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届け




 




「───助けてっ…助けて、永瀬っ!!!!」



再び、口を塞がれる。




「ふざけんなよっ…!?あんまり調子に乗ってると───」






「───調子に乗ってると、何?」



二人揃って、その声の方を向いた瞬間



カシャリ。



と音がなる。




スマホを手に微笑む青年。


その笑顔は、ひどく恐ろしい。





「ねえ、あんまり調子に乗ってると何…?」



少しずつこちらに近づいてくる。









「調子に乗ってんのはテメェだろ。」





そう言って、純哉の肩を掴み私から引き剥がす。


その隙に、アタシはグイッと手を引かれ入り口付近に避難させられた。




「近藤さん。怪我ない?」



そう言って、アタシを庇うように立つ柳田。



永瀬は、純哉の胸ぐらを掴むと壁に押さえつけた。



「廣谷さんだっけ?

写真バッチリ撮ったし、録音もしといたから。」





「なっ…!?」



「もし、これ以上文香ちゃんに近づいたり何かしたりしたら警察につき出すからね。

分かったら、早く出ていって。」



永瀬の言葉に、逃げるようにトイレから出ていく純哉。




柳田と永瀬は目を合わせると、その場に座り込んだ。



「はあああ…。超怖かったわ…。」


「まぁ、これで大丈夫だろ。」



二人で、少し話をした後永瀬はこちらを見る。




「…文香ちゃん。」



こちらに近づいてくる永瀬。



何を言われるのかビクビクしていると





「とりあえず外出よっか。」



 







あ。




そういえば、ここ男子トイレじゃん!!!!












永瀬の車までやって来た。



しかし、トイレから出てくる時の人の目は痛かった…。


もう二度とごめんだわ。





柳田は、バイト先から連絡が入ったと言って、出ていってしまった。









しーんとした空気が車内に流れる。






助手席に座ってなくて良かったかも…。






沈黙が…怖い…。








「…俺さ、すっごい臆病なんだよね。」



突然始まった永瀬の話。


ハンドルを握ったまま、前を向いて話を続ける。







「だから、文香ちゃんが幸せならそれで良いって

自分に言い聞かせてた。


文香ちゃんが、アイツを選ぶなら仕方ないし、

それを受け入れようって思ってた。




でも、もう嫌だ。」





そう言うとこちらを向く。




まっすぐな瞳。


まっすぐすぎるその瞳。




アタシは目をそらすことが出来なかった。








「文香ちゃん。俺が幸せにする。






だから、俺と付き合ってください。」








アタシは目を見開いた。





必死で涙をこらえる。






「…アタシ…永瀬に酷いことした。」




「酷いことなんてされた覚えないよ。」




「それなのに、アンタはいつも助けてくれる。」




「当たり前でしょ。好きなんだもん。」







伝えたいことはたくさんある。




ありがとう。も、ごめんなさい。も。





でも、胸がいっぱいで言葉になんてならなくて…。






「好きっ…!!」





アタシがそう言った瞬間



ゴンッ!!


という音がした。




「いってえええええ!!!!」



と、同時に永瀬の叫び声。






「抱き締めたくなって動いたけど車の中だってこと忘れてたっ…!!

俺、超絶バカじゃん!!」



頭を押さえながら、そう言う永瀬。



アタシはおかしくなって大笑い。





「せっかくいいムードだったのに…。」


永瀬は恥ずかしそうに前を向いた。




アタシはそれを見て後ろからギュッと抱きつく。



「…え。」









「…永瀬…ありがとう。大好きよ。」




そう耳元で呟いた。





恥ずかしくなって、すぐに戻ろうとしたが

そのまま手を固定された。



へ…?


と思っていると、永瀬の唇が重なっていた。





唇が離れると同時に離される手。




「ごちそうさま♪」








そのイタズラな笑顔にアタシはまんまとやられてしまった。





ベシッと頭を叩く。



「いてっ!!」




「いい気にならないでよね!!!!」



「ちょ、叩くこと無いじゃん!」




「うるさいっ!」







きっとアタシはこれからも素直になれない女の子。






でも、そんなアタシを大きな心で受け入れてくれる。







これからも、手を離さないでいてね───?







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