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第225話 絡繰

【テイクンシティー 西南ブロック】


【ガット通り ラタの大木の前】



風に揺られ、木の葉がガサガサと音を鳴らす。


一人の若い男の前に、子供達が集まっていた。



「うぉい!」



カタカタカタカタ。



「ひゃあ!」



「うごいた!」



「えー!」



「へへへ、スゴいだろ〜」



「これへんだよ、なんでうごくの?」



糸でつられてもいないのに、勝手にカタカタと歩きだす小さな木の人形。


集まった子供達は皆、その不思議さに目をクルクルさせた。


からくり人形だ。真っ赤なとんがり帽子を被り、あごがガクッと下がった、粋な姿をしている。


壊れているのか、片腕だけがぷらーんと垂れ下がり、落ち着かない。


通り過ぎる人々は、子供達の黄色い声に何事か、と横目で視線を向けてくる。



「ねぇ、ねぇってば、どうやってうごいてるの〜?」



「それを言っちゃったらオシマイだろぉ、面白くない」



「えー、イジワル」



目の前で頬を膨らませる子供に、まだ若いからくり師は顔を綻ばせた。



「ここをおしたらうごくのかな?」



「あ、そこ押すな」



ぱたり。



子供の一人がちょん、と人形に触れると、人形は力を失ったようにフッと倒れてしまう。


魔法が消えてしまい、子供達は一斉にあっと声を上げた。



「あー! なにすんだよ!」



「ばかぁ!」



「わーん!」



人形は魔法を無くし、力無く倒れたまま。


せっかく、楽しいものが見られる筈だったのに。


人形を倒してしまった子供は、責められ泣き出してしまった。


からくり師は、慌ててヒラヒラと手を振ってみせる。



「ほらほら、見てみな」



「え?」



今度は、からくり師がちょん、と人形を触る。


すると。



「わー!!」



人形は応えて、上半身だけをグッと起こした。


そして、おぼつかない足で再び起き上がり、歩きだす。



カタカタカタ。



「すごいすごい!!」



「立ったよ!」



「えー! なんでー!?」



「ハッハッハッ」



次々に子供達に褒められて、照れ臭さを豪快に笑い飛ばすも、彼は内心ヒヤヒヤしていた。


危ないところだった。この子を俺が泣かせた、みたいになるところだった。


そうなのだけれども。



「び、びっくり。すごい」



泣いていた子も、ようやく笑顔を見せた。


笑みをこぼしながらも、まだしゃくりあげている女の子に、からくり師は少し困ってしまう。


──ここは少し、やり方を変えよう。



「これ、見てみな」



「ふぇ」



からくり師は、懐から何かを取り出した。


太陽の光に照らされ、手の上でピカピカと光を放つ。真っ白な歪な形の小さな物。


子供達は何が始まるのか、とワクワクした目で手のひらを覗き込む。



「なぁに、それ」



「光ってるよ」



今朝からくりの準備をしていた時に、たまたま拾った石。


この石、頭上から落ちて来た気がするのだが、きっと気のせいだろう。


小さく弱いとはいえ、勝手に光る摩訶不思議な石。からくりに使えるかと、そっと拾ってみた。



「これ、なぁに?」



「さあな。今からこれ、消してみせようか」



「!!」



もう一度、魔法を。あっさりと告げたからくり師に、子供達はわぁっと盛り上がる。



「どうやるの、どうやるの!?」



「見せてー!!」



光っているから、消すのは少し難しい。動かした時、光でバレてしまうかもしれない。


だが、ここは子供達の期待に応えようじゃないか。


からくり師は余裕を漂わせ、もったいぶって手のひらを大きく広げる。



「見てな、いっち、に」



「待ったああああ!!!」



始まる筈だった、魔法。


それは、突如割り込んできた叫び声に遮られた。


後ろから現れた人物に、からくり師だけでなく子供達も目を丸くする。



「あれ」



「はぁ、はぁ」



見慣れた紺色の制服。


焦って走って来たらしく、大きく息を乱している。おどおどした様子で、ペコペコと頭を下げた。


この顔は、確か。



「何だ?……ナエカって言ったっけ」



「あ、あの、ちょっといいですか? お兄さん」



「え?」



一方、少し離れた場所で様子を伺っていたアイリとレオナルド。


こちらに笑顔の合図を送ってきたナエカに、ホッと一息つく。無事に取り戻せたようだ。



「よかったぁ!」



「これで二つ、だよな?」



「この調子で集めるよ!」



アイリの手のひらには、既に白く輝く石が一つ。



安堵する二人だが、その顔はすぐにスッと落ち着いてしまう。



「これがあと、いくつあるんだっけか?」



シリュウ曰く。



「中央に勾玉が一つ、左右に白い玉が六つずつ」



「果てしねえぇーーーー!!!」




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