く。












「…やっぱり。嘘だったんだ。」










「……!?」




「…どんどん聞いてって。言ってたのに。







人を好きになれないって言ってたのに…。








嘘つき。」








「──っ!!寺岡さ…!!」




伸ばした手を振り払われ、俺は走り去る彼女の姿を見ている事しか出来なかった。





「…はぁ。俺、サイテーだな。」




俺は壁に寄りかかり、その場に崩れ落ちた。












「…ごめん。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ