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前編第終章 再会する三人 6(パトリック視点)

「あ、あの人を捕らえろ!!」


ロシェーン嬢と一緒に遅れてきた騎士たちはローカンを囲んだ。が、怪我しているとは言えローカンと数人の騎士の実力差は明確だった。騎士たちはただ距離を取りながらローカンの逃げ道を塞いでいた。ローカンは、動かないままでいた。その沈黙を破れたのは、イーアン・ケインを抱いていたロシェーン嬢だった。


「ねえローカン...あなたは一体何がしたいのですか...?自分の兄にまで手をかけてあなたはそこまで、そこまでしたお父上の仇を打ちたいのですか...?何のために...?お父上がこれを望んでいません!!!あなたなら、あなたならお父上の気持ちが分かると思ったのに...!お父上はこんなことのためにあなたに剣を教えていなかった...イーアンは、ずっと私の傍にいました...つらいとき、悲しいとき、イーアンは私を支えてくれました...あなたは、今まで一体どこで誰のために、何をしてきたのですか...?ただ自己満足のために悪人(ひと)を斬ってきたあなたに...イーアンを裁く権利などありません!!!」

「......」


ローカンはただ黙っていた。肯定も否定もしなかった。その問いに答えは持ち合わさていないとも思ったが、なぜかどこかで、ローカンの眼はずっと他の場所を見ていたように感じた。希望が来るのを待っていたように、囲んでいる騎士たちでも、ロシェーン嬢でもない他の何かを待っていた。そしてそれはすぐ僕の後ろにやってきた。


「それは本当ですか?お嬢」

「ブレンダン、さん...」

「ただいま。キリアン。オレがいない間になんか大変なことになったらしいな」

「は、はい!自分たちから見送っておいていざブレンダンさんいないとこんなことになって申し訳ないっす!」

「いや、よくここまで耐えた。あとはオレに任せろ」


彼は、カロル伯爵がローカンが来るまで自分の跡継ぎにすると言い、右腕として数多の戦場に勲章を挙げたカロル流のもう一人の実力者。ブレンダン・カロル。僕の存在に気づき、軽く、王族大しての礼をした後に、ローカンの方に向かった。ローカンはずっとブレンダンから目を離さなかった。


「ブレンダン義兄上...」

「ただいま戻りました。お嬢。思ったより元気そうで安心しました。師範のことは旅の途中でも聞きました。辛い思いをさせてすいません。ここからは、自分が落とし前をつけさせます」


ブレンダンは自分の剣を抜いてローカンに刃を向けた。そして、周囲に、王国全体に聞こえるほどのようなはっきりした声で宣言した。


「カロル流皆伝、ブレンダン・カロルの名において、ローカン・ケイン、貴様を我らの道場から破門とする。そして、この場に我は誓う。前当主クレーグ・カロルの魂を継ぎカロル流の後継者となる。そして、カロル家が当主としてケイン家に求む。我らが師範を殺めた落とし前を如何にするのか」


その堂々たる振る舞いはまるで劇を見るような光景だった。だけどこれは演技ではない。ブレンダンの正真正銘の礼儀であった。それに対してローカンも、見間違いじゃないと少し微笑んだ後、ブレンダンの礼儀に応えた。


「元カロル流奥伝、ローカン・ケイン、カロル流派からの破門を承った。ケイン家が当主、我が兄イーアン・ケインは絶命した故、我こそがケイン家が当主代理となろう。我が家は長年人を商売するなど外道を行い、これによってケイン家は解散とする。カロル家、そして王国に対し、我が首を授けよう。我こそが“隣領”にて人斬りと呼ばれる剣客なり。どうか、我が首で妥協し使者たちにご容赦を願いたい」


ローカンは自分の剣を鞘に戻し、膝を折り、剣を前に置いて頭を床につけた。絶対降伏の姿勢だった。もしかしてローカンはずっとこれを狙っていたかもしれない。キリアンもそれを気づいたのか、悔しそうにローカンを見つめた後にどこかへ行ってしまった。ロシェーン嬢もそうだった。小さい声で狡いと、ただ唇を嚙んでいた。


「潔いな」

「こんな体でアンタから逃げられるなど、ましてや勝てるなど思っておりゃせん」

「ふぅ。王子殿下、騎士諸君へのご指示を」

「あ、ああ。皆の者、今すぐローカン・ケインを捕らえろ」


ブレンダンの呼びかけに遅れて反応して騎士たちに指示を出した。ローカンは彼の言葉通り、抵抗することなく大人しく身を騎士たちに差し出した。これでこの一件が幕を下ろした。と思った。


「待ちやがれ!!」

「リアム...!お前...」


リアムがお腹を押さえながらやってきた。後ろには彼を心配してついてきたエームルも一緒だった。


「リアム!無茶よ!もうお止めください!」


そんなエームルの注意をリアムは一切気にしていなかった。彼はただローカンを見ていた。


「勝負がっ...まだついていないって言ったろうがっ...」

「相変わらず、しつこい奴だ」


ローカンは騎士を振り払ってリアムへ向かった。しかし手は拘束道具で縛られている。リアムも剣を持っていなかった。一体どうやって戦うつもりかと一瞬で好奇心も芽生えたから止めるのに遅れた。二人は近づいたとき、お互いの頭を一度引いて、額と額をぶつけた。その時は結構大きい音が出た気がした。そして、お互いの額がくっつくまま数秒、二人はよく聞こえない声で話した。


「この...泣き猪が...」

「ありがとうな、リアム。後は任せた。コンランもくだらない遊びをしているがまだ道を外していない。彼と共にこの国を頼む。あの日の約束を守れなくてすまない」


そしてリアムの目が白目になり気を失った。ローカンは騎士たちの所に戻り、連行された。

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