ありがとう
「───それにしても驚いた。
寺岡さんはいるし、誕生日は祝ってもらえるし。
久々に楽しい1日だった!」
俺の言葉に、嬉しそうな寺岡さん。
琥珀の家から歩いて、俺の家まで帰ってきた。
二人で並んで、ソファーに腰かける。
「今日に合わせて帰ってきたんだ。
永瀬くんから、今日が誕生日だって聞いて、一緒に過ごしたいなって思ったから。
帰ってきて、本当に良かった!」
そう言って幸せそうに笑う寺岡さん。
俺は伸びそうになった手を押さえる。
いや、待て。待つんだ。
落ち着くんだ、俺。
「あ、プレゼントもあるんだよ!」
「え!?そうなの!?」
その言葉に、何とか理性を取り戻した。
「はい!改めて誕生日おめでとう!!」
「ありがとうっ…!!」
丁寧に袋を開けると、中にはネックレスが入っていた。
「おおっ!!これ欲しかったやつ!!」
「えへへ~♪前に言ってたの聞いたから、買っちゃった!」
「うわあ、すごい嬉しい。ありがとう!」
「お礼を言うのは私の方だよ?」
そう言われ、俺は思わず首をかしげる。
「私、柳田くんと出会えて、付き合えて本当に幸せ。
生まれてきてくれてありがとう。」
その言葉は、あまりに突然で大きくて
知らない内に涙が溢れてきていた。
「…生まれてきた事…感謝されるの初めてだ…。」
俺がそう言うと、寺岡さんはキツく抱き締めてくれた。
「何度でも言うよっ…。
生まれてきてくれて、ありがとうっ…。
生きてくれてありがとうっ…!!」
今まで、何度生きる事を諦めただろう。
生まれたことを悔やんできただろう。
母親に愛されなくて
生まれてこなければ良かったと言われて
一番愛していた妹にも置いていかれて
生きる意味なんて無いと思ってた。
そんな俺の人生に意味を与えてくれた
色をつけてくれた
君は、本当にかけがえのない存在だ。
俺は、きっと君に出会うために生まれてきたんだね。
君に出会うことが、俺の人生だったんだ。
「…心結っていう名前は、きっとこうやって心と心を結んで生きていくって事なんだろうね?
本当に素敵な名前をつけてくれたね、お母さん。」
耳元で響く寺岡さんの声が、すごく心地いい。
「私の家ではね、いつも両親に
誕生日ありがとうって言われるの。
生まれてきてくれてありがとう。
ここまで無事に育ってくれてありがとう。
っていう意味の、誕生日ありがとうなんだって。
でも、それはこっちの台詞なんだよね。
生んでくれてありがとう。
ここまで育ててくれてありがとう。
感謝するのは、私たちの方なんだよ。
生まれてこれたから、楽しいことや嬉しいことがある。
それとは反対に、苦しいことも悲しいことも沢山ある。
でも、生きていないとそんな経験なんて出来ない。
そう考えたら贅沢だと思うんだ。
生きている内に、色んな経験をして色んな気持ちになれるって幸せな事なんだなって。」
寺岡さんは、少し俺から離れる。
「柳田くん、これからも生きていこう?
それで私と一緒に色んな気持ちを共有しよう?
生まれて来なければ良かった人なんて
生きていちゃいけない人なんて
この世に一人もいないんだからね?」
その言葉が、胸に染み渡る。
俺は、寺岡さんにいつも与えてもらってばかりだ。
いつも救われてばかり。
「…愛奈。」
俺が名前を呼んだ瞬間、思いきり目を見開く。
「…ありがとう。愛してるよ。」
それなら俺が出来ることは一つだ。
この有り余るほどの愛を君にあげよう。
一生をかけて伝え続けよう。
「愛奈。愛してる。」
俺の言葉に、唇を噛み締める愛奈。
目に涙がじわじわとたまっていく。
俺は、そのまま愛奈を抱き締める。
「…私もっ…呼んで良い…?」
「…うん。呼んで?」
「心結…。
愛してるよ。心結───。」
君には、たくさんのことを教わったね。
人を愛する気持ちも。
生きる意味も。
でも
まだまだ足りないよ。
まだまだ色んなことを知りたいよ。
だから
これからもそばにいて
教えてくれる───?
まずは、ここまで読んでくださった皆様
ありがとうございます。
拙い文章ではありましたが、一応完結という形になりました(*´∀`)
最終話では、書きたいことをたくさん書けましたので個人的には満足してます!
完結ということにはなっておりますが、また気分で番外編等も書いていきたいと思っています(笑)
新しい話を書く予定なので、また気が向いたら読んでやってください( ̄▽ ̄;)
感想や意見なども頂けたら、新しい話にも生かしていきたいと思っています。
最後になりましたが、本当にここまで読んでくださってありがとうございます!
瑠音




