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過去③





それから、更に1ヶ月過ぎた。



テスト勉強をしながら、俺はある物を見つけた。




自分の机の中に、白い封筒が入っていた。


全く身に覚えがないので、取り出して裏面を見る。




「──!?」



裏面を見て、俺は驚きで固まった。


そこには、"柳田波奈"と書かれてあった。





急いで封を切る。



中の文章は、確かに波奈の文字で書かれている。


俺は静かに目を通した。
















お兄ちゃんへ



お兄ちゃん、お元気ですか?


元気にしてくれてると良いな♪



お兄ちゃんたちを置いて、勝手に逝ってしまった事は

許してください。

もうね、限界だったんだ。


クラスの誰も味方なんてしてくれなかった。

敵ばかりだったよ。


いつも、部活終わりだって言ってたよね?

本当は、お兄ちゃんたちが帰ってくるの待ってたんだ。


駅前で時間を潰してたんだよ。

結構ヒマだったなー(笑)




まぁ、私の話は置いといて

お兄ちゃんには本当に感謝してるよ。


小さい頃から、私の事ずっと支えてくれて

いつも一番に考えてくれてた。

お母さんの虐待は、すごく辛かったけど

お兄ちゃんがいたから我慢できたよ。


お兄ちゃんがいたから泣かないって決めたんだ。

だって、私が泣いたら困るでしょ?

傷つくでしょ?

責任を感じるでしょ?


全部分かってるよ。




だから、あの時泣いてしまった後すごく後悔した。

完全な八つ当たりだって分かってたけど

私も意地張っちゃった。


本当にごめんなさい。


でも、遠くに行けばやり直せるって思ったんだ。

誰も私の事を知らない所で、一から頑張りたかった。


でも、よく考えたらお兄ちゃんの言う通りで

おばあちゃんに負担なんてかけられないって考え直した。


お兄ちゃんは、本当に大人だよね。

ずっと憧れだよ。




お兄ちゃん、本当にごめんなさい。


ダメな妹をずっと愛してくれてありがとう。


私、お兄ちゃんと出会えたこと

お兄ちゃんの妹に産まれてこれたこと



本当に幸せだと思うよ。



きっと、ずっと、忘れない。


忘れられない。




本当はもっと一緒にいたかった。


もっと笑い合いたかった。


もっと側で…。



お兄ちゃん、大好きだよ。


大好き。



お兄ちゃんとしては、もちろん。


たぶん、一人の男の人として大好きだったよ。


愛してた。




許されないことだよね?


でも、仕方ないよ。


それくらいお兄ちゃんは素敵なんだもん!!



本当にダメな妹でごめんね。


でも、本当に幸せだったよ。


だからね、お兄ちゃんも幸せになって?


お兄ちゃんの幸せは、私の幸せだよ?




お兄ちゃん。


愛してるよ。



ずっと。



                   柳田波奈


















…何だよこれ。


反則過ぎるだろ。




俺は目を覆う。


涙は、手の甲を伝って下へと溢れ落ちる。




何だよ。



本当に何なんだよ。




「俺だって…俺だって…愛してたよ。波奈───。」

















それから、俺は人を好きになることを止めた。



好きになったって


愛したって



皆俺から離れていく。





それなら、いっそのこと感情を殺してしまえば良い。



そう思って過ごしていれば、楽だった。





ただ、波奈への気持ちだけは忘れられなかった。




だから、言い寄ってくる女の子の中で波奈に似ている子がいれば波奈と重ねる日々を送っていた。


誰も好きになんてなれなかった。




そりゃそうだ。


波奈はもういないのだから。










それから、大学に入学した。





舞い散る桜を見つめながら、俺は波奈の事を思い出す。





ツーと伝った涙を拭い、前を向く。



すると、そこに明らかに俺の方を見ている女の子がいた。



一瞬、波奈かと思った。


でも、その子はすぐにどこかへ行ってしまった。







最近になって気づいた



それが、寺岡さんとの出会いだったんだ───。




心結の過去編終了です!

次話から現在に戻ります。


暗い話続きで申し訳ないです( ;∀;)

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