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キモチ





どうしよう…。




フラフラする。




大学から帰ろうとした時、酷いめまいに襲われた。



私は道端に座り込む。



どうしよう。動けないよ。



その時、トントンと肩を叩かれた。


あ、もしかして邪魔なのか…?



「すみません。すぐに移動します…。」



私がそう言うと、






「やっぱり、寺岡さんだ。」


懐かしい声がした。



「…柳田く…ん…!?」




柳田くんは心配そうに私の顔を覗き込んでいた。


必死で逃げようと思ったが、体が言うことを聞かない。



「肩貸すから。立てる?」



柳田くんに手を差し伸べられ、それに従う。




懐かしい声。優しい声。


体から伝わる温もり。



その全てが、私の涙腺を壊した。



ボロボロと涙が溢れ落ちる。


柳田くんは、そんな私に黙ってハンカチを差し出すと

歩き始めた。




ああ、柳田くんだ。


柳田くん…側にいたいよ───。










「───よいしょっ!…本当に病院良いの?」


私を家まで運んでくれた柳田くん。


心配そうにそう尋ねてくれる。



「うん。めまいもおさまったみたいだし大丈夫だよ。」


「そっか。じゃあ、無理せずにね。」



柳田くんは、そのまま荷物を持ち玄関へ向かう。



「あ、待って!」


靴を履いている途中で、声をかけると

柳田くんは、ゆっくりこちらを振り返った。



「…えっと…助けてくれて…ありがとう。」


私がそう言うと、少しだけ笑みを浮かべて立ち上がった。






「…そのハンカチ返しに来て。待ってるから。」







その言葉に、私は手元に視線を落とす。



このハンカチがあれば、柳田くんに会える…。



「うん…。洗って返すね。」


ギュッと握りしめ、真っ直ぐ柳田くんを見つめる。




誰もいなくなった玄関を見つめ、ため息をつく。



苦しいよ。



助けてっ…。













[ココロside]


「───え、話したの?」


昼食を食べながら、昨日の事を報告する。




「さすがにそのまま放っておいたらヤバいと思ったから話しかけたんだけどな。」


「…それで、どうだったの?愛奈ちゃん。」



琥珀は興味深そうに尋ねる。




「…泣いてた。」



「…え?」



「気づいたら涙流してたんだよ。」



その言葉に琥珀は頭を抱える。


「何でそこで泣くんだよっ…!?」



「理由は聞けなかった。…いや、聞かなかった。」



パッと顔を上げ、俺を真っ直ぐ見つめる琥珀。



「何で聞かなかったんだ?」




「また話す機会を作ろうと思ってさ。ハンカチだけ渡したよ。」



「…ハンカチ?」



「前もさ、洗って返してくれたんだ。

だから、それさえ寺岡さんが持ってれば、またどこかで話が出来る筈だ。」



琥珀はなるほど…と、ペットボトルに手を伸ばす。



「…それとさ。」


蓋を開けていた琥珀は、手を止めてこちらを見る。










「…俺は、寺岡さんの事が好きだ。」






真っ直ぐに伝える。








「波奈の代わりとしてじゃなくて、一人の女の子として。」








その言葉に、琥珀は優しく笑ってくれた。




「そうか。良かったよ。」


安心したのか、喉に水分を流し込む。




「この気持ちを、寺岡さんに伝えたら波奈への気持ちも終わらせようと思う。」



「…心結…。お前、変わったな。

いや、愛奈ちゃんが変えてくれたのかな?」


そう言って二人で笑い合った。





寺岡さん。




もう一度だけ、俺にチャンスをくれませんか───?

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