第4話
「まったく……そのままでは、国民は誰もついてきませんわよ」
「わかったから、ソフィ……」
ソフィの強い言葉に、フレドはタジタジで目頭には涙が浮かんでいる気がする。
「はぁ」
そうして、ソフィは一通りフレドに言い切った様で、ため息をついた。
そして、ふいに視線を逸らすと、その視線の先にいた私と目が合う。
「はっ!?」
目があった途端、ソフィはそう叫んで固まってしまった。
やってしまった……そんな心の声が聞こえてきそうな、反応だった。
先日、パン屋のおばちゃんが、私を育てる際に性格を直したと言っていたし、おそらく娘(私)には、見られたく無かったのだろう。もう見てしまったけれども。
「えっと……」
なんて言葉をかけよう。
さっきまでアイドルのコンサートを見ている気分だったのに、一気に気まずくなってしまった。
悩んで彷徨わせた視線は、メソメソと小さくなったフレドを捉えた。
「あー、えっとー、お、お母さんとフレドさんって、どんな関係なんですか……?」
話を逸らすため、そう問いかける。
「え」
すると、フレドは質問が良かったのか、話を振られたのか嬉しかったのか、パァァァと顔を輝かせた。
「ソフィと僕は、同じ学校に通う学友だったんだよ」
そう、楽しそうに語り始めるフレド。
さっきまであんなに落ち込んでいたのが嘘の様だ。
「ソフィは頭が良いし、魔法のコントロールも上手だからね。周りから一目置かれる生徒だったんだよ」
誇らしげに語るフレドに違和感を感じた。
ゲームだと、ソフィからの愛はあったが、フレドからソフィへの愛なんてものは無かった。
それは、親が決めた婚約者であり、フレドはソフィのことが苦手だったから、とストーリーで明かされた記憶だ。
なのに、この目の前のフレドはソフィの事が、大切で仕方がない。まるで、そう語っている様だった。
「フレド様」
そんなフレドによるソフィ自慢大会は、ソフィの冷たい声で幕を締め括る事となった。
「お戯れはもう良いですわ」
そう言ったソフィの眼差しも、冷たくて、これではまるでゲームと真逆だと私は思った。
「サラさん」
「は、はい」
ソフィは少しだけ声を和らげて私を呼ぶ。
しかし、顔は私から逸らしてしまったため、その眼差しが冷たいままかはわからなかった。
「ごめんなさい。お部屋で少し待っててください」
優しい母はいつも、問いかける様に諭す様に話をするのに、珍しい事にそのどちらでも無かった。
まるで、断ることを許さないとでも言うような、そんな口調に少し驚いてしまった。
「……ハイ」
私はそう返事をして、自分の部屋へと引っ込む事とした。




