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決戦前夜




「───それで、今に至る訳だ?」



私はコクりと頷く。




私は今、柳田くんの家に来ている。



目の前には、ホットココアが置かれている。


甘い香りが、私たちを包み込む。




「…何だ…。木崎のあの狂った様子と、寺岡さんの怯え様から相当酷いことされたんだろうなって心配してたんだよ。」



「…ごめんなさい。」



「いや、俺の勘違いで良かった。」



柳田くんは、カップを持つとココアを口にふくんだ。



「…つまり、木崎の愛が重すぎるが故にこんなことになってるのか。


人を好きになる気持ちは、最近になって分かったけど、ここまで人を狂わせるものなんだね。」



「…うん。蓮斗の気持ちはありがたい。


助けてくれたことも本当に心から感謝してる。



自分が退学になってまで、私の為に…。



だからこそ、どうすれば良いのか分からなくて…。



蓮斗は、気が狂えば柳田くんたちにも手を出すんじゃないかって思うと不安で不安で…。」





私は手をギュッと握りしめながら、話をする。



「寺岡さんは、木崎の事をどう思ってるの?」



「…蓮斗の事?」




「うん。一人の男として好きなの?


それとも、何でもない?」



「…私は…蓮斗の事は好きだよ。


最初から最後までそれは変わってない。


でも、男の人としてっていうよりは…家族のようなものかな。」



「…寺岡さんは誰が好きなの?」



私はバッと顔をあげる。


柳田くんの表情は真剣だ。






「…柳田くんの事が…好き。」




私は、顔を真っ赤にしてそう呟く。




「ほら、答えは出てる。」


柳田くんは、あっさり言った。




「…その気持ちを木崎に伝えるんだよ。」



「で、でも!言ったらどうなるか───」







「木崎は寺岡さんの幸せを一番に望んでる。」







柳田くんの言葉に、私は黙り込んだ。



「…彼は、償いっていう言葉をよく使ってたね?


寺岡さんの口から、もう償いはいらないって事を教えてあげるんだよ。


木崎は、今でもずっと後悔してるんだと思う。



もっと早く気づけなかったのか?


もっと良いやり方は無かったのか?



大好きな寺岡さんの人生をめちゃくちゃにしてしまったから、一生をかけて償うって言ったんじゃ無いかな?


木崎は、心から寺岡さんの幸せを望んでると思うよ?」




「…そうなの…?」



私は、ただ唖然とするしかなかった。





「俺の予想だから、何とも言えないけど俺ならそう思うな。


あとは、本人と話をするしかないよ。



もしそれで、俺たちに危害が加わるようになっても大丈夫。


木崎はそんな奴じゃないって信じてるから。」






柳田くんは、ポロポロと涙を流す私の頭を優しく撫でてくれた。




「辛かったね。これからはそんな想いさせないから。」



その言葉が心にじんわりと染み渡る。



私の絡まっていた心を解きほぐしていく。





ああ、この人を選んで良かった。




柳田くんに出会えて良かった。





蓮斗。ありがとう。






あなたのおかげで、私幸せだよ。








だからお願い。












あなたも幸せになって───?














[レントside]



パリンッ!!



洗い物をしていた時に、コップが滑り落ちてしまった。




「あーあ、愛用してたコップだったのに…。」




そのコップが割れた事で、嫌な予感がしてきた。












「そろそろ潮時か…俺も。」












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