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お泊まり③




「───え?琥珀が?」



私の隣には柳田くん。


歯磨きセットを買い終わり、近くの公園で二人でベンチに座っている。


この公園は思い入れが深い。


柳田くんが過去の事を話してくれ、付き合うことが決まった場所。




「永瀬くんは、文香に告白とか考えてないのかな?」



私は、ずっと気になっていた二人の事を尋ねていた。



「…まぁ、琥珀にも色々と考えがあるんだよ。」


遠くを見ながらそう言ったので、それ以上は聞けなかった。




「…うまく行くと良いね。」



「…うん。」



ひんやりとした夜の風。


夏の夜のこの冷たい感じはとても好きだ。





「夏休みさ、すぐに実家に帰るの?」



沈黙を破るように、柳田くんが口を開く。



「へ?あー、まだ考えてないかなぁ?」





「…少しは一緒に過ごしたい…かも。」



「え。」



隣を見ると、いつもと違って余裕の無さそうな表情。


な、何か…こっちまで恥ずかしくなるっ…。




「…そ、そんなのっ…私もっ…」




私が、おどおどそう言うと隣でフッと笑う声がした。



「な、何か皆笑いすぎじゃない!?私、そんなにおかしいかな!?」



「ごめんごめん!寺岡さんがあまりにもピュアだから。」



「あー!!バカにしてるでしょ!?」


「してないしてない(笑)」


「もー!!怒るよー!?」



私が立ち上がってそう叫ぶと、私の腕を勢いよく引っ張る

柳田くん。


お互いの鼻先がチョンと触れる。



「…っ!!」



「…良いよ。怒ってる顔も可愛い。」



腕は引っ張られたまま、さらに柳田くんの片手が頬に添えられ、全く動けない。



「…キス…して良い?」



「へっ…!?」



うるっとした瞳でそう尋ねられる。





え、待って。



何その甘えるような表情!?



そ、それに前は急にキスしたのに



今回は確認取るの!?





「ねぇ、我慢できない。…キスして良い?」



ええええええっ…!?



再度尋ねられ、私は顔を真っ赤にしたままコクリと頷く。




ゆっくりと近づいてくる唇。





女の子に負けないくらい透き通った綺麗な肌。


長いまつげ。


真っ黒な瞳。



それに見とれていると、柳田くんの動きが止まった。






「…あのさ…目…閉じないの?(笑)」



その言葉に私は慌てて目をギュッと瞑った。



しかし、時はすでに遅し。




柳田くんの大爆笑に包まれた。




ベンチに座ってのけ反りながら笑い続ける。



「もー!!!!笑わないでよー!!!!」



「アッハハハハ!!」



私が顔を真っ赤にしたまま突っ立っていると、柳田くんはお腹を抱えたまま立ち上がった。



「あー、腹痛い…(笑)」



結局その笑いでムードなんて無くなってしまい、キスは出来なかった。


自分と柳田くん、両方恨むぞ!!!!









「───ただいまー!!!」



「あ、お帰りー!遅かったね。」



私たちが永瀬くんの家に帰った時、二人はお風呂を済ませてソファーに並んで座っていた。



「ちょっと公園寄ってたからね。」


「ふーん?そうなんだー(笑)」




明らかにニヤニヤしている二人。


その時、私の中で何かスイッチが入った。






「もー!!!!みんな、今度笑ったら怒るからね!!!!」





そのまま勢いよくお風呂場へ逃げ込んだ。



皆して馬鹿にするんだからっ…!!


こんなにも一生懸命なのにー!!!!!!





一度お風呂に入って、気持ちを落ち着かせようと私は服に手をかけた。


と、その時




ガチャリ!!!!




と、勢いよく扉が開き柳田くんが入ってきた。




「え、ちょ、ええ───!?」



叫ぼうとしたところを、口を押さえられそのまま壁に押さえつけられた。



「んんんんっ!?」



私は完全にパニックになる。



柳田くんは、口に人差し指をあて、しーっとジェスチャーをする。





「…ごめん。流石に笑いすぎた。傷ついたよね?本当にごめんね。」




そこまで言うと、手を離してくれた。





「…お…怒ってなんか…ないもん…。」



目を反らしながらボソボソと呟く。



「何言ってんの。顔が物語ってるよ。」




柳田くんは呆れたように、そう呟く。



そんな顔しないでよ。



そんな声で話さないでよ。



自分が情けなくなる。



本当に自分が嫌になる。







「…嫌だよ。…何か、私だけ子どもみたい。」




私の言葉に、柳田くんがピクッと反応した。







「……子ども……?」




先程よりも真剣な目で私を見つめる。


その目に私は視線をそらすことが出来なくなった。




「…誰が子どもだって?


俺、寺岡さんを前にすると余裕なんて無くなるよ。


いつだって緊張してる。



俺の方がずいぶん子どもだ。」



そのまま、おでこ、目、鼻、頬、耳へと唇を落としていく。




「ちょっ、待っ…!柳田っ…く、んっ…!!」



その度に、私の体はビクッと震える。




そして、そのまま耳元で囁く。






「…それに俺が今何考えてるか分かってる…?」






その言葉で、私の頭は許容オーバーになり

プツッと音をたててその場に倒れてしまった。









「あれっ!?ちょ、寺岡さん!?誰か来てー!!!」



柳田くんの声を聞きながら意識が遠退いていく。



ああ、本当に反則過ぎるよ…。





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