サプライズ
『───そうなんだ!じゃあ晴れて恋人同士になったんだねー♪』
今は、寺岡さんと電話中。
最近は俺のバイトが忙しくて電話が出来ていなかったので、久しぶりの通話だ。
『柳田くんはちゃんと休めてるの?』
突然寺岡さんにそう尋ねられ俺は固まる。
「え、俺?俺なら大丈夫だよ。」
『何か、声に元気が無い気がして。』
そう言われると、否定は出来ないなと思う。
「うーん…まぁ、元気は無いかなぁ。」
『え!?…何で元気無いの…?』
寺岡さんが慌ててそう言うので、俺は思わずふきだす。
「元気ないよ(笑)だって、会いたいんだもん。」
『…へ?』
「寺岡さんに会いたい。だって、こっちでは琥珀と近藤さんが、ずっとイチャイチャしてるからね(笑)」
俺の言葉に、寺岡さんは黙り込む。
「あー、ごめん。ワガママ言ったね。
今のは忘れていいよ。」
「…私だって…会いたいよ?」
その言葉に思わず緩む口元。
やば、ニヤニヤが止まらないんだけど。
「え?何?ごめん、電波悪かった。」
もう一度聞きたくて、聞こえなかったフリをする。
うわ、俺性格悪いな(笑)
『えっ!?い、いやっ、何も言ってない…よ…。』
「えー?そうなの?
私だってー…って聞こえたけど?」
『えええっ!?え、えっと…。』
慌てる寺岡さんが可愛くて、つい意地悪をしてしまう。
『…わ、私だって…柳田くんに会いたいなぁ…って…。』
「へ?何?(笑)」
『あー!!わざとでしょ!!今のはわざとでしょ!!』
「アハハハッ!!」
会えなくても、今はこうやって笑い合えてるだけで幸せか。
こうやって声が聞けて
会いたいって言ってくれて
俺、幸せだな。
[アイナside]
「──うん。じゃあ、おやすみ。」
電話を切ると、自分の部屋を出る。
すると、ゴンッと何かにぶつかった。
「あ、ちょっと颯大!!盗み聞きしてたの!?」
「盗み聞きなんて人聞きの悪いこと言わないでくださいー。」
そう言って、上から私を見下ろすのは弟の颯大。
高校2年生なのに、身長は私よりもはるかに高い。
思春期だから難しいんだよなぁ…。
「姉貴、彼氏出来たんだな?」
「へ!?な、何でそんなこと聞くのよ!?」
明らかに取り乱した私をニヤニヤしながら見る颯大。
「姉貴もとうとう彼氏が出来たのかー(笑)
今度、家連れてこいよ。俺が見定めてやるよ。」
「はあ!?偉そうなこと言わないで!!」
私が怒ると、颯大は愉快そうに笑う。
「冗談じゃん!!そんな本気で怒るなよ!(笑)」
ポンポンと頭を叩いて、自分の部屋へ入る颯大。
もう!困ったもんだ。
…でも、いずれは家族にも会ってもらうことになるのかなぁ…?
家族は、柳田くんを見てどう思うんだろう?
まあ、柳田くんなら問題ないか!!
[ココロside]
「───あのさ、何で俺の家にいるわけ?」
俺は今、すごく不機嫌だ。
「え?だって、心結一人で寂しいかなぁ?って。」
「だから励まそう会をしようと思ってたんだけど…。」
目の前には琥珀と近藤さん。
二人は並んで玄関に立っていた。
「うるさいわ!!お前らは二人でイチャイチャしてればいいんだよ!!」
「わあああ!!心結が怒ったああああ!!」
思わず扉を閉めようとした。しかし…
「え?…寺岡さんっ!?」
二人の後ろには、今ここにいるはずの無い寺岡さんが立っていた。
俺は、自分の目を疑う。
会いた過ぎて、とうとう幻覚見えるようになったのか?
「あ。ひ、久しぶり~♪」
そう言って小さく手を振る寺岡さん。
いや、現実だ。
「───スイカ!スイカ食おうぜー!!」
持って来たスイカを持ち、キッチンへ移動する琥珀。
寺岡さんは、驚かせようとして俺に秘密で帰ってきたらしい。
いや、でも本当に驚いた。
1ヶ月くらい会ってなかったのか…?
今までで一番長い1ヶ月だった。
目の前には、近藤さんと笑い合っている寺岡さん。
試しに頬をつねる。
うん。ちゃんと痛い。
夢じゃないな。
「アハハ!柳田、夢だと思ってるの!?(笑)」
俺を指差して笑う近藤さん。
やば、見られてたのかよっ!!
バチっと寺岡さんと目が合う。
すぐに視線をそらす。
何か…ヤバイ。
ちゃんと見れない。
「───じゃあ、俺の家行こうか!」
「へ?何で?」
スイカを食べながら、それぞれの報告が終わった後、琥珀が突然そう言った。
「え?久しぶりに集まったんだし、俺の家の方が広いからそこでパーティーでもしようかと。」
「あー、なるほどね。」
皆で準備をして、琥珀の車に乗り込む。
そして、家に到着した瞬間───
パン!パン!パン!!
突然の破裂音に、舞い散る紙吹雪。
目に飛び込んでくる、飾り付けされた部屋。
「───おめでとー!!!!」
そう言って、皆俺の方を向いている。
「…へ?」
3人は大成功~♪とハイタッチをしている。
そのまま琥珀に腕を引っ張られ、定位置のソファーに座らされる。
「忘れてたのか?お前、今日誕生日だぞ?」
「へ?…あ、本当だ。」
俺がそう言うと、皆は目を見開く。
「本当に忘れてたの!?」
「ほらほら、とりあえず乾杯しよう!!」
琥珀がグラスにジュースを注ぎ込む。
すると、部屋の電気が消える。
そして、ろうそくの灯ったケーキが運ばれてきた。
「ほらっ!一発で消してよね!!」
言われるがまま、フゥーッと息を吹きかける。
わあああ!!!と更に盛り上がる室内。
初めての事ばかりで、戸惑いを隠せない。
「それでは、心結くん、19歳のお誕生日おめでとうございます!!
かんぱーい!!」
グラスが交わり、カランカラン!!と良い音が鳴る。
そこからはあっという間だった。
本当に楽しくて、嬉しくて、久々に大きな声で笑った。
「───さてと、後はお二人さんで楽しんでくださいな。」
琥珀にそう言われて、俺と寺岡さんは目を合わせる。
「せっかくの誕生日なんだし、後は二人で過ごしなよ。」
近藤さんと琥珀はグッと親指を立てる。
それにふき出す俺たち。
「今日は本当にありがとう。楽しかった!」
「はいよ!それなら良かった!」
「じゃあ、またね!」
「暗いから気を付けて帰りなよー?」
「「はーい!」」
俺たちは、のんびりと夜道を歩くことにした。
少し展開が早くなってしまいました。
突然ですが次話で最終話にさせていただきます!!




